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《2013年5月28〜29日》
北上市の木材加工業、秋田県の観光と教育を調査
県議会商工文教委員会県内・東北ブロック調査


 5月28日、県議会商工文教委員会の県内・東北ブロック調査で、北上市の誘致企業、佐藤木材工業株式会社の木材加工業の状況と、秋田県の観光と教育の取り組みについて調査してきました。
 
太陽光発電を生かしたエコプレカット工場
北欧の集成材を活用

 

 午前中に訪問したのは、北上南部工業団地に昨年10月操業した誘致企業、佐藤木材工業東北北上支店です。本社は北海道函館市にあり、青森、苫小牧に支店があり、札幌には営業所を持っています。従業員40人、木造建築物のプレカット及び設計・施工が事業内容です。佐藤隆司支店長から説明を受けました。北上に誘致を決めたのは精密加工業のため地盤が安定していたことと宮城、秋田、岩手の交通アクセスが容易であるからとのこと。北上市の補助金も充実しており、企業立地補助金は2億9097万円余(半分は県補助)、事業復興型雇用創出助成金も昨年度1515万円受けています。産業再生特区による減価償却制度の適用、不動産取得税、法人事業税(5年間)、固定資産税(5年間)が免除されています。
 工場は最新鋭のコンピューターによるオートマ化されたプレカット工場です。パソコンで設計されたものが自動で加工されるシステムで、まさに工場です。残念だったことは、木材が北欧・フィンランドの集成材だということです。フィンランドの製材業の状況を聞きましたが、大規模化・機械化されていて、厳しい気候から強度も強く価格が安いとのこと。日本の製材と比べると価格で日本は1.5倍、強度で3分の2とのこと。日本の木材産業の遅れを痛感させられました。2時間で1棟分のプレカットを生産。住宅の組み立てキットとなっています。熟練した大工でなくても家を建てられるようになるとのこと。金物で補強する金物工法が65%、在来軸組み工法が35%とのこと。施主さんごとにプレカットされた木材が生産されていました。出荷先は岩手、秋田、宮城がそれぞれ3分の1ずつとのことでした。
 
秋田県の観光―人口減少に対応した交流人口の拡大めざす
10月からデスティネーションキャンペーン始まる

 

 午後から、秋田自動車道を通って秋田県議会を訪問しました。伊藤邦夫秋田県議会事務局長の挨拶を受け、佐々木孝弘県観光文化スポーツ部観光振興課長から、秋田県の観光施策・外国人観光客の誘致の取り組みについて説明を受けました。佐々木課長は、秋田県の現状として人口減少が日本一で、1955年の134万人をピークに減少し、2012年には106.3万人、年間1万1千人減少。2050年には78.3万人まで減少する推計となっていると述べ、人口減少に歯止めをかける取り組みとともに、観光によって交流人口の増加をめざしていると話しました。人口構成では、第一次ベビーブームの63〜65歳が一番多いが、アクティブシニアでおいしいもの・本物を少量、社会貢献に意欲がある積極的な消費行動が特徴だと指摘。こうした客を対象にした観光・接客が必要と述べました。人口減少1人に対し、経済効果は外国人旅行者7人分、国内旅行者(宿泊)22人分、日帰りでは77人分に相当するとのこと。秋田県は今年10〜12月にデスティネーションキャンペーンに取り組みます。雫石町もエリアに入るとのこと。
 外国人観光客誘致対策では、韓国・台湾を中心にし、韓国ドラマのロケ地誘致も行っています。秋田・ソウル(インチョン)間週3便運航、2時間半とのこと。しかし、韓国人旅行者は大震災の影響と安倍政権の動向から減少しています。秋田県の高校生が修学旅行で利用し、昨年は27校1658人が利用しているとのことでした。韓国・台湾の旅行者は、秋田、岩手、宮城など東北各県をめぐっており、共同した取り組みが必要と話されました。国内第1号で世界自然遺産に登録された白神山地の観光対策を聞きましたが、登録から20年になるが、秋田県は最初から自然遺産の維持保全を大原則に、観光目的にはしない立場で取り組んできているとのこと。観光ガイドを活用した環境教育の取り組みを進めているとのことでした。
 
秋田県の学力向上の取り組み
学習意欲高く、家庭学習が習慣化

 

