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《2018年8月31日》
北上市における児童虐待死問題
市の内部監査の内容について聞く


 8月31日、北上市を訪問し、松田幸三企画部長、斎藤昌彦政策企画課長から、4月に発生した児童虐待死事件についての市の「児童保護業務にかかる内部監査報告書」の内容について説明を受けました。
 北上市の内部監査結果による改善指摘事項は、(1)子どもの安全確保、(2)父母へのアプローチ、(3)庁内体制、(4)外部機関との連携の4つの柱で整理されています。子どもの安全確保については、児童虐待に対する統一された手順・マニュアルがなかったこと。安全確認、緊急度・重症度の判断が組織的に判断されていなかったことを指摘しています。父母へのアプローチについては、最後まで家庭環境の把握がなされなかったこと。庁内体制の問題では、それぞれの課の役割分担が不明確で、課内でも全体の協議がなされず、社会福祉主事等の検討もなされなかったと改善の方向が示されています。外部機関との連携では、家庭環境の確認がなされなかったことから虐待の実態を把握できず、児童相談所への通告もなされなかったこと。要保護児童対策協議会実務者会議が開催されていたにもかかわらず、今回のケースが協議の対象とならなかったことを指摘し、本来の機能を果たすよう改善を求めています。
 私は、今回の児童虐待死の事件が極めて深刻な問題であることから、事実の経過と行政の対応がどうだったか、具体的な検証が求められていることから、事実経過の問題点について聞きました。とくに、今年1月に1歳6ヶ月検診を受診していないこと。2月27日に、認可外保育所の園長から虐待を疑わせる具体的な指摘・通告がなされたものの、「緊急性はない」と判断した対応の問題点を聞きました。虐待を疑わせる指摘はその後も数回ありましたが、担当課は「緊急性」の認識に立たないまま、家庭環境の把握をせず事件が起きました。また、3月27日以降、死亡する4月8日までの期間、行政の対応がなく、保育所から登園していない報告もなかったことは事件を防ぐ機会を逃した直接の問題となったのではないかと尋ねました。また、市における児童虐待の相談対応と体制の課題についても聞きました。
 この児童虐待死は、県でも検証が始まったところです。徹底した事実の究明を通じて、具体的な教訓と課題を明らかにすべきです。


