2024年10月16日 決算特別委員会
警察本部に対する質疑(大要)
・パワハラによる警察官の自死事件について
【斉藤委員】
上司のパワハラ・暴行によって自死に至った、8310万円余の賠償金を払った事件についてお聞きします。
10月9日付の岩手日報で、「19年盛岡東署員自死事件 パワハラの当時上司に県警が賠償を負担を求める」という記事がありました。これは10月8日の県議会総務委員会で、佐々木朋和委員の質問への答弁だったと思いますけれども、この求償権、賠償負担を求めるに至った経過とその理由を具体的に示してください。
【参事官兼首席監察官】
パワーハラスメント行為者に対する求償権を行使すべきという結論に至った経過と理由についてでありますが、県警察におきましては、昨年の12月定例会における損害賠償議案の議決以降、他県警察や他機関における求償事例の確認、弁護士への相談等を行うなどして求償権の行使の可否についての検討を継続してまいりました。
その結果、既に辞職した行為職員=元の上司が、故意をもって暴行等のパワーハラスメントを行っていたという事実を重く見て、県警察として、行為職員に求償すべきという結論に達したところであります。
最終的な求償権の行使の可否につきましては、県の職員賠償責任等審査委員会での審議を経て決定するものであり、現段階で詳細な答弁をできる状況にはございませんが、県警察において、必要な事務手続きを進めているところであります。
求償権を行使すべきという結論に至った理由について、もう少し詳しくご説明いたしますと、行為職員の責任につきましては、行為職員のパワーハラスメントは、警察官として法令の規定に則り適正に職務を遂行させるうえで必要な指導を行うに際して発生したものであり、いわゆるいじめや嫌がらせ目的ではなく、また、常時行われていたものでもなかったこと、行為職員の暴行の程度は、傷害に及ぶものではなく、被災職員に精神疾患発症の兆候や表見的な自死言動が認められなかったこと―などの事情がある一方で、行為職員に、自身の指導は行き過ぎた指導であって、パワーハラスメントに該当する行為であるという自覚があること、行為職員は故意をもって、暴行や長時間にわたる叱責を行ったことがあること―などの事情を考慮し、賠償責任を負わせるべきという結論に至ったものであります。
【斉藤委員】
大変重要な決定だったと思います。どういうレベル、メンバーで求償権を検討して、どの段階でこれは県警本部として決定したのですか。
【参事官兼首席監察官】
検討については、昨年12月の議決をいただいた以降、首席監察官以下で検討してまいりました。検討の経過、方向性といいますのは、その都度警務部長・本部長にも諮りながらきたところであり、結果6月までの間に求償権を行使すべきという結論に至ったところでございます。
【斉藤委員】
経過だけ先に聞きますけれども、現在県の職員賠償責任等審査委員会での審議を経て決定すると。これはいつ審査委員会に申請をしたのでしょうか。
【参事官兼首席監察官】
詳細な日付についてのお尋ねでございますが、6月20日には決定をして、それから速やかに担当の県人事課に送付したところでございます。
【斉藤委員】
そもそも昨年12月県議会で賠償するということを議決した。そのときの県警の説明は、「本件は、盛岡東警察署に勤務していた巡査が、元巡査部長からのパワーハラスメント行為により、精神疾患を発症し、平成31年1月28日に自殺に及んだものであり、公務と精神疾患の発症に相当因果関係が認められ、かつ精神疾患と自殺に相当因果関係が認められる事案に関し、損害賠償請求がなされた」という説明です。
今の説明できわめて重大だと思うのは、「すでに辞職した行為職員が、故意をもって暴行等のパワーハラスメントを行っていたという事実を重く見て、県警察として行為職員に求償すべきという結論に達した」と。だとしたら、事件が起きたのは平成31年1月28日、3月25日に元巡査部長をパワハラ行為による本部長注意処分にした―これは懲戒処分でも何でもないのです。こんな軽い処分をしたことは間違いだったということになりませんか。
【参事官兼首席監察官】
パワーハラスメントの行為職員に対する処分についてでありますが、この事案を認知した以降、調査は、職員の自死という非常に重大な事案であるという認識のもと、発生した警察署の内部調査ではなく、ハラスメント調査を独立して行う警察本部警務課と非違事案調査を行う警察本部監察課の職員が、行為者の上司をはじめ、交番所長、同僚、元交番所長、などの関係職員から聴取を重ねたほか、ご遺族の協力を得て、亡くなった職員の状況等も確認しているところであります。
また、調査すべき範囲については広範に及ぶものではなく限定されていたことから、適切な期間で行われたと認識しているところであり、当時の調査については、丁寧かつ必要十分なものであったと認識しております。
調査の結果、上司の指導は警察官として法令の規定に則り適正な職務を遂行させる上で必要な指導であって、いじめや虐待の意図によるものではないと認められたところであります。しかしながら、その指導にあたりまして、暴行等のパワーハラスメントが行われた場面があり、その程度は傷害に及ぶものではなく、また常時行われていたものでもありませんでしたが、指導の行き過ぎということが認められたところであります。その上で、自死の唯一の原因の特定には至らなかったものの、「パワーハラスメントが自死の一因となったことは否定できない」という調査結果となったものでございます。このような状況から、調査の結果、先例等を総合的に勘案しまして、当時の基準に基づいて本部長注意という処分にしたのは適正なものであったと認識しているところでございます。
【斉藤委員】
