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《2008年7月31日》
燃油が5年間で3倍に
漁業関係者等への直接補てんの緊急対策を申し入れ


 7月31日、日本共産党岩手県委員会は達増拓也知事にたいし、原油高騰で深刻な打撃を受けている漁業関係者等への直接補てん等緊急対策を求める申し入れを行いました。斉藤信県議会議員、瀬川貞清書記長、西山剛国会事務所長、滝田松男大船渡市議が参加し、宮舘壽喜副知事が対応しました。
 党県委員会と沿岸地方議員団はこの間、県内の漁協や漁業関係者を訪問し実態を調査。「燃油が5年間で3倍、資材代も2倍以上に値上がりした」「融資ではなく直接補てんの対策を」「投機マネーの規制を強化してほしい」など切実な声が上がっています。
 申し入れ項目は、@漁業用燃油の直接補てん、休漁補償などを国に求めることA県として独自に燃油高等に対する直接補てんなどの対策を実施することB原油高騰の原因となっている投機マネーに対する政府の姿勢を転換し、実効ある規制措置を求めること―など5項目です。斉藤県議は、「国の緊急対策が示されたが、補助枠が80億円ときわめて小額でほとんど対象にならない」と指摘。滝田市議は、「養殖業者も資材の高騰で深刻な打撃を受けている。沿岸地域の経済が衰退しかねない」と訴えました。
 宮舘副知事は、「全国知事会で緊急決議をあげ投機マネーの規制を国に求めている。厳しい予算だが、県としてやれることはやっていきたい」と述べました。

 申し入れ全文は、「政策と活動」をご覧ください。


《2008年7月28日》
燃油高騰問題・漁業問題で県漁連会長、
大船渡、綾里、越喜来、吉浜の各漁協を訪問懇談


 7月28日、紙智子参議院議員、瀬川貞清県書記長、党宮古市議団とともに宮古市漁業協同組合を訪問し、大井誠治県漁連会長と懇談しました。
 大井会長は、原油高騰問題について、平成15年40円/?だったものが現在は120円に3倍に高騰している、27単位漁協で1万5千隻の漁船があり、漁船の代償はあるが同じように影響を受けている。生産費に占める燃料代も20〜25%だったものが40%となっている。当座しのぎの対策ではダメで、水産国の漁業の存続がかかった問題だ。食料自給率をどう守り引き上げるかが重要と述べました。
 
投機マネーの規制で元を解決すべき
系統燃油への助成など直接補填こそ必要


 大井会長は、原油高騰の原因である投機マネーの問題に触れ、元の問題を解決しないとダメだ、サミットでなぜ対策が出せなかったのか、なぜ規制ができなかったのか、本当に腹が立つと強調しました。また、国の102億円の対策については、条件が厳しく実際には使えない、直接補填こそ必要と述べ、漁船は系統燃油を使用しており、全漁連などに助成する方法もあるのではないかと指摘しました。紙議員からは、投機マネーの規制については今日国会議員団として政府に申し入れを行う予定だと述べました。私は、投機マネーの規制に背を向けているのはアメリカと日本政府で、大銀行や大商社がヘッジファンドなどに投資・投棄していることが背景にあるが投機マネーの規制はやる気になればすぐできることだと述べました。
 また、今後の漁業振興策について大井会長は、輸出も伸び約100億円となっているサケの回帰率を現在の2%から3%に引き上げること。アワビ、ウニ、ナマコなどの増殖、カキ、ホタテ、ワカメ、コンブなどの養殖の推進で所得の向上を図ることが重要と述べました。

一過性の問題ではない、超党派で解決を
国の対策は使いづらい


 県漁連会長との懇談に先立って、朝6時に盛岡を出発し大船渡へ、紙智子参議院議員、瀬川貞清県書記長、大船渡市議団と合流し大船渡市内の各漁協を訪問しました。今回の漁協訪問は、燃油高騰問題など緊急事態について実態と要望を聞くとともに、8月23日(土)に三陸町ホールで開催を予定している第4回漁業シンポのための調査を目的としたものです。
 朝9時、大船渡漁協を訪問し、志田安雄代表理事組合長と懇談しました。燃油高騰問題について志田組合長は、「一過性の問題ではない」「国の102億円の対策は条件・対象が厳しく限定される。広く浅く使えるようにすべき」「漁業者も自ら経営をどうするか考えなくてはならない」「価格保障制度が必要」と述べ、「超党派で解決してもらいたい」と強調しました。
 10時には綾里漁協を訪問、佐々木昭夫代表理事組合長と懇談しました。綾里漁協は養殖、定置が中心で比較的影響は少ないが、イカ釣り漁船は大変だ。また、資材代が高騰していて、焼却済みの資材を使用するなど努力しているとのこと。102億円の国の対策は使い勝手が悪い、融資では借金が増えるだけと指摘し全漁連の系統燃油に助成するなど直接の補填が必要と述べました。
 