《2018年8月31日》
県立黒沢尻工業高校、ハローワーク北上を訪問
雇用情勢と県内就職対策を調査


 8月31日、千田美津子県議、北上市議団(鈴木健二郎・安徳寿美子)とともに、県立黒沢尻工業高校を訪問し、三田章徳校長、佐藤努進路指導部長から求人状況、県内就職の取り組みなどについて聞きました。
 3月卒業生の就職状況は、155人のうち県内が96人で61.9%、うち北上職安管内が54人で34.8%、県外が59人となっています。進学は大学、高専、専攻科など31人です。
 県内の工業高校では県内就職率が一番高くなっていることについて、三田校長は、工業団地を含め回りに企業がたくさんあり、北上川流域ものづくりネットワークの取り組みなどで企業から資格取得への指導やインターンシップ、工場見学などの協力を受けていることが大きいと話しました。黒工のインターンシップ(2年生の秋)は5日間で、240人前後の生徒が70社前後の協力企業で実施しています。地区の土木協会は、重機や測量の講習会なども全面的に支援しているとのこと。
 専攻科は22人が在籍していますが、全員県内就職で、希望する企業と関連した卒業研究に取り組んでいるとのことです。また、企業トップによる外部講師の授業も週2回あり、地区内の企業を良く知る機会となっています。
 就職先の企業訪問も行い、フォローアップしており、3年以内の離職率は10%以下とのこと。昨年度の求人は、県外600件、県内200件、今年の就職希望先は、県内110件、県外70件で、夏休みに工場見学などを行い、8月中に申請を出し、9月16日に採用試験(解禁日)のスケジュールとなっています。
 三田校長は、県内就職率を高めるためには、企業を知る機会を広げること。工業高校をこれ以上減らさず、現状維持以上にしてほしいと強調しました。また、理科と工業の教員養成の必要性も強調しました。
 午後には、ハローワーク北上を訪問し、高橋滋求人・専門援助部門統括職業指導官、千葉光利職業紹介部門統括職業指導官から東芝メモリを含め管内の求人状況の特徴と課題などについて説明を受けました。
 7月の北上管内の有効求人倍率は1.85倍(有効求職者数1733人、有効求人数3208人)と県内では一番高く、全国平均の1.63倍をも上回っています。正社員の有効求人倍率も1.14倍と増加、新規求人数に占める割合は35.0%、就職件数に占める割合は50.3%となっています。新規求職者341人のうち、44歳以下は229人で67.1%、在職者は181人で53.1%を占めるとのこと。条件の良い正社員の就職希望が多いのではないかとのこと。
 来年3月末卒業者に対する求人は951人で昨年の549人を大きく上回り、就職希望者348人の3倍近くになっています。県内希望者は271人で77.8%を占め昨年度(245人、75.1%)より増加しています。
 東芝メモリ岩手(株)の採用計画は、大卒80人(技術者のみ)、高卒290人、計370人、中途採用者が140人、四日市工場からの転籍者300人を見込んでいるとのこと。大学生については大学訪問・工場見学会を実施済みで、6月1日から採用面接を行っています。高卒者に対しては、県内・県外の高校訪問を実施済みで、7〜8月に企業見学会を開催したとのこと。東芝関連企業の求人も出ているとのことです。
 県内学卒者に対する支援策では、早期求人・早期内定に取り組むよう企業等に働きかけ、高卒求人事業者向けガイダンス(5月17日、100社参加)、新規高卒者の人材確保に関する情報交換会(7月12日)を開催。求人提出企業は126社と前年比33社増となっているとのことでした。大企業の求人が増加する中で、地元中小企業の人材確保への取り組みをさらに強化しなければと感じました。


《2018年8月24日》
東北水研宮古庁舎を訪問
さけ人工ふ化放流事業の課題について調査


 8月24日、県議団は落合久三宮古市議とともに東北区水産研究所沿岸漁業資源センター(宮古庁舎)を訪問し、高橋史久さけます資源グループ長から、「さけ人工ふ化放流事業にかかわる過去・現在・今後について」これまでの研究成果について詳しく説明を受けました。

オホーツク海までに減耗
回帰率が高い群は放流期間が長い


 高橋グループ長は、さけ資源の状況概要について、「日本沿岸の漁獲量は昭和55年に急速に増加、平成2年から平成12年にピークを迎え、最近は減少傾向」「一方、北太平洋全体では減少しておらず、平成2年以降カナダ・アメリカ本土より北のアラスカでの漁獲量が増え、最近は漁獲の中心が北方に移動しつつある」と指摘。「日本系サケの回遊経路に合わせて考えると、ベーリング海到達前に大きな減耗があると推察される」「近年は、日本のサケと最初の夏以降に同じ回遊をするロシアのオホーツク海のサケは北のほうは高水準を維持。日本に近い東樺太や四島は悪い」「放流からオホーツク海南部到達のころまでに沿岸環境の影響が悪く減耗が発生した可能性も推察されている」と述べました。
 ふ化放流事業にかかわる「種苗放流手法」と「沿岸環境」の変化については、回帰率が高い群は放流期間が長く、複数の放流時期のピークがあり、回帰率が低い群は短期集中的な放流傾向があると指摘。「近年の春から夏の日本沿岸からオホーツク海までの海洋環境は、春先は冷たく、6月中旬から初夏にかけて急速に熱くなっている」と述べ、「サケ稚魚の沿岸での分布や回遊に適した水温帯の形成期間が短かったため、成長や回遊に障害が生じて減耗を引き起こした可能性がある」と述べました。

