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《2011年11月30日》
決算特別委員会で花泉診療所の民間移管問題について集中審議
ずさんな医師確保、看護師体制―徹底した実態の把握を


 11月30日、県議会・決算特別委員会で継続審議となっていた花泉診療所の民間移管問題についての集中審議が行われました。
 質疑に立った斉藤県議は、「医療法人の信頼性が一番問われる医師確保がしっかりされなかったことが最大の問題」と強調し医療局長の認識を質しました。遠藤達雄医療局長は、『法人からは、「独自でルートがあり、医師確保については心配していない」という回答をいただいている』と答弁。斉藤県議は、医療法人が最初に事業計画を提出したときから医師の実態について何度も虚偽の報告を行ってきたこと、現在の常勤医師の勤務が月曜と火曜のみであること、8月は常勤医師はほとんど勤務していなかったにも関わらず一日平均7.7人の入院患者がいた問題などを告発。しっかりと実態を調査し報告するよう求めました。小田島智弥保健福祉部長は、「勤務の実態等について確認し報告したい」と述べました。
 さらに看護師の実態について毎日4人で夜勤をまわしていた問題、医師の報酬や残業手当が未払いで労働基準監督署から指摘を受けたことも示し、民間移管を決めた医療法人はまともな経営体をなしていないと厳しく指摘しました。
 決算特別委員会は12日にも集中審議を行います。斉藤県議は、「問題だらけの医療法人の報告を鵜呑みにしてきた県の責任はきわめて重大」と指摘し、達増拓也知事を出席させた集中審議をするよう求めました。

 集中審議での質疑の大要については「議会報告」をご覧ください。


《2011年11月30日》
東日本大震災津波の復旧・復興に献身的に取り組む県職員への賃下げは許されない
12月定例県議会本会議で質疑・反対討論に立つ


 11月30日の県議会本会議で斉藤県議は、県職員の給与改定議案に対する質疑・反対討論に立ちました。
 斉藤県議は、県職員が東日本大震災津波からの救援・復興に献身的に取り組んでいるときに給与・賃金を平均で0.37%、1人当たり2万2千円引き下げることは県職員の労苦に背を向けるものと厳しく指摘しました。達増知事は、「県人事委員会の勧告を最大限に尊重し、国や他の都道府県の動向等を総合的に勘案した結果、勧告通り実施することが適当との判断に至った」と答えました。また、震災の影響で「民間給与実態調査」を行うことができない中で、人事院勧告に追随し国より大幅な給与の引き下げを行うことは大問題だと主張。さらに、13年連続の給与・賃金引き下げにより、県職員の年間給与総額は40歳主査クラス(配偶者・子2人)で平均118万円の減少となり地域経済へのマイナスの波及効果は398億円に及ぶと述べました。
 斉藤県議は、復旧・復興の取り組みで今まで以上の超過勤務を強いられている中で超過勤務手当が一部しか支払われていない実態を示し、給与・賃金の引き下げの前に、超過勤務手当を全面的に支払うべきと強調。復興の取り組みを進めるためにも県職員の削減路線を根本的に転換し、必要な人員の確保に取り組むよう求めました。
 給与改定議案は、日本共産党県議団のみが反対し賛成多数で可決されました。

 質疑の大要については、「議会報告」をご覧ください。


《2011年11月29日》
県母親大会実行委員会が県交渉
放射線対策、住宅再建、被災県立病院再建―被災者の切実な願いを要求


 11月29日、岩手県母親大会実行委員会(渡辺喜代子実行委員長)は、達増拓也知事にたいし第57回岩手県母親大会決議・宣言にもとづく要請を行いました。要請では、@県内全市町村の小中学校、高校に放射線測定器を設置し、日々測定し結果を公表すること。子どもにとって危険なところは直ちに除染することA災害公営住宅を一刻も早く建設し、被災前のコミュニティを重視して希望者が入居できるようにすること。被災者生活再建支援法の上限(300万円)を自家の再建ができるよう引き上げることB被災した高田・大槌・山田・大東の県立病院の再建を復興計画に明記し、早急に被災地の地域医療を復旧すること。それまで現在の仮設病院を入院できるようにすること―の3重点項目を要望しました。
 応対した宮舘寿喜副知事は、放射線対策について「市町村にたいし測定・除染の費用を助成し学校等の施設を最優先で行っている」と回答。住宅の再建については、「公営住宅は4000〜5000戸を想定しておりできるだけ早く完成させたい。被災者生活再建支援法の上限は機会あるごとに支援金額を上げていただくよう要望している」と答えました。さらに、「高田病院の仮設診療所には2月から入院できるよう病床の整備を進めている」と述べました。
 その後、2班に分かれて各部局と48におよぶ具体的な要望項目で交渉を行いました。