県は水産業振興の真剣な対策を
水産業普及指導員の拡充を


 佐々木組合長は、定置漁業も前は70人ぐらいでやっていたが現在は30人程度にしている。それでも毎年高卒を2人採用しているとのこと。空き漁場については定置の漁民にも養殖に参加させるなどで、今は空き漁場はないとのこと。また、後継者のいる集落はホタテの周年出荷とアワビ、ウニと組み合わせるなどで所得が安定していることが特徴だと述べました。
さらに、最近は海の変化が激しい、潮の流れが激しく水温の変化もある。調査船の趙さんが必要と述べ、県の水産業普及指導員の役割は重要で営漁計画を推進する上でも減らさないようにと強く要望されました。
 11時30分には越喜来漁協を訪問、中嶋久吉代表理事組合長と懇談しました。中嶋組合長は、「燃油は上がる、魚価は据え置き、ロープや魚網などは倍になっている」と述べ、省エネ対策では対応できないと指摘しました。
 また、財務改善計画を立てて漁協経営の改善に取り組んでいると具体的に紹介するとともに、漁業の構造改善を目指す「高木発言」に「明治時代に逆戻りさせるもの」と強い危機感を表明しました。
 午後1時20分には吉浜漁協を訪問し、庄司尚男代表理事組合長など役員の方々と懇談しました。庄司組合長は、ガソリン、軽油、A重油などの高騰の状況を具体的に述べ、「今後とも値上がり状態は続くので深刻だ。国の102億円の対策は大型漁船向けで沿岸漁業では使えない。直接補填しか恩恵がない」と強調しました。参加した役員の方々からは、「何かあればぜひ漁民の生の声を聞いてほしい」「高木提言は非常に危険だ、今までの原理・原則を否定するものではないか」「国の対策は条件が厳しくつけない」「密漁対策にもっと取り組んでもらいたい」などたくさんの質問、意見が出されました。


《2008年7月26日》
本町・花屋町公民館で「暮らしと政治を語るつどい」
後期高齢者医療から雇用、認知症問題までざっくばらんに


 7月26日、本町地域の花屋町公民館で「暮らしと政治を語るつどい」を開きました。地域の方々30人近くが参加、ざっくばらんな集いとなりました。
 最初に鈴木努市議が、市内の学校の耐震診断結果や後期高齢者医療とコメ問題の意見書が採択されたことなど市議会報告を行いました。私が、「後期高齢者医療制度、雇用、農業問題と日本共産党の果たした役割」について報告。地域のケアセンターすみれのセンター長、尾形京子さんが「認知症の介護について」ビデオ上映を含めはなしました。
 参加者からは、「たけしのテレビタックルを見た。日本共産党の主張は100%正しいと思うが共産党内部の問題はどうか」「耐震診断結果の具体的な内容は」「道路の痛みがひどく補修してほしい」「認知症の高齢者はどうしたらグループホームや特養に入所できるのか」「年金は物価スライドで、物価が上がったら増えるのか」などたくさんの質問や意見が出されました。
 私は、蟹工船ブームや資本主義の限界がいわれる中で日本共産党に対する期待と関心が高まっていることを述べ、日本共産党は内部問題でも何も隠し事はなく、みんなで方針を議論してきめ、決めたことはみんなで実践することを原則にしている政党だと答えました。認知症の問題について尾形京子さんは、認知症の高齢者の思いを理解して対応することが大事と述べ、施設への入所は待機待ちで1〜3年もかかる状況にあり、ショートステイも9月過ぎまで予約でいっぱいになっていると介護体制の不備を指摘しました。