海洋環境の変化に対応したリスク分散放流を
地元河川の地域にあった放流手法の再検討を


 高橋グループ長は、「今後のさけ管理放流手法の提案」として、@リスク分散放流を行うことによる海洋環境の異変に柔軟に対応できる管理・放流手法を行うこと、A水温の違いを利用した適期放流に近づける発生速度の調整手法、B月の満ち欠けと同調した稚魚の能動的な降河行動に配慮した放流手法、C地元河川の野生魚の生物・生態情報に基づく地域にあった放流手法の再検討を提起しました。
 水産庁では「サケふ化放流事業における回帰率回復に向けた考え方(素案)」を作成し、ふ化放流実施上の要点として、@放流に適していると考えられる範囲内で放流時期やサイズに幅を持たせる、Aふ化場の種苗生産能力を正しく把握した上で飼育管理方法の改善や技術力の向上を図り、より健康な種苗を育成する、B後期群について、その回帰状況を正しく評価して対策につなげることを提起しているとして、「昨今の異常な自然環境に、いかに歩み寄った増殖管理手法を行うか、それぞれの地域に合った方法を検討する必要があると強調されました。

主要魚種の大不漁と価格の高騰で大変
冷凍庫の電気料金の軽減求める


 午後には、須藤水産株式会社を訪問し、須藤征雄代表取締役から水産加工業の復興の状況と課題などについて聞きました。
 須藤さんは、税制特区が昨年度末までとなっており、再建整備した建物や機械等が資産勘定に算定されれば大変な固定資産税になった。共産党の紙智子参議院議員や宮古市の市議の皆さんが頑張って税制特区が3年間延長されて助かったと話しました。また、冷凍庫等の電気料金が最盛期の基準で課せられており、サケやサンマ等の大不漁で原材料が半減、冷凍庫も20〜30%になっており、電気料金の軽減を強く要望しました。
 今の不漁・原材料の高騰が3年も続けば水産加工業はとても持たない。サンマの回来船を呼ぼうとしても価格が高すぎて対応できない状況もあるとのべ、このままでは水産宮古が終わってしまうという危機感をもって業界はもとより漁協も行政も対応すべきではないかと話されました。

宮古市社協会長から被災者支援の取り組みを聞く

 宮古市社会福祉協議会を訪問し、赤沼正清会長から被災者支援の取り組みの状況について聞きました。
 赤沼会長は、生活支援相談員が被災者を訪問し、重点見守り(105人)、通常見守り(479人)、不定期見守り(300人)を行っている。被災者の相談では、健康・医療に関するものが多く、次いで移動手段に関するもの、収入が少なくお金に関するもの、家族を亡くした喪失感等の相談が寄せられている。とくに医療費の免除は本当に助かっており、継続をお願いしたいと話されました。私は、6月県議会で被災者の医療費・介護保険利用料等の免除継続を求める請願が採択され、県による市町村の意向調査でも多くが継続を求めていることから、来年1月以降も免除継続の可能性があると話しました。
 災害公営住宅のコミュニティの確立、若者の貧困、子ども食堂の問題についても話されました。


《2018年8月23日》
9月議会へ向け全県地方議員研修会ひらく

 8月23日、盛岡市内で全県地方議員研修会を開催し、45人の地方議員・予定候補者が参加しました。
 はじめに菅原則勝県委員長が報告し、安倍政権退陣の旗を掲げ、大激動の情勢のもとでの日本共産党の役割を大いに語り、沖縄知事選勝利、『特別月間』成功へ全力をあげようと強調しました。
 私は、県政データファイル8月版を使いながら、9月議会に向け、東日本大震災津波からの復興や国保の広域化、子ども医療費助成の拡充、県立病院問題、小中学校の統廃合問題などの課題について報告しました。
 討論では10人が発言。市政初の3議席を獲得した桜井肇花巻市議は、野党共闘が進展する中での選挙戦などを報告し、来年の参院選での野党共闘の勝利と共産党の躍進を勝ち取る決意を述べました。三田村亜美子盛岡市議予定候補は、1年後に迫った市議選へ向け支部との信頼を築き二人三脚で活動していると発言。佐々木僚平遠野市議予定候補は、この間の訪問で野党共闘への信頼や切実な住民要求が寄せられていることを紹介し、必ず勝利する決意を述べました。田中尚宮古市議は、活動の源が日々の「赤旗」であることを保守系議員に紹介し、日刊紙を購読していただいたことを紹介しました。