《2011年11月22日》
「いわて教育の日」のつどい開かれる
釜石大平中学校、大船渡東高校のボランティアと郷土芸能が感動を呼ぶ


 11月22日、「いわて教育の日」のつどいが盛岡市の盛岡劇場で開かれました。今年のテーマは「一人ひとりの学びの場の復興をめざして」です。
 開会行事と教育表彰の後、釜石市立大平中学校の生徒が、「復興、支え合い・助け合い、感謝の気持ち」と題して、避難所でのボランティア活動や地域での活動、「大平ソーラン」の取り組みを報告し、15人の「大平ソーラン」の踊りを披露しました。県立大船渡東高校の太鼓部による郷土芸能「長安寺ばやし、怒涛太鼓、祭り太鼓」の演奏は心を打つ素晴らしいものでした。30年以上活動してきた大農太鼓部の伝統を継承し、大船渡市の長安寺太鼓保存会、900年の伝統を誇る陸前高田か市の気仙町けんか七夕太鼓保存会の方々の技と心を受け継いでいるとのこと。
 その後、富永良喜兵庫教育大学大学院教授による講演「大震災と心のケア―岩手の教育復興の取り組みから」が行われました。



《2011年11月21日》
一部損壊・半壊住宅の補修費助成へ
生活再建住宅支援事業費補助6億2800万円を計上


 11月21日、岩手県は30日に召集される12月定例県議会へ提案する2011年度一般会計補正予算案を発表しました。
 生活再建住宅支援事業費補助として6億2800万円を計上。これは震災で被災した住宅のうち、生活再建支援制度や災害救助法に基づく応急修理制度の適用を受けない一部損壊や半壊の住宅を対象に、被災住宅の補修費の一部を補助した市町村に対し補助を行うものです。被災住宅の補修は10万円以上の工事を対象とし補修工事の2分の1(限度額30万円)を補助。また、耐震改修・バリアフリー改修に補修工事の2分の1(限度額60万円)を補助し、県産材を活用した住宅改修にも補修工事の2分の1(限度額20万円)を補助します。これらの補助は併用して改修することも可能で、すでに改修を行った人へも遡及適用になります。県は全体で5400件の事業費を想定し、うち800件分を今回の補正予算に計上しました。
 また、市町村が宅地のり面の保護や排水施設の設置、擁壁の復旧等にかかる経費を補助した場合、20万円以上の工事を対象とし対象経費の2分の1(限度額200万円)を補助する被災宅地復旧支援事業費も盛り込まれ、全体で12億円(1000件)を想定。平成23年度は3億5000万円(300件)を予定しています。


《2011年11月20日》
盛岡手をつなぐ育成会・成人を祝う会開かれる
17人の成人を皆で祝う


 11月20日、盛岡手をつなぐ育成会の第36回「成人を祝う会」が盛岡八幡宮参集殿で開かれ参加してきました。今年は17人の成人のお祝いとなりました。長葭常紀会長があいさつし、成人を迎えた1人1人に記念品を贈呈。乾杯の後にはテーブルごとに成人を迎えたご家族もごあいさつ。娘さんの成人を祝い、大船渡から来られた浅野さんご夫婦も見えられ、お話を聞いたら妹さんが私の高校時代の同級生ということでした。お住まいは盛町の中心街で、津波で浸水したとのこと。
 アトラクションでは手品あり、フラダンスあり、歌ありで楽しい会でした。20年の家族、施設の皆さんのご苦労と感動に思いを致すとともに、今後のますますの成長と活躍ができる社会の実現を図っていかなければと思いました。
 盛岡手をつなぐ育成会では、盛岡市に対して、24時間の相談が受けられる包括的相談センターの実施、療育を含めたネットワークの充実、市単独の自立支援協議会の設置、グループホームやケアホームの設置及び設置支援、第3期障がい福祉計画に障がい者や団体の意見を反映させることを提言しています。