《2008年7月18日》
後期高齢者医療と暮らしを語る会
本宮地域で25人が参加


 7月18日、午後7時から本宮第5公民館で「後期高齢者医療と暮らしを語る会」が開かれ私と鈴木努市議が議会報告を兼ねて話をしました。
 私は、後期高齢者医療が社会保障切捨ての当面の焦点になっており、国民の怒りと一大運動が広がっていることを紹介。後期高齢者医療の目的が「医療費の削減」にあること。保険料でも差別医療の導入でも高齢者いじめの制度であることを具体的に説明しました。
 鈴木市議は、6月市議会で後期高齢者医療制度の廃止を求める請願とミニマムアクセス米の中止と再生産を保証する米価を求める請願と意見書が採択されたと報告。学校施設の耐震化、特養ホームの整備などの問題について述べました。
 参加者からは、「71歳の障害者だが後期高齢者医療に入らなければならないのか」「前期高齢者だが介護施設に入れない」「姉の介護をしているが病院のたらいまわしで困っている」「灯油は今年2300円に高騰している、原油高騰問題の原因と解決の見通しはあるのか」「大分県のような教員採用における問題はないのか」などたくさんの質問が出され、丁寧に答えました。


《2008年7月17〜18日》
秋田県の中高一貫校、学力向上の取り組みを調査
商工文教委員会が県外調査


 7月17〜18日、商工文教委員会の県外調査で秋田県の横手青陵学院中学校・高等学校、秋田県産業技術総合研究センター、三種町教育委員会、小坂町を訪問し調査を行いました。

横手青陵学院の中高一貫校は校舎・グランドなど施設が充実
岩手の一関一高付属中学校とのあまりの違いに驚く


 午前9時に県議会を出発し高速で秋田県横手市にある県立横手青陵学院中学校・高等学校に向かいました。横手青陵学院は横手工業高校を母体とする県南地区の中高一貫校で、平成12年7月に第5次秋田県高等学校総合整備計画で中高一貫校への再編が決められ、平成16年4月に県立横手青陵学院として開校しました。当時の経過と地域の議論を尋ねたところ、横手地域には進学校の横手高校と横手工業、女子高の横手城南高校があったが、男子が入学できる普通科の要望があったとのことでした。現在中学校は1学年2クラス80人で1年生は全県的な30人程度の学級編成で3クラスとなっています。3学年で男子が93人、女子が147人と女子が多数で受験者数も同じだとのこと。中学校の選抜は、作文と集団活動、面接さらに小学校の調査書とのことで適性検査はありませんでした。受験倍率は1.3倍〜1.6倍程度で最近は下がっています。高校になると普通科が3学級、総合技術科が2学級となっています。高校になると男子が3学年で392人女子が199人と圧倒的に男子が多くなっています。教育の特徴としては、技術系をはじめ高校の先生が中学校の授業を行っていることです。中学校の生徒の満足度は保護者アンケートで88%になっているとのこと。
 一番驚いたのは中高一貫校を前提にした新校舎、体育館グランドなど施設・設備が整備されていることです。校舎内は木造をふんだんに使用した校舎で、3つの体育館、2つの野球場、陸上、サッカー場、5つのテニスコートとプールが整備され、校舎の3階に合宿・宿泊ができるセミナーハウスも整備されていました。中学校2クラスではクラブ活動が大変のようでしたが、設備だけは独自に整備されていました。高校には食堂があり、中学校は自校方式の完全給食が実施されています。
 施設・設備の計画もなく、あわてて中高一貫校を一関一高に導入した岩手県との違いを痛感させられました。もし、6月県議会の設置条例の審議前に視察していたらほかの議員も態度が違っていたのではないかと思う状況でした。
 