 秋田県の学力向上の取り組みについては、時間の関係で資料の提供を受けました。全国学力テストでは全国トップの成績を上げています。その特徴は、各教科で全国平均を上回り、標準偏差が全国以下で散らばりが小さいこと。生徒の学習意欲が高く、家庭生活が安定しており、家庭学習が習慣化していること。放課後や長期休業中の学習支援、補充的・発展的な学習などきめ細かな指導、調査結果の組織的な活用、調査結果の公表や説明などにおいて各学校の積極的な取り組みがうかがえるとしています。
 秋田県では、平成13年度から小学校1〜2年で30人規模の少人数学級に取り組み、平成14年度に中学校1年生に、平成23年に小学校3年生に、平成24年には4年生、平成25年度は中学校2年生まで拡充しています。「あきた型 算数・数学」授業の取り組みとしてすべての生徒が「学び合い」に参加する取り組みを進めているとしています。家庭学習の定着の取り組みも教訓的です。小学校6年生で「復習をしている」が87.2%、「予習をしている」が55.9%、中学3年生では、それぞれ80.4%。34.5%となっています。学べるところは学ぶ必要があると感じました。


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《2013年5月26日》
公契約条例早期制定を求める決起集会開かれる

 5月26日、全建総連岩手県建設労働組合総連合が盛岡市の都南文化会館小ホールで、「公契約条例早期制定を求める決起集会」を開催し、県内各地から130人を超える方々が参加しました。私を含め自民党を除く各政党の代表が参加しました。
 齊藤会長が、昨年の9月県議会で「公契約条例の制定を求める」二つの請願が採択され、県が条例制定に取り組んでいるが遅々として進んでいない。労務報酬の下限額を定めることを柱に条例の早期制定めざす取り組みを強めようと挨拶。全県総連高橋賃金対策部長が基調報告を行いました。高橋氏は、公共工事設計労務単価が全国平均で16.1%引き上げられたが、これが末端の建設労働者まで反映されるかは私たちの運動にかかっていると強調。労務単価報酬を引き上げないと若年者が入ってこず、技能の維持確保ができないと述べました。建設事業所は3年間で5万6000減少し52万6700事業所、うち5人未満の小規模事業所が29万3600と55.7%を占めている。全国的な公契約条例の取り組みについて紹介し、賃金・単価の下限額が設計労務単価を基準に定められており、基準額の引き上げが賃金・単価の引き上げにつながっていると述べました。
 私は連帯のあいさつで、公契約法・条例制定の取り組みは1983年の全建総連の大会で適されたもの。30年が経過したが、今現実的な課題となっていること。県レベルで公契約条例の制定の取り組みが検討されているのは岩手県であり、行政はたじろいでいるが、系統的な働きかけを強め、各市町村の取り組みと結合して取り組むことが重要と提起しました。
 また、震災復興では、住宅の再建が最も切実な課題となっているが、大工さんが不足して被災者の要望にこたえられない状況にある。地域のネットワーク、県レベル・全国レベルのネットワークを構築して住宅建設の要望にこたえてほしいと話しました。


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《2013年5月25日》
市田書記局長を迎えての演説会に1300人
被災地地方議員と懇談し激励


 5月25日、市田忠義書記局長を迎えての日本共産党演説会が盛岡市県民会館大ホールで開かれ、1300人が参加しました。
 市田書記局長は、「大震災から2年2カ月余が経過したが、被災者は狭い仮設住宅でストレスをため、住宅確保の見通しが立たず苦しんでいる。岩手県は県議団と被災地議員団の奮闘もあって独自の住宅支援策が具体化されているが、国としても被災者生活再建支援金を300万円から500万円に引き上げるために国会議員団がさらに頑張る。被災地と被災者に寄り添って生活再建・生業の再生に全力を上げる」と話しました。
 安倍内閣の暴走と破たんについて、株の大暴落に示されるように、アベノミクスは制御不能の状況となっていると指摘。投機とバブルをあおり物価を上げようとする異常な政策ではなく、国民の所得を増やしてこそデフレ不況が打開できる。消費税の大増税を許さず、社会保障の拡充を訴えました。
 さらに、原発の再稼働と原発輸出をめざす安倍内閣を厳しく批判し、原発ゼロの決断こそ必要と話しました。
 憲法改悪と侵略戦争を美化しようとする安倍首相の発言と従軍慰安婦を容認する橋下日本維新の会共同代表の暴言を厳しく批判しました。
 最後に、参院選めざす対決軸は自共対決にあり、「政党らしい政党は日本共産党だけ」というマスコミ関係者の声を紹介し、参院選・都議選での大きな支援を呼びかけました。
 紙とも子参院議員、菊池ゆきお岩手選挙区候補も訴えました。