《2011年11月18日》
弁護士政治連盟岩手支部の皆さんと懇談
東日本大震災の取り組みなど意見交換


 11月18日、日本弁護士政治連盟岩手支部と県議会議員との懇談会が盛岡市産ビルの岩手弁護士会大会議室で行われました。冒頭高橋耕岩手支部長と須山通治岩手弁護士会会長があいさつ。石橋弁護士・災害対策本部長から、「東日本大震災の当会の対応について」報告がありました。この間7つのチームを作り、法律相談、被災者支援、外部支援の調整、弁護士会ニュースの発行、政策提言、原発対策、復興支援の課題の取り組みを紹介しました。弁護士事務所のない陸前高田市、大槌町に拠点事務所の設置を決めているとのこと。法律相談では当初は相続の相談が多かったが、現在は相続とともに返済に関する相談が多くなり、複雑化、長期化しているとのことです。
 県議会の各会派からそれぞれ大震災の取り組みを発言。私は、孤独死や自殺者が出ている被災者の命とくらしを守る緊急対策、二重ローン・住宅ローンの解消の課題、中小企業の再建と雇用確保、地域住民が主体となった復興の取り組み、放射能汚染と原発問題について述べました。
 懇談では、住宅ローンの私的整理ガイドラインの取り組みについて、現状と課題について聞きました。石橋弁護士は、土地の評価をどうするかがネックとなっていて進んでいない。復興計画で土地利用が決まらないと進まない。11月までは金融機関が債権の回収を猶予していたが、今後改修が強まれば一気に破産が増えるのではないかと話されました。県の復興委員会に法律の専門家が参加していない問題も指摘がありました。
 その後、司法修習生に対する給付制の存続問題、全面的国選付添人制度の実現問題、取り調べの全面可視化の問題の取り組みについて報告があり、懇談しました。


《2011年11月17日》
大槌町・釜石市の復興の取り組みを調査
県議会復興特別委員会


 11月17日朝7時30分、県議会復興特別委員会の現地調査で県議会を借り上げバスで出発し釜石市に向かいました。途中遠野の道の駅「風の丘」で休憩し、10時15分に釜石市の沿岸振興局に到着。10時30分から大槌町、釜石市の復興計画の概要と取り組みについて説明を受けました。

10地域の地域復興協議会で4回協議し町に提言
大槌町の復興計画策定の取り組み


 大震災津波で町長も犠牲となった大槌町では、碇川豊新町長のもと、12月までに復興計画を策定しようと10月10日に大槌町復興協議会全体会を開き、基本方針とロードマップを示し急ピッチで取り組みを進めています。特徴は、町内10地域の地域復興協議会での徹底した住民自身の協議です。赤浜地域協議会では、「赤浜の復興を考える会」が地域の復興計画案を作り上げています。町では、各地域の協議会で出された意見を「かわら版」で詳しく紹介しています。「ハード整備だけでは不十分であることが分かった」「高台移転を第一候補とした計画づくりを」「防潮堤は台風・高潮対策程度にして、高台に居住地を確保」「高い防潮堤で景観はどうなるか、耐用年数は」など多様な意見が紹介されています。これから4巡目の協議会が開かれ、2月4日の全体会までに町に提言する予定です。復興協議会には、東大グループがコーディネーターとして参加しています。大槌町の被災状況は、死者802人、行方不明者520人、この間の人口減は800世帯、2500人の減少となっており、約1200人が町外に移転しています。
 私は3つの質問をしました。一つは、防潮堤の高さ(14.5m)とまちづくりの関係について―碇川町長は、「高さありきの議論の傾向があるが、まちづくりと一体で考えるべき問題だ」「維持管理の問題を含め、すり鉢の中の生活でいいのかの意見も出ている」と述べました。二つ目は、高台移転とまちづくりについて―町長は「住民がどこに住みたいのか、アンケートをしっかり取って対応したいと述べました」。三つ目は、生活確保と雇用の問題―町長は、「若い人たちの雇用がないことが流出の要因、産業なくしてあり得ない、水産加工団地を造りたい」と述べました。
 また、意見交換では、津波で町職員が34人犠牲になるとともに、その後も1人が自殺、6人が鬱状態となるなど激務の中で困難を抱えていること。職員アンケートで100人中50人が医師の診察を受け、23人が「経過観察が必要」となっている状況も示されました。県を含め25人の支援職員が派遣されています。