《2018年8月23日》
県立病院等の次期経営計画(素案)の抜本的な見直しを申し入れ

 8月23日、県議団は医療局の大槻英毅局長に対して、県立病院等の次期経営計画素案(2019〜2024年度)の抜本的な見直しを申し入れました。
 医療局は現在の経営計画で109人の医師増員を掲げましたが、素案では38人の増員にとどまっています。看護師も現在の計画では130人の増員をめざしているのに、素案では逆に24人の削減となっています。
 私は、医師の超過勤務は29年度1人当たり月平均46.5時間に達し、年次休暇取得は平均でわずか5.5日だと指摘。県の調査でも県立病院の医師不足数は245人であり、大幅増員で過酷な状況を改善すべきだと強調しました。
 また、看護師の月9日以上の夜勤が急増し、年次休暇取得は平均8.2日にとどまっていると説明。定年前の退職者が16年度は93人に及び、労働条件の抜本的な改善なしに看護師確保は困難だと迫りました。県立病院縮小は地域医療の縮小となりかねず、どこに住んでも良質な医療が提供されるべきだと語りました。
 大槻局長は「指摘の問題はこちらも感じており、提案は受け止めたい」と答えました。

 申し入れの全文は「政策と活動」をご覧下さい。


《2018年8月20日》
安倍9条改憲NO!市民アクションがデモ

 8月20日、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション岩手の会」は、盛岡市で9条改憲阻止や安倍政権退陣を求めるデモ行進に取り組み、100人が参加しました。
 出発前に憲法改悪反対県共同センターの金野耕治事務局長は「沖縄の故・翁長雄志知事は命をかけて米軍新基地を造らせなかった。私たちも遺志を受け継ぎ、知事選をはじめとした選挙で『オール沖縄』が勝利するように、奮闘しよう」と訴えました。私と社民党の小西和子県議が紹介され、それぞれ決意を表明しました。
 参加者らは「安倍内閣は総辞職せよ」「辺野古新基地建設反対」「みんなの政治を私物化するな」などとコールしながら、繁華街を行進。通行人の男性が「がんばって」と激励するなど、沿道の注目を集めました。


《2018年8月18日》
復興県民会議が総会―命と健康守り、生業の再生を
綱島不二雄・復興支援みやぎ県民センター代表世話人が講演


 8月18日、東日本大震災津波救援・復興岩手県民会議は盛岡市で第8回総会を開きました。各地から60人が参加しました。
 来賓あいさつで私は、県民会議の運動で岩手では、被災者の医療費や介護利用料の免除継続、災害公営住宅の家賃軽減、仮設店舗への助成期限延長などの成果をあげてきたと強調しました。
 被災地で復興に携わる6人が報告。「中心部の土地区画整理事業が完了したが、使い道が約2割決まってない」(党野田村議)、「台風10号災害から2年がたつが、災害公営住宅の建築など今年度は大きなヤマ場だ」(岩泉町職員組合)との発言がありました。
 「復興期間後の財政支援の継続、被災跡地の活用と支援策、子どもの『心のケア』は切実な問題だ」(党陸前高田市議)、「経営難の中小業者がグループ補助金で建設した施設を手放すと、その返還を求められるケースもある。国は柔軟に対応すべきだ」(宮古民商)などの要望も出されました。
 講演した綱島不二雄氏(東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター代表世話人)は、宮城と岩手との復興の違いを明らかにし、「人間の復興」の重要性を力説しました。
 総会では今後の活動として▽被災者の命と健康を守る取り組み▽生業の再生と雇用の確保▽被災者生活再建支援金の500万円への増額▽災害対策全国交流集会(11月、大槌町)の成功―などを確認しました。