住宅再建への支援策広がる
被災地に寄り添って情報提供・支援の強化を

 
 演説会に先立ち、市田書記局長は被災地で奮闘する地方議員と懇談しました。
 坂本良子釜石市議は、被災者の住宅再建が最大の課題だが住宅再建の見通しが立たない。住宅建設の業者も不足している。釜石市は震災関連死が県内で一番多い、半島の集落・仮設の交通確保も切実と話しました。
 藤倉泰治陸前高田市議は、仮設住宅で対話集会を行っているが、住宅確保の見通しと支援策、まちづくり事業の進捗状況など情報提供を求めている。消費税大増税・TPPは被災地の復興に逆行すると述べました。
 滝田松男大船渡市議は、被災者はいつになったら仮設住宅から出られるか先が見えない。仮設では布団を干す場所もない。引きこもりの状況も出ている。自身も仮設住宅で高台移転のまちづくり事業が進められているが、13世帯全体で住宅の共同発注や復興住宅の見学の取り組みをお行っていると述べました。大船渡市では住宅再建に市独自に200万円の補助や最大444〜708万円の住宅ローンの利子補給が決まったと報告しました。
 木村洋子山田町議は、仮設住宅で認知症の高齢者が増加し、1人暮らしの男性が多くきちんとした食事も取れていない状況、うつ・不眠症が増えていると報告。
 田中尚宮古市議は、三陸鉄道は来年4月に全線復旧するが、JR山田線復旧の見通しが示されていない。790戸の復興公営住宅を建設する計画だが用地が決まっていない。公営住宅は1戸当たり1500〜1800万円するが被災者の自力再建をもっと支援する必要があると述べました。また、公営住宅入居にあたって敷金3ケ月の広報が出て大問題となっていると述べました。漁業の再建ではサケの不漁と原発事故の風評被害が深刻だと述べるとともに、漁協・業業者の間で紙とも産を何とか押し上げたいという動きも出ていると報告しました。
 市田書記局長は、被災地で奮闘する地方議員の献身的な取り組みに改めて敬意を表するとともに、党中央と国会議員団が連携して復興のために頑張ると述べました。


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《2013年5月18日》
震災から2年―何が明らかになったか
岩手大学工学部一祐会で堺茂樹教授が講演


 5月18日、岩手大学工学部一祐会の総会が工学部テクノホールで開かれました。総会に先立ち堺茂樹教授が「震災から2年―何が明らかになったか」と題して講演を行いました。
 堺教授は、戦後1000人以上の犠牲者を出した災害を振り返り、昭和34年の伊勢湾台風以来、平成7年の阪神淡路大震災まで36年間大災害がなかったのは、ダムや堤防、防潮堤などハード対策が講じられ、設計基準を超える災害がなかったからだが、平成23年の東日本大震災では約2万人の犠牲者を出す大災害になったと述べ、ハード対策、まちづくり、ソフト対策の総合対策が必要な時代となっていると話しました。
 ハード対策では、世界一の防災のまちとして注目されていた田老町の防潮堤について、15メートルの津波が防潮堤を越えて町を破壊し、構造物の無力さを示した。しかし、防潮堤によって津波を7分間遅らせたことを評価しました。大船渡湾口防波堤も第一波で破壊されたと指摘。一方で普代村の太田名部防潮堤は1967年、15.5メートルでつくられたが100世帯の集落を守ったと述べました。
 まちづくりでは、三陸町吉浜の高台移転では津波の被害がなかったこと。しかし、高台移転した県内30カ所のうち、21カ所が被災したとも指摘しました。
 ソフト対策では、津波防災教育、宮古市の津波シェルターの取り組み、久慈湊小学校の避難訓練の取り組みを紹介し、子どもたちだけで避難し犠牲者を出さなかったと話しました。宮古市鍬ヶ崎、大槌町安渡2丁目の地域防災の取り組みを紹介し、地域の防災リーダーの育成が重要と強調しました。