中小企業支援、地盤沈下対策など7項目の要望出される
釜石市の復興の取り組み

 
 若林正夫釜石市副市長は、復興に関わる県への要望として@仮設店舗の早期整備、二重ローンの解消、解雇した職員の採用への支援など雇用確保・中小企業支援、A地盤沈下している漁港、防波堤、藻の揚げ場など早期復旧、B港湾の改修、C甲子川の水門など防災基盤の整備、D室浜などの生活道路・県道の早期復旧、E被災者の心のケア、F旧釜石商業高校の土地・建物の利用―復興公営住宅などを示しました。市の復興計画については、減災のまちづくりなど12のスクラムプランについて説明を受けました。
 私は、被害の大きい鵜住居地区の復興とまちづくり、東部地区・中心市街地の復興、湾口防の検証と見直しについて聞きました。鵜住居地区は、1753人も人口が減少しています。東部地区・中心市街地については、歴史性・拠点性を踏まえ新しい都市機能を張り付け、公共施設の再配置を行うとの話でした。

鵜住居田郷地区の仮設店舗を訪問
パン屋さんは4月から準備、10月31日開店


 午後に鵜住居田郷地区に整備された仮設店舗を訪問しました。釜石市では市内11カ所に215区画の仮設店舗・工場の整備を計画していますが、天神町(旧釜石一中)の仮設店舗に続いて10月31日に開店しています。7月15日の要請書提出・基本契約締結から3カ月半かかっています。2棟9区画に食料品販売や理容、食堂・弁当製造、パン屋さんなどが出店しています。自宅も店もパン製造機械もすべて流された店主に聞きました。4月から中古のパン製造機械の確保に取り組んできたこと。仮設店舗開店の報道もあって釜石や大槌からも客が来ていることなど出店できてよかったと話していました。

平田の仮設団地自治会と懇談
たくさんの切実な要望出される


 午後2時から3時過ぎまで釜石市平田地区の仮設団地自治会の皆さんと狭い談話室で懇談しました。第5仮設団地は8棟41戸の団地自治会です。10月29日に自治会を設立したばかりですが、早速、駐車場の配置とライン引き、ゴミ置き場清掃の当番制、ゴーヤプランター・ネットの撤去移動、住環境に関する住民アンケートに取り組んでいました。仮設住宅の満足度は、「満足していない」が76%に及び、「部屋が狭く、ストーブの置き場もない」「棚・物置がほしい」「風呂が冷めてしまう」などの切実な声が寄せられています。仮設周辺の環境問題では、「街路灯・防犯灯の設置」「駐車場がない」「防災無線が聞こえない」の声が、住民のコミュニケーションの問題では、「交流できていない」が67%となっています。その他に、「郵便ポストの設置」「バスの回数を増やして」「防火訓練・融雪剤ボックスの設置」などの要求が出されました。第6仮設団地自治会は一昨日立ち上げたばかりとのこと。
 第5団地にはバリヤフリーの介護棟も設置されていますが、1人暮らしのお年寄りについては市から何の連絡・情報提供もないとのこと。子育て支援の「ママハウス」も整備されていますが、部屋には窓がないとの指摘もありました。最近仮設住宅に入居した1人暮らしの女性の方は、わずか5畳の狭い部屋で仏壇もおけない、雨漏り、風呂のフタもなかったと訴えました。懇談の後、県の廣田復興局副局長と釜石市から要望に対する対応について発言がありました。
 現場の声をしっかりと受け止め、被災者の命と暮らし守るあらゆる対策を講じなければと改めて感じさせられました。


《2011年11月16日》
宮古市の復興の取り組みを調査
田老、宮古、重茂の3地域、33地区でまちづくり計画を協議


 11月16日、宮古市の復興の取り組みの調査に行きました。
 盛岡は前日の夜に初雪を観測、今朝も自宅の周りの畑は雪景色、7時45分に自宅を出発し宮古市に向かいました。区堺を超えると道路も積雪と凍結の状況で、今季初めての雪道を体験。道の駅やまびこ館のあたりになると雪の気配がなくなり秋の気配。
 9時45分に宮古市役所に到着し、田中尚宮古市議と合流。10時から宮古市復興推進室の滝澤肇室長から宮古市の東日本大震災復興計画概要と策定状況とスケジュール、市民意向の把握などについて説明を受けました。宮古市では、6月1日に基本方針を策定し、6月20日復興推進室を設置。6月23日〜7月4日まで、14会場で市民懇談会を開催、1516人が参加。住民アンケートを踏まえ復興計画【基本計画】(案)を策定し、復興計画検討委員会の審議と市民懇談会、高校生、女性団体との意見交換会、パブリックコメントを経て、10月31日、復興計画【基本計画】を策定しています。
 復興計画の特徴は、「住まいと暮らしの再建」「産業・経済復興」「安全な地域づくり」を3つの柱に位置付けていること。田老地域、宮古地域、重茂地域の3つの地域ごとの復興まちづくりのいくつかのプランを示し、33地区ごとに100戸以上の地域(10地区)は検討会を立ち上げ、40戸以下のところ(23地区)は全員で市との話し合いを実施して、来年2月までに市長に提言をあげることにしているとのこと。住民自身の協議による計画づくりを進めようとしていることは重要と感じてきました。