学力テスト全国1の秋田県の取り組み
少人数学習、家庭学習など丁寧な指導と努力


 秋田県は昨年の全国学力テストで「全国1位」の結果でした。三種町は秋田県の中でも県平均を上回る結果を上げています。大塚強町教育長と湖北小学校の松山敬悦校長から学力向上の取り組みを聞きました。
 三種町は秋田市から北へ車で約1時間のところにある人口約2万人の小さな町です。大塚教育長は、平成14・15年度の県の学習状況調査では学力が低水準だったが、18・19年度には良好な成績となった。昨年の全国学力テストでも国語、算数の活用力を試すテストは全国平均を大きく上回る「優」(全国平均を100とした場合120〜130未満)の結果となったとのこと。この間の取り組みとしては、県の少人数学習、学習状況調査の活用、教育専門監の配置とともに、町として文科省の「学力向上フロンティアスクール事業」(14〜16年度)、「学力向上拠点形成事業」(17〜19年度)に町全体で取り組んできたとのこと。家庭学習の取り組みに保護者とともに取り組んできていることが印象的で、家庭での学習が定着していることが特徴です。
 松山校長は、湖北小学校の学習指導法について、「確かな学力を身につけ、主体的に学ぼうとする子どもの育成」を目指し、楽しさと充実感のある算数科・社会科の授業改善の取り組みを紹介しました。「単元で身につけたい基礎・基本の明確化」「まとめ・習熟・振り返りまでのねらいがはっきりした授業の展開」「家庭との連携を密にした家庭学習や宿題の取り組み」「毎週のミニテスト」など丁寧な取り組みが特徴的でした。中学校の先生が社会や音楽、美術などの授業を行う小中連携にも取り組んでいるとのこと。
 教師集団の授業改善の取り組みは、教師の意識改革と学びたい意欲をどう引き出すかの工夫、見取り・励ましの重要性が指摘されました。学力テストのための取り組みについては、受験対策的なものはやっていないが、持っている力を出せるような練習問題は実施しているとのこと。テスト漬けとならないようCRTのテストはやめたとのこと。
 「当たり前のことを当たり前のようにやっている」と大塚教育長は強調しました。

秋田県産業技術総合研究センター
小坂町の産業遺産と観光を調査


 1日目の午後には秋田県産業技術総合研究センターを視察。60億円かけた高度技術研究所と秋田県工業技術センターが平成17年に統合しています。これまでは垂直磁気記録の研究に取り組み、現在は航空機産業にも取り組んでいることが特徴です。県の研究としては費用対効果と地場産業への影響については疑問が残りました。
 2日目の午後は、小坂町を訪問。小坂鉱山事務所で川口博町長から近代産業遺産を活用した町づくりについて説明を受けました。川口町長は合併しないで町づくりに取り組んでいることについて「合併に賛成だが、自主自立の気持ちを住民が持ってから合併すべき」日本はどうあるべきか、その中で小坂町はどうあるべきかを考えている」と述べ、昔の鉱山から環境産業に転換して町づくりを進めていると強調しました。小坂鉱山事務所は国指定の重要文化財に指定されています。全国では唯一の芝居小屋・康楽館も視察しました。


《2008年7月12日》
「後期高齢者医療を考える」
7・12シンポジウムに会場いっぱいの230人が参加


 7月12日、盛岡市勤労福祉会館5階大ホールで「後期高齢者医療を考える」シンポジウムを開催しました。日本共産党県委員会と盛岡地区委員会、斉藤信県議会議員、盛岡市議団の主催によるものです。会場いっぱいの230人が参加し熱気に包まれました。
 シンポジウムに向けて600を超える老人クラブや開業医の方々、労働組合や民主団体に参加と協力を呼びかけました。岩手県医師会の石川育成会長、県歯科医師会の箱崎守男会長、県保険医協会の箱石勝見会長からメッセージも寄せられました。
 主催者を代表して瀬川貞清県書記長があいさつ、「高齢者を差別する後期高齢者医療制度に国民の怒りが広がり、参議院では廃止法案が可決され、衆議院でも否決できずに継続審議となった。6月地方議会で岩手県議会、盛岡市議会など県内5市町議会で廃止・抜本的見直しを求める意見書が採択された。重要な時期のシンポジウム開催となった」と述べました。
 シンポジウムは私がコーディネーターを務め、はじめに4人のパネリストの方々から発言をしていただきました。

後期高齢者医療は医療費削減が目的
外来から終末期まで差別医療の実態を告発―田村公一氏


 産婦人科医師の田村公一さんは、後期高齢者医療の目的は、2025年までに8兆円(後期高齢者分は5兆円)の医療費削減にあることを指摘。日本の医療は現在でも国民総生産(GDP)に対する総医療費が8%で先進国30か国中22位となっている実態を示しました。
 後期高齢者医療制度に持ち込まれた差別医療の実態について、外来診療では定額制が持ち込まれ月6000円の診療報酬となっていること。これではレントゲン1枚、血液検査1回程度しかできないと述べました。入院の場合は退院を勧める仕組みが作られ、終末期医療については、「治療効果が期待できず予測される死への対応が必要となった」高齢者に対して、経管栄養や人工呼吸器、蘇生術などの延命治療を希望するかしないかを患者もしくは親族に対して確認を求める具体的な文書を示し、差別医療の実態を告発しました。