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《2013年5月18日》
憲法96条の改定は壊憲―憲法が憲法でなくなる
9条の会東北交流会に会場あふれる290人


 5月18日、9条の会東北交流会が盛岡市アイーナの会議室で開かれ、東北各地から会場あふれる290人が参加しました。
 「壊憲にどう対抗していくのか―自民党改憲草案を診る」と題して講演した水島朝穂早稲田大学法学学術院教授は、憲法96条の改正が国民が権力の横暴を抑えるという立憲主義を否定するもので、憲法が憲法でなくなるものと指摘。憲法改正を主張する学者等からも反対の声が広がっている。5月23日には「憲法96条の会」が学者・研究者などで結成される予定だと話しました。憲法96条の改正が、国防軍の創設や集団的自衛権など憲法9条の改悪にこそ狙いがあり、9条の会の取り組みを一層広げることが重要と訴えました。
 全体交流会では、東北6県の代表と憲法9条を守る首長の会が発言し、草の根からの取り組みを交流し活動の強化の決意を固めあいました。


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《2013年5月17日》
県生協連の加藤会長と懇談
JA県中央会に「TPP参加撤回を求める」党の見解届け懇談


 5月17日、菊池幸夫参院選挙区予定候補とともに、岩手県生活協同組合連合会の加藤善正会長理事を訪ね懇談しました。平和憲法・9条を守る岩手の会の呼びかけ人を務めている加藤会長は、14日に県内でも「地方自治に日本国憲法の理念を生かす岩手県市町村長の会」(代表相原正明前奥州市長)が18人の現前元の首長によって結成されたことを紹介し、17日の午後には憲法9条を守る東北地区市町村長の会交流会が開かれると述べました。また、憲法改悪や消費税大増税など安倍政権による暴走が強まる中で、日本共産党がもっと県民の切実な課題で取り組みを強化するよう注文もいただきました。5月25日の市田書記局長を迎えての演説会にメッセージを寄せていただくようお願いしました。
 午後には、JA県中央会を訪問し、畠山常務、高橋総務部長と懇談し、「TPP交渉への参加は日本をアメリカに丸ごと売り渡すことになる」の党見解の赤旗号外を50部届け、活用していただくよう紹介しました。畠山常務は、早朝から「TPPを考える県民会議」で宣伝行動を行ったと述べるとともに、今日発売の週刊新潮にも「食卓に米国産―危なすぎる食材」の特集記事が掲載されていることを述べ、TPP参加が国民にとっても食の安全にかかわる問題だと話しました。時事通信の世論調査(10〜13日)では、「TPP交渉の行方次第で協定締結を断念してもいいと思う」が50.7%に上っており、国民の間でも危機感が広がっていることを示しています。
 県獣医師会の多田洋悦会長とも懇談し、演説会への案内を行いました。多田会長はTPP交渉参加では、岩手の畜産と直接かかわっている獣医師への影響は大きいと述べるとともに、狂犬病対策、動物愛護の取り組みについて述べました。


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《2013年5月15日》
国保税の滞納等の徴税攻勢で自殺に追い込まれる
一関市の国保・滞納対策について調査


 5月15日、県議団と一関市議団で国保税の滞納等で資産の差し押さえなど厳しい徴税攻勢で自殺に追い込まれる事例が発生したことを重要視し、調査を行いました。午前10時から滞納者の相談に乗ってきた一関民商の小野寺会長と山口事務局長から話を聞きました。
 自殺に追い込まれたAさんは、国保税の滞納元金分が520万円、延滞金分が700万で、国保税の滞納だけで1200万円を超える規模になっていました。不景気で売り上げが減少するとともに家族が病気になり支払いが困難な状況になっていました。市の担当者とは、滞納の元金分を支払うこと。そのために資産処分も検討することの協議も行っていました。その矢先の自殺でした。
 また、Bさんの場合は、毎月分納して納付する納付誓約書を提出し、受け付けられたにもかかわらず2週間後に資産が差し押さえられたというものです。市の「差押書」は、日付が納付誓約書を受け付けた前日になっており、16日もさかのぼった異常なものでした。
 Cさんの場合は、売り上げが前年から大幅に落ち込み、国保税の減免を申請しましたが、「売り上げ減少では減免できない」「震災の沿岸部よりまし」などの暴言と機械的な対応で、繰り返しの売り上げ減少の資料を添えた申請に、やっと受理されましたが、売り上げ減少が前年比の49.7%だったことから不許可通知が送付されました。一関市の減免基準は5割以上の収入減少となっており、これも改善が必要です。
 