田老地区では4つの復興パターン示す
「近くの高台」の要望が47.1%、「新築」は48.8%


 とくに、明治、昭和の津波に続いて今回も壊滅的な被害を受けた田老地区については、市が4つの復興パターンを示しています。@浸水区域は非可住地として住宅地を背後の高台に移転、A浸水区域は非可住地として住居・町機能のすべてを集団で移転、B田老市街地の一部をかさ上げし、野原・野中地区は非可住地として背後の高台に移転、C野中・野原地区は非可住地として高台に移転し、田老市街地の全面をかさ上げ―の4パターンです。まだ大雑把な案ですがたたき台にはなりそうです。田老地区の住民アンケートでは、「住みたい場所」の第1位は「近くの高台」(47.1%)、第2位は「市内」(26.1%)、第3位が「同じ場所」(15.9%)、「考えている住まい」では、第1位が「新築」(48.8%)、第2位が「未定」(23.8%)、第3位が「公営住宅」(11.1%)となっています。住民の願いを踏まえ、生業の再生と結んだ町づくりを進めることは大変な課題であります。住民自身での協議を深め、合意形成が重要と感じさせられました。

漁船の確保は年内200隻程度か
秋サケの定置網漁は前年比9割(漁獲量)


 午後1時には、伊藤孝雄市水産課長から水産業の復旧の取り組み状況と課題について聞きました。漁船の確保は、重茂漁協で新造船431隻の申請に対し現在4隻、年内30〜40隻程度の見込み、漁船の修理補助の対象は100隻、宮古漁協では181隻の申請に対し年内30隻の見込み、田老漁協では、587隻の申請に対し、現在120隻確保しているとのこと。船の確保が進んでいない状況です。
 秋サケの定置網漁は、宮古で6ヶ統のうち3ヶ統が復旧、重茂で4ヶ統すべてが復旧、田老で2ヶ統が復旧済みとのこと。11月10日現在の漁獲量は前年比で89.1%、漁獲高では102.5%となっているとのこと。
 サケマスふ化場の復旧では、宮古で被災した4基のうち2基改修、田老では接待川の施設が設計中、田老川の捕獲施設は改修したものの、重茂の施設は今年度は厳しい状況とのこと。養殖施設の整備は、重茂で施設復旧に取り組み、田老で工事施工中とのことです。
 宮古魚市場の水揚げ高は、数量で前年比68%、金額で66%となっています。
 漁港の改修では、地盤沈下で市管理のものは応急修理も出ないでいるとのことでした。県管理の田老漁港では、昆布の加工場ががれきとなって放置されているのではないかと話されました。
 水産加工業者の被害と復旧の状況は、62事業者のうち50社が被災、34社が再開し、6社が再開予定、6社が廃業、4社が未定の状況。

水産加工事業者から話を聞く
グループ補助のすみやかな執行を


 宮古製氷冷凍工場(ミヤレイ)を訪問し、竹花健一社長、衣川昌雄専務、佐々木学常務から水産加工の復旧の状況を聞きました。臨港通りにある製氷冷凍工場は2階まで浸水したとのこと。3つの工場が被災。40人いた従業員を10人にして再建に取り組んでいる状況です。4分の3補助のグループ補助事業に6月申請したが7月末に事業費が3分の1に圧縮され、これでは復旧できないと思ったが、300億円の追加補正で補助率引き上げの方向が出され目途が立ってきたとの話です。「当初は7月に事前発注し8月までに復旧しサンマ漁に合わせたいと思っていたが、人も資材不足と相まって11月末までかかりそう。二重ローン問題についても相談センターと協議している」とのことでした。

NPO田老の取り組みを聞く

 7月28日にNPO法人「立ち上がるぞ!宮古市田老」を立ち上げた吉水誠理事から、田老における取り組みを聞きました。立ち上げる段階から期待が大きく、室崎益輝関西学院大学災害復興制度研究所所長、和田良司前奥尻町長などを招いた勉強会を開催し、地域住民自身の協議と取り組みを支援する事業に取り組んでいます。また、全国からの視察の案内役を務めるなどしています。6月以降900人に及び、巨大地震が予測されている関西からの視察が多いとのこと。
 田老地区の町づくりについては、仕事の確保にどう取り組むか、住民が住居を失った状況では田老に住む必然性がなくなる恐れもあると指摘。働き口があってこそ田老の復興に結びつくと産業の再生とまちづくりについて強調しました。400戸1000人近くが暮らすグリーンピアの仮設住宅でもコミュニティの確立は大変で、住民自身の議論を深めることには困難がありそうです。年代でも復興とまちづくりへの思いが違い、どう議論を深めるかNPOの役割も大きいと感じてきました。