国に翻弄され戦前・戦後生き抜いた後期高齢者
老人医療無料化こそ憲法に基づく「いのちの作法」―小松原進氏


 全日本年金者組合岩手県本部委員長の小松原進さんは、自ら後期高齢者青年部だと自己紹介、戦前の教育は小学校(国民学校)で教育勅語を暗記させられ、軍隊に入って天皇のために死ぬことが最大の美徳とされた時代だったと小学6年で航空機少年養成所を受験した体験を述べました。昭和20年の終戦の日は明るい電気のもとで眠れたことが一番の喜びだった。戦後は憲法のもとで社会保障制度が作られ、沢内村で全国で始めて老人医療費の無料化が実現し、自らも町議を勤めた岩泉町でも実現し、東京都から全国に広がった。沢内村の医療を記録する映画「いのちの作法」が上映されているが、命の作法とは生まれてからなくなるまでのあり方ではないか。国は「いのちの作法」を知らないと述べ、年金者組合が取り組んできた活動を紹介しました。

経済の低成長時代への以降、少子高齢化が社会的背景
社会保障制度全般について国民的議論が必要―扇田竜二氏


 盛岡市保健福祉部長の扇田竜二さんは、長寿(後期高齢者)医療制度の社会的背景について、経済の低成長時代への移行と少子高齢者社会の進行を挙げ、国民会保険制度を堅持するために導入されたと述べました。制度の内容と国の軽減措置を説明し、市としては、市民の皆さんにわかりやすい説明に努力するとともに、運用上生じる課題については改善するよう国に働きかけていると述べました。その上で社会保障制度全般について、国民的な議論が必要と述べました。

国会での論戦と国民の運動が大きな力に
後期高齢者医療制度廃止へ財源問題も焦点に―高橋千鶴子氏


 国会論戦の先頭に立ってきた高橋千鶴子衆議院議員は、野党4党が共同提出した廃止法案の結末と成果をどう見るかについて、391万人余の署名、16県614議会(32.4%)の意見書など国民的な世論と運動が国会を動かし継続審議となったと述べました。国会の論戦については、2000年参議院決議で{高齢者を別枠とした医療制度を早く創設せよ」と提案したのは民主党だったと述べ、2006年の医療法の改悪のときにも強行採決の直前に法案に反対の態度を決めたことを紹介。国民の世論の高まりと野党の共同を強める中で廃止法案の提出にこぎつけたと述べました。今後は医療費・社会保障費の財源論が重要な課題となるが、民主党はそもそも消費税の増税に賛成の立場にあると問題点を指摘しました。

会場から10人が発言
後期高齢者も現役世代もともに力合わせて


 パネリストの発言を受けて会場から10人の方々が発言しパネリストに対する質問も出されました。後期高齢者になった方は、「私も教育勅語で教育を受けた」「中国で関東軍に入隊し終戦後シベリヤ抑留となった」とのべ「生き延びて、生き抜いてきて、この仕打ち」という新聞に出ていた川柳を紹介しました。また、「介護サービスを受けているが体調が悪くなっても要介護度は変わらず、必要な介護サービスが受けられない」「医療生協の支部が中心になって6回315人が参加する学習会を開き、老人クラブの協力を受けて1730筆の署名を集めた」「後期高齢者医療制度は、生きることより死に向かっているような制度ではないか」「高齢者世帯のアンケート調査では、制度を知らない:53%、保険料が高くなった:27%、安くなった:11%、天引きはやめてほしい:43%という結果だった」など発言が続きました。
 旧沢内村(現西和賀町)から参加した高橋典成さんは、「1960年から老人医療費の無料化を始めたのは、医者にかかりやすくするためだった。」「当時村長は、乳児や高齢者を守らないと社会の秩序が守れないと全国に先駆けて老人医療の無料化を実施した。生命尊重の行政はいまこそ必要になっている」と発言しました。
 最後に、4人のパネリストがそれぞれ参加者から出された質問に丁寧に答え、まとめの発言を行いました。
 