国保の現状と滞納者対策
一関市の担当者と意見交換

 
 午後から一関市役所・市議会会議室で国保の現状と滞納者対策について、佐藤福総務部次長兼収納課長、佐藤章国保年金課長と意見交換しました。
 国保税は市民にとって最も重い税金で、所得が減少している中で耐えがたいものとなっています。滞納者は3422世帯、16.87%、滞納額は9億4千万円余に及んでいます。ところが、一関市と市議会は3月議会で、7.7%、1人当たり6000円の値上げが決められました。資格証明書も60世帯に発行されています。佐藤次長は「国保税が高いことは市長も認めている」と述べたものの、「分納誓約書が複数回守られない場合は差し押さえとなる」と発言。佐藤国保年金課長は、「1年以上滞納し、特別な事情がない場合は資格証明書の発行となる」と述べました。特別な事情とは、国保税の減免を受けているもの、病気、リストラなどで、収入の減少がないことは問題です。滞納の理由では、低収入が27%、負債が20.3%、事業不振が11.18%となっており、不明が36.94%もあります。生活苦が主な理由であり、不明が多いことはもっと個別の丁寧な相談が必要なことを示しています。
 その後、市議団と市政の課題について意見交換しました。


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《2013年5月14日》
大船渡市の復興の取り組みと課題について調査
戸田市長から18項目の要望出される―復興特別委員会


 県議会東日本大震災津波復興特別委員会は5月14日、16日に4班編成で被災地の復興状況の調査を行います。私は14日、大船渡市の復興状況の調査に参加しました。
 9時半に議会バスで県議会を出発し、12時に大船渡プレハブ横丁で昼食を取りました。午後1時から、大船渡市役所で戸田市長、金野副市長、各部局長から復興計画の概要と防災集団移転事業などのまちづくり事業、災害公営住宅の状況について説明を受けました。
 戸田市長からは、復旧・復興に要する地方負担分に対する財政措置、県の生活再建住宅支援事業補助金の延長、仮設施設の撤去費用問題、JR大船渡線の全面復旧に向けたJR東日本、国への早期検討の要請など「復興に向けた法制度等」「生活再建関係」「地域産業関係」「都市基盤関係」の18項目について要望項目が提起されました。また、大船渡市の復興事業の総額は3560億円、うち23〜24年度の執行額は1133億円、32%となっていると説明がありました。
 大船渡市では、2地区で防災集団移転事業の造成工事が始まり、災害公営住宅も2団地で入居が始まるなど具体的な動きが見えるようになってきましたが、人材・物資不足が深刻な課題と話されました。応援職員は昨年度50人、今年度は71人となっています。
 
住宅再建に市が独自に200万円の支援、住宅ローンの利子補給も
移転費用は5万円の補助、最大1300万円の補助に

 

 被災者の切実な課題である住宅再建への支援について、大船渡市ではこれまでの100万円の補助にさらに100万円上乗せすることを決め、住宅ローンの利子補給についても防集並みに補助することを決めたと説明がありました。自力再建は1600戸を予定、うち防集では542戸となっています。災害公営住宅は800戸、うち県の整備が560戸、市分が240戸で、木造戸建ての計画は泊地区の6戸となっています。
 仮設店舗などの仮設施設は、77地区487区画が整備され、1地区3区画が整備中です。すでに1年が経過して大船渡市に譲渡されているのが210区画で、使用料は無料だが、借地の土地代は利用者が負担するなどしているとのことでした。
 
北上市の緊急雇用創出事業で保健師派遣
1800世帯の健康調査に取り組む

 
 被災者の健康状態調査では、北上市が緊急雇用創出事業を活用しNPO団体に委託して保健師・看護師等を派遣し、1800世帯の被災者の健康状態調査に取り組むとのことです。観光事業については宿泊施設の不足で対応できず、今ある宿泊施設も復興事業でいっぱいとのことです。
 