田老で無料青空市に120人
鳥取からのボランティアがカニ汁ふるまう


 当日、日本共産党宮古地区委員会では、鳥取県委員会からのボランティアとともに崎尾誠市議の地元の田老地区で、無料青空市を開催。鳥取から寄せられたカニでカニ汁を振る舞いました。地域の方々120人が参加しみんなで支援物資を分け合うとともにカニ汁をいただきました。


《2011年11月13日》
大震災からの復旧・復興、TPP参加阻止など掲げ
11・13県民大集会開かれる―県内各地から500人が参加


 11月13日、「大震災からの復旧・復興、原発ゼロ、TPP参加阻止、消費税・庶民増税反対、守ろう いのち・きずな・平和な社会を 11・13県民大集会」が盛岡市の教育会館大ホールで開かれ、県内各地から500人が参加しました。
 11・13県民大集会実行委員会の鈴木露通実行委員長(いわて労連議長)が主催者あいさつ。私も日本共産党県議団を代表して連帯の挨拶を述べました(あいさつの大要はこちら)。岩手大学教授(保健管理センター所長)の立身政信氏が、「原発放射能汚染と私たちの暮らし」のテーマで記念講演しました。立身氏は、国会での児玉東大教授の発言を紹介し、放射能汚染の広がりと慢性障害の危険性を指摘、文科省が安全基準を引き下げたことを批判しました。
 県農民連の久保田会長、県商工団体連合会の藤沢会長、自治労連の高橋副委員長、県医労の県立釜石病院看護師が、TPP問題、消費税増税、大震災からの復興、県立病院の再建の課題では発言し決意表明しました。
 その後、盛岡市内の大通り商店街をデモ行進しました。


《2011年11月4日》
2011年9月県議会を終えて
複数議席を実現した日本共産党の論戦が県政を動かす


はじめに―
 県知事・県議会議員選挙を終えて初めての9月定例県議会が10月5日から11月4日まで開催されました。初めて複数議席を実現した日本共産党県議団は、東日本大震災津波の救援復興の具体的な課題を提起するとともに、公約の実現に全力で取り組みました。
 被災した県立病院の再建問題では、「被災した県立病院の再建を基本としつつ」、高田病院の仮設診療所には「入院機能を整備する」という知事答弁を引き出しました。また、民間移管した花泉診療所の常勤医師不在問題を取り上げ、知事を呼んでの決算審査集中審議の末、一般会計決算と県立病院決算は継続審議となりました。複数議席となった日本共産党県議団の論戦が県議会、県政を動かすこととなりました。
 
1、 被災県立病院の再建を基本に、県立高田病院の仮設診療所に入院病床が整備されることとなりました。
 県知事選・県議選の最大の対決点となった、被災した県立病院の再建問題について、達増知事は「被災した県立病院の再建を基本としつつ、地元市町の復興計画や地域医療再生に向けた二次医療保険医療圏での議論、県の次期保健医療計画の考え方を踏まえながら、立地場所や規模、機能について検討していきます」、「高田病院の仮設診療所に入院施設を整備する」と答弁しました。また、斉藤県議の決算総括質疑では「地域医療を再生していくというのは、機能も再生しなければいけない」と診療所化を否定する明確な答弁を引き出しました。被災した県立病院の再建に大きく前進する成果をあげました。同時に、県立病院の再建には様々な条件も付いており、今後、県立病院を早期に再建する地域での取り組みが重要となっています。