《2018年8月10日》
釜石平田災害公営住宅で自治会役員と懇談
入居者の状況がつかめず苦労している


 8月10日、県営の災害公営住宅では最初に整備された釜石の平田災害公営住宅を県議団が訪問し、小林徳夫自治会長ら役員と懇談しました。これには岩渕貞美沿岸広域振興局土木部管理課長、小友光晴兼建築住宅センター理事県沿岸支所長が同席しました。
 小林自治会長は、自治会の活動について、月2回のお茶っこ会、毎週月曜日の折り紙教室、木曜日の放課後子ども教室などの活動、避難訓練(火事)などを行っている。集会所の活用では、昨年度自治会等で68回、外部団体の支援などで75回の活用があったが、今年は外部からの支援が減少していると話されました。また、夏祭りなどの年間行事に取り組んでいるが、特定の人しか集まらないと課題も指摘。入居者の交流の場を支援する市の補助金(年間10万円)も今年度で終了するとのこと。
 整備戸数126戸に対し、現在104世帯が入居しています。施設入所や家賃の問題等の退去などあるとのこと。小林会長は、一番の課題は104世帯が入居しているものの、入居者についての情報が提供されず、何の行事をやるにしても、誰が住んでいるのかわからない、支援の必要な高齢者等を把握できないこと、高齢者は部屋から出てこないと話されました。県の岩渕管理課長は、個人情報保護の問題があって、詳しい情報を提供できないでいると答えました。入居者の状況がわからない状況では、コミュニティの確立といっても片手落ちではないかと痛感させられました。小友建築住宅センター沿岸支所長は、災害公営住宅で自治会がつくられているが、どこでも自治会活動、コミュニティの確立はうまくいっていない。今後の課題だと話されました。


《2018年8月10日》
県水産技術センターでサケ資源問題の研究成果を学ぶ
県議団と落合宮古市議・伊勢陸前高田市議も参加


 8月10日、県議団として県水産技術センターを訪問し、太田勝彦資源部長から、サケ資源問題の研究成果について説明を受け、懇談しました。これには、落合久三宮古市議、伊勢純陸前高田市議、党県農漁民部の西山剛さんも参加しました。

サケ稚魚の生残率が大幅に減少
資源維持には種卵の確保・稚魚の放流が必要


 太田部長は、県のサケ人工ふ化放流と回帰尾数について、昭和56年〜平成10年に4億尾の放流体制が確立され、平均で1454万尾の回帰尾数となり、平成8年には2447万尾のピークを迎えたが、平成11年〜23年には、回帰尾数は平均860万尾に低下、東日本大震災後の平成23年〜29年では382万尾に落ち込んでいる。昨年29年度は241万尾・7289万トンとピーク時(平成8年)の10%となっていると説明。4年魚の回帰尾数への震災の影響については、震災でふ化場が被害を受けなかった織笠と、被害を受けた片岸、津軽石と比較すると、回帰尾数に大きな違いがあり、「サケ資源は、放流数が減ると回帰尾数が減る」「資源維持に必要な種卵の確保・稚魚の放流は喫緊の課題」となっていると述べました。
 私が注目したのは、サケ稚魚の初期生残率が低下していることです。1年魚の湾内での生残率の調査結果では、昭和60年当時は16%だったものが、平成18年以降は4%に激減しているとのこと。その要因としては、県沿岸の春季の海水温が4月以降高水温化し、生息適温の期間が短縮・減少(30〜40日)していると説明されました。

春季の高水温の影響でサケ資源が減少
今年の回帰予報では397万尾(沿岸)、新魚確保が必要


 現状のまとめとして、@岩手県のサケ資源は、人工ふ化放流により造成、A昭和59年に4億尾放流を達成し、平成22年まで維持、B平成7年級、平成18年級を境界に資源が減少、C平成23年の東日本大震災、平成28年の台風10号によりふ化場が大きな被害―発災年に放流した稚魚の4年後の回帰尾数の減少、D近年、春季の高水温化により、稚魚の分布密度の低下、回帰尾数が減少していると述べられました。
 懇談では、4億尾放流体制に問題はないのか、海洋環境の変化・高水温が具体的にどういう影響を与えているのか、高水温に強いといわれる北上川水系のサケの研究課題などについて聞きました。太田部長は、4億尾放流体制の問題について、飼育密度(20km/立米)の調査を行っているが、平成元年度より改善されており、密植の状況にはない。高水温が魚にどう生理的な影響を与えているかはまだ不明。北海道の太平洋側でもサケ資源が減少しており、共通の課題に直面しているのではないかと答えました。
 今年の秋サケ回帰予報では、沿岸で回帰予測尾数は397万尾、10〜11月にかけて新魚確保が困難な可能性があり、計画的な海産親魚の確保が必要と述べました。 