入居始まる災害公営住宅・田中東団地を視察
公営住宅希望は28%

 
 入居が始まった大船渡町明神前に整備された災害公営住宅・田中東団地を視察しました。木造2階建て、1棟4戸の3棟12戸分です。気仙大工の伝統工法である反り屋根、化粧破風造りとなっています。応募倍率は3倍ですでに12戸全部入居が決まっています。隣接地にさらに2棟7戸と集会所の建設が予定されています。総事業費は1億8681万円余で1戸当たり1556万円です。800戸の建設計画のうち、3月末までに56戸、今年度中に185戸、来年度は512戸建設の予定です。今年度中にはまだ3割程度しか進まないのが実態です。
 
津波伝承館で生々しい映像と話を聞く
地震があればすぐ避難を

 

 斉藤製菓の工場の会議室を利用して仮オープンした大船渡津波伝承館を訪問しました。
 齊藤賢治館長から、自ら撮影した津波が襲来した映像を見るとともに、話を聞きました。齊藤館長は、犠牲になった多くの方々が、逃げなかったり、逃げる途中だったり、自宅などにもどった方だったと述べ、もっと早く避難していれば多くの方が犠牲にならずにすんだ。大津波の脅威と経験を映像と語りついで後世に伝えることが大事と津波伝承館を設立した思いを話しました。



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《2013年5月13日》
盛岡商工会議所、県商工会連合会など11団体を訪問し懇談
経済提言・TPP見解を紹介し5・25市田演説会を案内


 5月13日、西山剛県常任委員とともに11の経済団体を訪問し、5・25市田演説会の案内を行うとともに、党の経済提言とTPP見解を紹介し懇談しました。
 午前中に県漁業共済組合の藤島専務を訪問。アベノミクスによる円安で燃油が高騰し漁業者は大変な状況だ。被災地にとって自民も民主も落下傘候補でいいのでしょうかと話しました。
 JF共水連岩手支店支店長の門坂支店長は、生命共済・建物共済で100億円(東北3県では240億円)の支払いとなった。大震災津波で共水連は大きな役割を果たしたと話しました。
 岩手県中小企業団体中央会の平澤専務は、アベノミクスといっても県内の中小企業は食料や原料の値上げで大変な状況で、被災地の中小企業も復興の途上だと話しました。
 午後には、盛岡商工会議所の廣田専務、県商工会連合会の永井専務らと懇談。県内の中小企業には株高・円安の恩恵は表れていない。被災地の中小企業は再建しつつあるものの、建設業を除けば売り上げ減少で、区画整理事業の見通しが立たず本格的再建の展望が見えない状況だと話しました。
 今日訪問したのは、ほかに県漁船保険組合、県漁港漁村協会、県漁業信用基金協会、県医師会、県歯科医師会、岩手県保険医協会の11団体です。



《2013年5月8日》
ILCに向けた取り組みを調査
議員連盟でKEK・高エネルギー加速器研究機構を視察


 5月8日、茨城県つくば市にあるKEK・高エネルギー加速器研究機構の視察に行ってきました。朝7時57分発の新幹線で上野駅まで、秋葉原からつくばエクスプレスに乗り換え45分でつくば駅に11時45分に到着し、借り上げバスでKEKに向かいました。会議室で昼食の弁当を食べ、KEK紹介のDVDを見た後、山本明リニアコライダー計画推進室長からILC・国際リニアコライダーの開発研究の取り組みについて説明を受けました。山本室長は、2005年から5カ年計画でILCの開発研究に取り組み、2012年に技術開発は完了し、「設計から現実に」というのが研究者の間の目標となっていると述べ、立ち上げ期間に2年、建設に10年かかると話しました。
 鈴木厚人機構長との懇談では、鈴木機構長は、ILC誘致へ日本が提案していかないと動かないと述べ、7月までに国内候補地の一本化を行い、日本学術会議での合意は8月までに取り付けたいと話しました。そのためには文科省の予算の枠外での取り組みにすることが大事と指摘。9月までには政府の意思表示も求めたいと述べました。また、ヨーロッパやアメリカ、アジアの研究者から期待と支持を受けられるように働きかけていると話しました。日本への誘致に当たっては、ILCに付加価値をつけることを考えるべき。セルンのあるジュネーブのような国際都市ではないので広域で対応することが重要。外国の研究者は100キロメートルくらいの距離は苦にしないと話しました。
 その後、先端加速器試験施設(ATF)、筑波実験棟(Bファクトリー)、超電導高周波試験施設(STF)を見学しました。ILCの開発に向けた具体的な取り組みが進んでいることに感心しました。
 ILC・国際リニアコライダーの取り組みは、宇宙・素粒子・原子核・物質・生命の謎を解き明かし、ヒッグス粒子の実態解明にも必要な研究施設です。しかし、建設に1兆円以上かかるビッグプロジェクトであり、その半分以上をホスト国(誘致する国)が負担しなければならないこと。維持管理費が相当かかること。諸外国の協力がどの程度得られるのかなど課題・ハードルが多いのも事実です。まずは7月までの国内候補地の一本化が焦点です。