「知れば知るほど怒りがわいてきた」「大変内容のあるシンポだった」
「パネラーの発言もフロアからの発言も説得力と迫力があった」


 参加者からは、「パネリストの発言はそれぞれの立場から説得力あるわかりやすい話しだった」「医療現場からの発言は説得力があった」「フロアからの発言も迫力があり、後期高齢者の生き方を訴えるものだった」「沢内村の老人医療費無料化の取り組みがよくわかった。『いのちの作法』をぜひ見たい」などの感想が寄せられました。また、「母が老健施設から病院に救急車で移送されたとき、終末期の医療における希望事項を説明され書面で確認された」「温泉旅館の方から、後期高齢者医療制度がスタートしてから、高齢者がぱたりと来なくなって、その影響が大きいと訴えられた」などの意見も寄せられました。
 大変充実した、楽しい、元気の出るシンポジウムでした。パネリストの皆さん、参加者の皆さんありがとうございました。


《2008年7月9日》
岩手・宮城内陸地震―被災者の生活再建へ交流会開く
一関、奥州で市議団と党支部が連日被災者訪問、ボランティア活動


 7月9日、岩手宮城内陸地震対策の交流会を奥州市で開きました。これには私と瀬川貞清県書記長(党災害対策本部長)、奥州市議団、高田一郎氏と一関市議団が参加しました。
 最初に私から、6月県議会での災害対策について報告し、被災者の住宅再建に対して知事が「県独自の助成制度を検討している」「全壊以外の被害を受けた家屋についてもコミュニティを守ると言う観点からきちんと対応していくような仕組みをできるだけ早く徹底していきたい」と重要な答弁を行ったことを紹介。鳥取県並みの支援策の実現をめざすことを強調しました。また、土砂災害の危険度Aランクの地域の災害関連の急傾斜地対策も被災者の要望に応え事業化が検討されているなど、被災者の声と党の運動が県政を動かしていると報告しました。
 
6チーム16人で被災者を訪問、具体的要望を聞く
4次にわたって市に要望―奥州市議団


 奥州市議団と党支部は、チームを作って被災者の訪問を行っています。当日も6チーム16人で衣川地区を訪問。どこでも「よくきてくれた」と歓迎され、「一部損壊となっているがまだ風呂の改修ができず入れないでいる」「水田にポンプアップして水を引いたが、燃料代が100万円もかかっている。市の補助をお願いしたい」「農地災害で地形するにも設計料が農家負担になるのではやれない」などの切実な声が出されています。奥州市議団では被災者から寄せられた声と要望をそのつど4回に渡って相原市長に改善を求めてきています。この間、地域に近い場所への避難場所の設置と仮設住宅の実現や被災者への温泉入浴券の配布、災害ごみの収集など具体的な改善をたくさん実現しています。こうした取り組みを市党ニュースや民報「奥州」で知らせています。

被災者のための手引き1000部作成し配布、550戸の被災者を訪問
ボランティアで風呂の改修や補修も手伝う― 一関市議団と支援センター


 一関市議団と両磐地区委員会は、「被災者のための制度活用の手引き」を1000部作成し、すべての被災者を訪問して実態と要望を聞く取り組みを行っています。これまで550軒を訪問しています。「いろんなところから人が来るが何もやってくれない」の声が寄せられ、要望には必ず応える活動を重視。支援センターとしてネームと腕章をつけ建設関係の後援会員の協力を受けボランティア活動を展開。風呂や壁などの補修も手伝っています。「3週間ぶりに入浴できた」と喜びの声も寄せられています。避難生活をしている住民からは、冬までに元の地域に戻れなければ屋根の雪下ろしもできずだめになってしまうなどの切実な声も寄せ荒れています。一関市議団は、これまで3回にわたって浅井市長に対する要望を行っています。
 交流では、一関市では、農地農業施設の災害関連事業で市独自の助成を行って農家負担を軽減していること。臨時市議会や特別対策委員会に向けた取り組みなどについて意見交換しました。