2、 東日本大震災の復旧・復興―被災者の生活と営業、雇用を守る課題でも前進勝ち取る
 今定例会では、東日本大震災の復旧・復興関連の853億円の補正予算と300億円余の追加補正予算が可決されました。
1) 二重ローン対策で岩手県産業復興機構設立へ、国の二重ローン対策も法案化
被災者の生活と生業の再生の最大の焦点となっているのが、二重ローンの解消問題です。今回の補正予算には、岩手県復興機構に出資する5億円と15億円の債務負担行為が計上されました。10月7日には復興相談センターが設立しています。1歩前進しましたが、「再建可能な事業者が対象」という選別と切り捨てになりかねない問題点を指摘し、再建を希望するすべての事業者を対象にするよう求めました。復興相談センターの構成は37人中29人が金融機関からの派遣で、統括責任者は岩手銀行OBとなっています。金融機関のためではなく被災者の立場に立った相談センターとなるよう改善を求めました。その後、国政では3党合意による国の二重ローン解消めざす法案提出が確認され、復興機構の対象とならない事業者、漁業者や医療関係者を対象にすることが示されました。
2) 事業者グループに対する4分の3補助金について、国の予算規模の制約から県は事業費を3分の1に縮小して対応していました。追加補正予算として300億円が計上されたことから、4分の3補助になるよう補助率を引き上げるよう対応すると答弁がありました。県単独の中小企業資産修繕費補助事業(予算6億8000万円)については、内陸の被災事業者も対象にするよう求めましたが、すでに17億円を超える申請がされており困難とのことでした。県の事業費を拡大することが必要です。
3) 被災者の雇用対策については、沿岸地域で雇用保険受給者(3月12日〜9月25日)は11156件、緊急雇用対策基金を活用した雇用者は4523人となっています。雇用保険受給期間の延長措置があったものの、雇用問題は深刻な状況です。富士通、ソニーによる解雇者の再就職はほぼ100%に達していることが明らかになりました。一方で関東自動車はこの間期間工と派遣労働者を増やしていることは問題です。
4) 水産業の復興の課題では、約6800隻の船の確保の予算を盛り込んだものの9月末現在1123隻にとどまっています。養殖施設の整備は1万1千台の整備を進めていますが被災前の約4割の復旧です。サケの定置網漁は、70ヶ統が稼働し、被災前の約6割の復旧をめざしています。10月20日現在の漁獲量は前年比約7割、金額で約9割となっています。111漁港のうち108漁港が被災しましたが、ガレキの撤去と応急修理等ですべての漁港で漁船の利用が可能な状況となっています。
5) 被災者の生活再建の課題では、仮設住宅に1万3099戸31575人、在宅の被災者約12000人(陸高、大船渡、大槌は未調査)、民間住宅などみなし仮設住宅は4464 戸12039人、県外避難1593人となっており、支援がほとんどない在宅被災者対策を求めました。仮設住宅についてはすべての住宅に暖房器具の設置を約束させるとともに、みなし仮設についてもNPOの協力を含め現在協議中と答えました。また、すべての仮設住宅団地に集会所・談話室の設置と自治会の確立を求めました。義援金については、県内8市町村で事業者にも支給されていることが明らかになりました。しかし、義援金の需給を理由に110世帯が生活保護を打ち切られていることが明らかになり、改善を強く求めました。
6) 被災者の住宅確保への支援策では、住宅ローンへの利子補給が示されました。さらなる支援について検討を進めていると答えました。復興公営住宅(4000〜5000戸の計画)については希望者全員が入居できる規模で建設するよう求めました。住宅リフォーム助成については、今年度8月末までに6831戸、補助額5億6千万円、工事費59億円で経済効果は約92億円であることを明らかにし、具体的な制度設計を検討していると答えました。
7) 防潮堤、湾港防波堤とまちづくりについて、県が示した防潮堤の高さは上限であること。住民の議論を踏まえてまちづくりと合わせて検討されるべき課題であることを強調しました。湾港防波堤については、30年と1200億円かけた釜石湾港防波堤が大きく破壊されたことを、徹底した検証と見直しを求めました。
8) 被災した学校の早期再建・整備を求めるとともに、被災児童・生徒就学援助の徹底と拡充・継続を求めました。学校の耐震化については、平成27年度までに、484棟のうち378棟の耐震化の計画となっており、残る106棟の耐震化を前倒しで実施するよう求めました。

3、 東京電力福島原発事故による放射能汚染問題では、子どもの安全を最優先に学校、保育園、幼稚園、児童公園など放射線測定と除染を徹底して行うことを求めました。一関市による地上地点(1p)での調査では138施設のうち92施設で毎時1マイクロシーベルトを超える状況が明らかになりました。県も地上地点を含む市町村の調査と除染を補助対象にすることにしましたが、県自身の調査は地上50p、1mにとどまっています。県内全域にわたる徹底した放射能汚染調査を早期に実施するよう求めました。稲わら・牧草汚染問題では、国と県が責任を持って一時保管場所を確保するとともに、全面賠償を早期に行うことを求めました。稲わら・牧草の賠償請求は2900万円、肉牛の出荷停止・全頭検査等の賠償請求は10億円余となっており、11月15日までに第3次の請求を行う予定で、11月15日までの請求分は年内に賠償される予定です。