《2018年8月9日》
児童虐待問題で高橋衆議院議員とともに調査
県総合福祉センター、みちのくみどり学園を訪問


 8月9日、高橋千鶴子衆議院議員とともに県議団が児童虐待問題で県総合福祉センター、みちのくみどり学園を訪問し調査しました。

児童虐待件数が急増、抜本的な体制の強化が必要

 県総合福祉センターでは、後藤賢弘所長、昆秀博主幹兼課長、大向幸男児童相談課長らから岩手県における児童虐待の現状と課題について説明を受けました。虐待相談対応件数は、平成29年度、児相で1088件、前年比15.5%増、市町村で417件、22.1%減、合計1505件、1.9%増となっており、平成26年度の844件と比べ急増しています。とくに面前DVなどの心理的虐待が857件で57%を占めています。児童福祉司の体制は、今年度5人増員され37人となっています。
 東京目黒区での虐待死事件を踏まえた政府の児童虐待防止対策の緊急総合対策を踏まえ、一時保護の状況では、昨年度は中央児相では98人を保護、1830日(一人当たり18.7日)で施設への委託保護は73人、全体では3164日(一人当たり18.5日)となっています。政府方針では児童福祉司の虐待相談を50ケースから40ケースに改善するとしていますが、現状は一人当たり200ケースとのこと(複数で対応)。深刻な現状を認識しました。政府が2019年から2022年の4年間で、児童福祉司を2000人増員するとしていることについて、現状の3200人から5200人に1.6倍加するもので、画期的なものですが、実際には新たな採用計画を立てて実施することになることから、実現するためには福祉専門職の養成を含めた具体的な対策が必要と感じてきました。

被虐待児が8割、親身で専門的な対応と支援が必要

 みちのくみどり学園では、藤澤昇理事長、田中仁ことりさわ学園園長(児童心理治療施設)、井上毅志養育部長らから児童虐待の現状と課題について話を聞きました。みちのくみどり学園は総定員62名、うち本園45名、地域小規模(グループホーム2か所)12名、計63名となっています。入所者のうち8割が被虐待児、医療的ケアが必要は約7割とのこと。一人一人の子どもに対する親身な対応、専門的な対応が必要だが、4:1の体制では対応できない状況だと強調されました。
 児童虐待の背景には、孤立・貧困・虐待の連鎖など家族機能の不全化があるのではとの指摘もありました。高校卒業後退園せざる得ない状況で、卒園者の状況も心配させられると話されました。


《2018年8月1日》
県立高校5校の学級減・学科減の計画を延期
高校・地域の学校を守る取り組みを県教委が評価


 8月1日の県議会・商工文教委員会で、来年度の県立学校の編制について県教育委員会から報告があり、現在の2学級から1学級減の計画だった前沢・山田・葛巻の各県立高校の学級減を延期、現在の4つの学科から3学科にするとした水沢工業高校の学科減を延期する方針を示しました。現在5学級の花巻南高校の学級減も延期となりました。
 私は「学級減・学科減が示された高校で、高校を守るために必死になって魅力化などの努力を行い、その取り組みが入学者数に結実した」と述べ、そうした取り組みを踏まえ県教委が学級減・学科減の延期の方針を示したことを高く評価しました。
 高橋嘉行教育長は、「しっかり毎年度の状況を見ていかなければならないが、高校のあり方は地域にとって大きな課題だという認識を十分に踏まえ、後期計画においても丁寧な対応をしていきたい」と答えました。
 また、来年度には小中学校の全学年で35人学級の方向が示されているもとで、秋田県や青森県での実例も紹介しながら、過疎地の高校や専門高校にも35人学級を導入すべきだと提起。藤澤良志高校課長は「教員の定数は国の高校標準法を前提に措置され難しい面があるが、引き続き国に対し定数改善の要望を行っており、そうした中でどのような方法がいいか検討したい」と述べました。

 質疑の大要は「議会報告」をご覧下さい。