《2013年5月3日》
今に生きる憲法裁判の成果―憲法改悪許さず
5・3憲法記念日のつどいで内藤弁護士が講演


 5月3日、盛岡市のおでってホールで「5・3憲法記念日のつどい」が開催され、会場いっぱいの150人を超える参加者で熱気にあふれました。
 内藤功弁護士・平和委員会代表理事が「憲法9条・自衛隊・国防軍―自民党改憲案のめざすもの」と題して講演しました。内藤弁護士は、自らかかわった砂川違憲判決、自衛隊の憲法違反を問う百里・恵庭・長沼裁判、イラク派兵違憲裁判の成果と経験を具体的に紹介。これらのたたかいの成果は現在でも「集団的自衛権は認めない」「武力行使はできない」など自衛隊の行動を縛るものとなっていると指摘。自民党がめざす国防軍は戦争する軍隊であると述べ、自衛隊と国防軍との違いも指摘しました。
 とくに1957年7月の砂川事件とその裁判闘争では、当初米軍基地に侵入した事件として争われていたものを、「三矢作戦研究」などの自衛隊の違憲性を問う裁判闘争に発展し、1959年3月、東京地裁の伊達裁判長が「安保条約に基づき日本に駐留する米軍は、極東の安全のためにも出動するので、その結果、日本は自国と直接関係のない紛争に巻き込まれる恐れがある。そのような米軍の駐留を許容する日本政府の行為は憲法前文の『政府の行為により再び戦争の惨禍が起こらないようにすることを決意し』の精神に反する疑いがある」と米軍駐留違憲判決を下したことを詳しく紹介しました。この判決は日本政府のみならずアメリカ政府をも震撼させ、最近の米公文書公開で、アメリカ政府が裁判に干渉し、当時の田中光太郎最高裁判所長官に圧力をかけ、裁判日程と判決の内容まで事前に報告を受けていたことが明らかになりました。
 内藤弁護士は、憲法改悪を阻止する取り組みについて、@憲法を学び、広く定着させ、憲法を武器にたたかうこと。A靖国参拝や従軍慰安婦問題など世界から批判されている改憲勢力の弱点と破たんをつかみ、憲法改悪阻止の取り組みを強化すること。B当面の憲法9条改悪のねらいをつかみ、参院選で自民党に審判を下すことを強調しました。


《2013年5月2日》
陸前高田市の住宅支援、町づくりについて調査
県立高田病院の田畑院長と懇談


 5月2日、高田一郎県議とともに陸前高田市の復興の取り組みを調査してきました。
 午前11時に陸前高田市役所仮庁舎で藤倉泰治、大坪涼子市議と合流し、菅野利尚民生部被災者支援室長から住宅支援のための震災復興特別交付税33億円の具体化・検討状況を聞きました。菅野室長は、「住宅再建が進まない。打開する支援策を検討している」「他市と比べても所得が低く、自己資金が一番の問題」と述べ、防災集団移転事業、がけ地近接事業との格差が大きい住宅ローンの利子補給の差を埋めることが必要だと考えていると述べました。防集・がけ地近接事業以外の住宅再建の対象者は約1000世帯余。また、市独自に引っ越し費用の支援も検討しているとのことでした。これらの支援策は6月市議会に提案する予定です。すでに住宅を新築・購入している世帯にも遡及適用されるとのことです。
 午後からは、陸前高田市の防災集団移転事業、区画整理事業、災害公営住宅の取り組みについて、蒲生琢磨復興対策局長、山田荘子都市計画課長、梅木雅湯住宅推進係長から説明を受けました。