4、 花泉診療所の常勤医師不在問題を徹底して追求し、一般会計決算と県立病院決算が継続審議となりました。
 この問題は、高田県議の一般質問で取り上げ、斉藤県議の決算特別委員会の総括審議での追及、医療局審査を通じて大きな問題となって、知事を呼んでの決算特別委員会による集中審査が行われました。医療法人白光の一貫した事業計画の偽造というべき実態を明らかにしました。また、昨年5月から施設の賃貸料が滞納になっている事態も明らかになりましたが、県・医療局の医療法人擁護姿勢と無責任さも浮き彫りとなり、一般会計決算と県立病院会計決算議案が継続審査となりました。
 
5、 高すぎる国保税の問題では、課税所得92万円の世帯が15万4000円の課税となっていること。滞納世帯が15.56%、盛岡市では20%に達し、資格証明書の発行は531世帯、短期保険証の留め置きは1138世帯で1669世帯が事実上無保険状態にあること。さらに3839件、11億2000万円も滞納者の給与や年金まで差し押さえしている冷たい実態を明らかにして、保険証取り上げの中止と国保税の引き下げを求めました。また、特養ホーム待機者(2011年7月末)が6183人となり、早急に入所が必要な待機者も1253人となっています。この間の取り組みで今年度1090床の整備が計画されています。

6、 TPP交渉参加問題も岩手の農林水産業の死活にかかわる問題、大震災津波の復興に逆行する大問題として達増知事の姿勢を質しました。達増知事は「時期尚早」「慎重に検討すべき」のあいまいな答弁に終始しました。

7、 今県議会では、大企業に1憶円の料金引き下げを行っている工業用水道事業会計と県議の報酬5%削減の発議案に、少なくとも15%以上の削減が必要との立場から反対しました。5%削減には民主、自民、地域政党、公明党、無所属の2人が賛成しました。

8、 今県議会には多くの団体等から請願が提出されました。農協中央会と食と農ネットワークから提出された「TPP参加に反対する請願」、県保険医協会が提出した「被災地復興のための医療等の充実を求める請願」、いわて生協などからの「被災者支援灯油・福祉灯油の実現等を求める請願」などは全会一致で採択され、国に対する意見も採択されました。いわて労連等から提出された「原発からの撤退と自然エネルギーの本格的な導入を求める請願」は継続審査となりました。

 初めて複数の議員団となって取り組んだ今県議会では、民主党会派が過半数割れとなっていることも含め、日本共産党の道理ある主張が県議会を動かす場面が多々ありました。引き続き大震災津波からの復旧・復興と公約実現に全力で取り組みます。

2011年11月4日 日本共産党岩手県議員団長 斉藤信


《2011年11月2日》
花泉診療所の民間移管問題で集中審査
転院患者は死亡、家賃は昨年5月以降未納


 11月2日の決算特別委員会で、医療法人白光に民間移管した花泉診療所の問題についての集中審査が行われ、斉藤県議が質疑に立ちました。
 斉藤県議は、「10月最後の入院患者が、同法人が運営する転院先の老健施設で亡くなったがその時に医師は立ち会っていなかった」と告発。また新聞報道で、同法人の橋本堯夫会長が「今後は入院患者を受け入れられない」「外来も経営も止めたい」と示唆している問題は重大だと指摘し、達増拓也知事の認識を質しました。達増知事は、「現段階では、常勤医師の交代に伴い入院を控えているが、入院を再開できるよう努力していると聞いている。きちんと当事者と直接会って意志の確認をすべきと考えている」と答えました。
 斉藤県議は、一昨年の民間移管公募の際の事業計画書および昨年3月に改めて提出された事業計画書で示された医師は虚偽のものだったと厳しく指摘。さらに、診療所の家賃が昨年5月以降未納になっている事実も斉藤県議の質問で明らかになりました。斉藤県議は、「戦後50年以上にわたり地域医療を守ってきた県立の医療機関を廃止し信頼性のない医療法人に任せた県の責任は重大。知事を先頭に責任ある対応をすべき」と求めました。達増知事は、「民間の力で有床で存続させたいという思いが10年間有床診療所として存続するという契約に実っている。これをしっかり続けることができるようにするということが基本と考えている」と述べました。

 決算特別委員会での集中審査の質疑大要については、「議会報告」をご覧ください。