地震と放流でがけが崩壊
胆沢区愛宕地区の胆沢川流域住民と懇談


 夜7時過ぎから地震の被害が大きかった胆沢区愛宕地区の胆沢川流域の住民と懇談しました。この地域は地震で地割れやがけ地が崩壊し、住宅にも宅地にも「危険」の張り紙がされています。また、胆沢川が放流するときには私有地の杉林にも川が流れ、がけ地を侵食しています。護岸の要望が強く出されました。胆沢川による被害の実態を奥州市や県に理解してもらい、自身による災害対策を含め要求していくことが重要と話し合いました。この件については、6月24日の達増知事への地震対策の要望でも提起していました。


《2008年7月7日》
6月県議会・最終本会議で後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書を採択
自民党・公明党が反対


 7月7日の県議会・最終本会議で、「後期高齢者医療制度」の中止・撤回を求める意見書が採択されました。これは県保険医協会や生活協同組合連合会、社会保障推進協議会など七団体が提出した請願が採択されたことによるもので、自民党・公明党が反対しました。
 意見書に対する賛成討論に立った斉藤県議は、制度の目的が医療費削減にあること、すべての後期高齢者から保険料は年金からの天引きで徴収し滞納者からは保険証が取り上げられる、安上がりでまともな医療・検査もできない「後期高齢者診療料」の導入、市町村独自の人間ドックに対する助成もなくなっているなど差別医療の問題点を指摘。全国三十を超える都府県医師会が反対を表明するなど国民の怒りが沸騰し、制度は破綻状態にあると述べました。さらに、日本の医療費は国民総生産に対してわずか八%にすぎず、異常なまでの医療費、社会保障費を削減する政策は撤回すべきと強調。大企業、大資産家へのゆき過ぎた減税や軍事費へのムダ使いをやめれば医療費、社会保障費の財源は確保できると訴えました。
 意見書では国にたいし、「速やかに後期高齢者医療制度を廃止するとともに、国民的合意を前提に、高齢者医療を含む医療制度の抜本改革を行う」ことを求めています。

ミニマムアクセス米の輸入を停止し再生産できる米価を求める請願は不採択
自民・民主・政和社民が反対、農民・消費者・県民の願いに背を向けるもの


 また、農民運動岩手県連合会が提出したミニマムアクセス米の輸入を停止し再生産できる米価を求める請願の採択が行われました。請願では、@ミニマムアクセス米の輸入を一時中止し、制度の見直しをWTO交渉の場で強力に働きかけることA生産費を償う米価を補償するための政策をとることを求めていましたが、自民・民主・政和社民などの反対で不採択となりました。
  斉藤県議は、世界的な食料危機と食料の高騰が深刻な影響を及ぼしている中で、日本の食料自給率は39%、穀物自給率は27%。アメリカなどから年間77万トンの米を輸入し輸入米の在庫は152万トン、国産米は20万トンも不足しているのが実態である」と指摘。米と農業を守る最大の課題は再生産を保障する価格補償であり、水田の多面的機能を踏まえた所得補償が必要と述べ、「請願に反対した政党と議員は世界に流れにも農家の願いにも反するもの」と厳しく指摘しました。

 討論の全文、農林水産委員長に対する質疑の大要については、「議会報告」をご覧ください。


《2008年7月3日》
問題だらけの併設型中高一貫校―意向調査での倍率は4.58倍!
県議会・商工文教委員会で追及


 7月3日、県議会・商工文教委員会で、併設型中高一貫校の問題について取り上げました。斉藤県議は、「一番県民が心配しているのは小学校に受験競争が拡大することである」と述べ、選抜適性検査というだけで現実はぼぼ学力テストであると指摘。また、青森県の中高一貫校、三本木高校の例を示し、県立中学校の倍率が3倍以上になっていることを示し、県教委が5月に保護者にたいして行った意向調査の結果でどの程度の倍率になるか質しました。鷹觜高校改革担当課長は、「男子178名、女子188名、計366名で定員80名にたいし倍率は4.58倍になる」(7月3日現在。一部未集計)と回答しました。斉藤県議は、「結局は教育の多様化、経済的に裕福な家庭の選択の幅を広げ、子どもではなく親の選択になっている」と強調しました。法貴教育長は受験戦争の低年齢化の懸念について、「教育事務所や市町村の教育委員会を通じ小学校で受験対策のような特別の授業はしないという通知は出したい」と述べました。
 さらに施設の問題で、県立中学校は一関一高に隣接する古い校舎をリフォームしたものを使い、グラウンドや体育館は高校と同じで、まったくクラブ活動の保障がない点も指摘。鷹觜高校改革担当課長は、「部活動については、中高で合同できる部活動を協議しており、当面2年ほどはそのような形でやっていきたい。3学年そろった段階ではいろいろ議論していかなければならない」と述べるにとどまりました。