32団地484戸の防災集団移転事業、
区画整理事業は666戸、1000戸の公営住宅


 防災集団移転事業は32団地、移転戸数484戸で、全ての地区で大臣同意となり、5地区で工事が施行されています。予定した地権者の同意が得られず事業計画の変更が迫られている地区も2地区ありますが、地権者の同意を得られているとのこと。造成には6〜30カ月かかり、76戸の大規模な脇ノ沢地区については工区を分けて事業を進める計画とのことでした。こうした高台移転で切り土による残土が2000万立方メートルで1400万立方メートルの活用ができるが、約600万立方メートル余ることが課題で、県に調整をお願いしているとのことでした。高田地区は平成27年度から、今泉地区は28年度から住宅再建ができる計画です。
 災害公営住宅は、1000戸の計画で、県の建設が700戸、うち400戸が市に譲渡されます。市の建設は300戸です。高田地区に600戸の建設計画で、公営住宅希望者を十分受け入れできるとのこと。高田地区の下和野公営住宅は先行的に土地が12.5mまでかさ上げされています。かさ上げのイメージがよくわかるとのこと。区画整理事業は666戸が対象で、現JR大船渡線から山側が対象となり、ルートを山側に変更した新JR大船渡線から山側がかさ上げの対象とのこと。まちづくりの事業は進められていますが、被災者にはよく見えない状況があり、丁寧は説明や住民との協議が必要と感じました。蒲生復興対策局長は私の高校の同級生の弟さんでした。山田都市計画課長は県から派遣されて3年目とのこと。

新任の田畑高田病院院長懇談
九州から開業医が新たに着任


 午後3時に、県立高田病院を訪問し、4月から院長に就任した田畑潔院長と懇談しました。着任して1カ月ですが、高田病院の印象として「石木先生の頑張りに引っ張られて頑張っている」「職員のメンテナンスも必要」とのこと。高田病院の機能については、入院に対応すること。病院としてやるべき検査をしっかりやることを強調。大船渡病院と機能分担し、回復期以降のリハビリに対応すること。訪問診療にも取り組みたいと述べました。
 九州の開業医が新たに高田病院に着任したとのこと。常勤は9人、臨時が2人の体制となっています。再建整備の予算が今年度計上され進められることになりますが、計画でも平成29年度開院で、仮設病院での取り組みが4年間は続きます。仮設病院の課題として入院の病室が1室6人で狭く全部は入れられないこと。感染症対策が難しいこと。売店がなく近くにコンビニもないことを上げました。
 私は、県医療局の方針で再建整備後の医療機能として、休日・夜間等の一次救急に取り組まないこととしていることについて、現状の仮設病院でも取り組んでいる機能を後退させることは地域住民の理解が得られないのではないかと聞きました。田畑院長は、「私は医療局の職員だから」と医療局の方針案に沿って継続して医療が守れるようにという話にとどまりました。
 田畑院長は、前中部病院の院長で救急医療を担当してきた外科医。日本共産党の副委員長で医師の小池晃氏とは高校時代の同級生、東北大学医学部も同じという話にびっくり。国政も県政も医師確保など政治の分野で頑張ってほしいと要望も受けました。


《2013年5月1日》
震災復興と賃上げ・雇用の拡大かかげ
メーデー岩手県中央集会に1000人


 5月1日、第84回メーデー岩手県中央集会(いわて労連・実行委員会主催)が朝9時から岩手公園広場で開催され1000人が参加しました。
 実行委員長の金野議長は、「被災者本位の震災復興を前に進め、大幅な賃上げと安定した雇用の拡大を実現しよう。消費税大増税・TPP参加・憲法改悪許さず、原発ゼロの実現をめざそう」とあいさつ。岩手県知事代理の寺本樹生雇用・労働対策室長、原発ゼロを掲げ「盛岡でデモしたい」の佐久間さん、日本共産党の菊池幸夫氏が来賓あいさつしました。デコレーションやプラカードの表彰が行われ、意気高くデモ行進しました。
 その後、連合系のメーデーが同じ会場で開催されましたが、スローガンには、消費税大増税反対もTPP反対も原発の一言もないものでした。違いがはっきりしたメーデーでした。