 質疑の大要は、「議会報告」をご覧ください。


《2008年7月2日》
岩手・宮城内陸地震―被災者の安全確保と生活再建を早急に
6月定例県議会・本会議で議案に対する質疑に立つ


 7月2日、6月定例県議会本会議で議案に対する質疑に立ち、岩手・宮城内陸地震の災害復旧と復興にかかわり170億円余が計上された補正予算について質しました。
 斉藤県議は、被災者の生活再建の最大の課題は住宅の再建であると述べ、鳥取県が実施したように、特別の条件なしに住宅の改築(300万円)と補修(100万円)に助成し一部損壊の被災者も対象にすべきと求めました。達増拓也知事は、「住宅再建は大きな課題であり、全壊等の世帯を対象に被災者生活再建支援法に準じた県単独の支援事業の創設を速やかに検討したい」と回答しましたが、一部損壊の世帯については「別途検討したい」と述べるにとどまりました。斉藤県議は、「一部損壊も含め中山間地の集落を守っていくという対策を示してこそ、被災者は希望をもって再建に立ち上がることができる」と訴えました。
 また、公的支援や義援金の支給の基準になる住宅被害の認定について、専門知識のない税務部門が中心となり行っている点についても指摘。「赤紙が貼られても実際は一部損壊」という実態があることも示し、建築家も一緒になり住宅の被害認定にあたり、被害状況を正確に把握した認定ができるように、県が人的・技術的な支援を行うべき」と強調しました。岩渕良昭保健福祉部長は、「税務部門中心のチームの構成や調査方法など改めて実態を聞き、必要があれば建築関係の専門家の体制についての要請も検討したい」と回答しました。


《2008年7月1日》
県保険医協会などが「後期高齢者医療制度」の中止・撤回を求める請願

 県保険医協会や生活協同組合連合会、社会保障推進協議会など7団体は7月1日、渡辺幸貫県議会議長にたいし、「後期高齢者医療制度」の中止・撤回を求める請願書を提出しました。これには斉藤県議をはじめ、民主党や政和社民クラブ、無所属の県議らが紹介議員となりました。
 請願では、4月から始まった後期高齢者医療制度にたいし、実施と同時に抗議や怒り、悲しみの声が連日寄せられ、7割以上の国民が制度を「評価しない」していると指摘。少ない年金からでも有無を言わさず年金が天引きされる、保険料を滞納すれば資格証明書が発行され全額自己負担となり医療がきわめて受けにくくなるなど制度の問題点も強調し、「見直し」ではなく、「中止・撤回」するよう国にたいし意見書を提出することを求めています。
 渡辺議長は、「私も思いはみなさんと同じである。負担は重く、どのような制度がもっともよいのか一緒に考えていきたい」と述べました。


《2008年7月1日》
農家が安心して生産できる政策を
農民連が渡辺県議会議長にたいし請願


 7月1日、農民運動岩手県連合会(久保田彰孝会長)は渡辺幸貫県議会議長にたいし、ミニマムアクセス米の輸入を停止し再生産できる米価を求める請願を行いました。斉藤県議が紹介議員となり同席しました。
 請願項目は、@ミニマムアクセス米の輸入を一時中止し、制度の見直しをWTO交渉の場で協力に働きかけることA生産費を償う米価を補償するための政策をとること―の2項目です。久保田会長は、「この間の米や穀物の価格高騰は全世界に深刻な影響を及ぼしている。そうした中で政府は不必要なミニマムアクセス米を毎年77万トンも輸入し、一方で国内では『生産過剰』が米価下落の原因であるとして生産調整が拡大・強化されている」と指摘。生産を守り、農家が生産から撤退しないよう生産費を償う米価を保障する政策が必要と求めました。
 渡辺議長は、「WTOの農業の組み方は見直し、自国のものは自国で食べることを基本にしていくべき」と述べました。