そんな説明は県民に伝わりませんよ。予算委員会で聞いたときに、どれだけの期間パワハラ・暴行が行われたのか。平成30年5月頃から同年12月頃まで8ヶ月にわたってパワハラが行われていたと。今の答弁で、「それは故意をもって、暴行等のパワーハラスメントを行っていた」と。これがなぜ本部長注意なんですか。8310万円の賠償金を払わなくてはならないような事件だったのではないですか。
あなた方は、最初から「当時はパワーハラスメント行為が自殺の一因となったことは否定できない」と言っていた。これだけでも重大なんです。不来方高校の自死事件でも、顧問教師の暴言・叱責、これはすべてだと言っていないんです。それは一因だと。それ以外に要因がなかったのでしょう。22歳の警察官が1人死んでいるんです。若い希望のある警察官がパワハラによって亡くなっているときに懲戒処分もできない。そして今に至って、故意をもって暴行等のパワーハラスメントを行っていた事実を重く見て求償すると。これだけの事件が「本部長注意」で済む事件ですか。
本部長に聞きましょう。この間の経過から見て、8310万円の賠償を払った。しかし行為者に責任があると、あなた方は決定して賠償責任を求めようとしているわけでしょう。それだけの事件が「本部長注意」で済むと思いますか。
【警務部長】
本部長注意とした理由についてでありますが、当時の調査は、職場、同僚、上司等の関係者から聴取その他必要な調査をすべて実施し、判明した事実にも照らし、事実関係を特定したものであります。調査の結果、パワーハラスメントについては、自死の一員となったことは否定できないものの、自死の唯一の原因を特定できず新たな事実も把握されなかったことから、事案の内容及び先例に照らし、当時の基準に基づいて適正に処分したものでございます。
【斉藤委員】
壊れたレコードのような答弁はやめてください。そのときの調査は、みんながかばい合ったということですよ。私のところにはそういう告発がきています。しかし実際に、今日の説明があるように、故意をもって暴行等のパワーハラスメントを行っていたと。これは新たに発覚したことなんですか。その当時からこういう認識だったのですか。
【参事官兼首席監察官】
暴行というのは、過失の暴行というのはございませんので、そもそも暴行という事実自体が故意をもってということになりますので、その点ご認識いただければと思います。
【斉藤委員】
8310万円の賠償責任が行為者にあるという判断は、あなた方がやったんでしょう。本部長注意処分でそんなことができますか。警察の悪いところは、間違ったことを認めない。これが冤罪事件なんですよ。あの袴田事件だって、警察は自らねつ造した証拠までやって、58年も犯罪人にした。とんでもない話です。間違ったことは認める。せっかく求償権までやると言っているのだから。
本部長、私は県警の信頼に関わる問題だと思って取り上げています。あなた方があんなにかばい合った内輪の調査で、本部長注意処分にして退職金を払って、ごまかそうとしたんですよ。しかし公務災害が申請されて、労災が認定されて、その上に損害賠償請求がされて、逃げられなくなって、示談したんでしょう。それが事実経過ではないですか。あなた方が頭を冷やして考えたら、これは行為者に責任があると。こうやって行為者に賠償責任を追及するということでしょう。
本部長、ここまで私が話をしたら分かるでしょう。本部長に、県警の責任者に私は聞いているのですよ。委員長、責任者に聞いてください。
【警察本部長】
まずは、本県の若い警察官が上司によるパワーハラスメントの行為を受けて、その後尊い命を自ら絶たせてしまったこと、そして大切な人材を失うという結果を招いてしまったことについては、警察本部長としてきわめて残念に感じているところでございまして、今後そういった事案というのを二度と発生させることのないよう、現在県警が一丸となって再発防止に取り組んでいるところであります。
パワーハラスメントの行為者の処分の関係ということでございますけれども、先ほど首席監察官や警務部長等からもお話あったように、ハラスメントの認定の指導というのは、動機が業務上に関するもので、いじめや虐待についてあるものではなく、また、指導を必要とする理由も認められているところで、そこには故意というお話がありましたが、暴行を伴うなど行き過ぎたものと認定されたことなどを考慮し、総合的に判断した結果において本部長注意という処分になっております。
不利益処分というものはですね、行為の動機、対応、職責の内容等を総合的に勘案したうえで決定されるものでございまして、憶測に基づいて処分することはできないものであるところ、この事案の処分に関しましても丁寧かつ必要な調査を実施し、この結果、判明した当時の事実をもとに、当時の基準に基づいて処分が行われたもので、適正なものであったと招致をしているところでございます。
【斉藤委員】
私は、当時の調査結果で、「パワーハラスメント行為が自殺の一因となったことは否定できない」と、この判断自身が自死に関わっているということですから、これが本部長注意になることはあり得ないと私は思います。ましたや故意だったと。
これは論戦を聞いていたら、どちらに理があるかは分かると思うので、今日はここで止めますが、本当に間違いは間違いで認めてやったらいいんです。
・県議会議員選挙における買収、公職選挙法違反事件について
【斉藤委員】
昨年の県議会議員選挙において、買収、公職選挙法違反が1件検挙されましたが、その起訴の内容は何でしょうか。
【刑事部長】
委員御指摘のとおり、県警察では、令和5年9月施行の岩手県議会議員選挙において、選挙運動をすることの報酬を渡した等の公職選挙法違反事件1件を盛岡地方検察庁に送致しております。
その起訴の内容ということですが、これは、他機関に関することとなりますので、県警察としてお答えする立場にありませんので、答弁は差し控えさせていただきます。
【斉藤委員】
決着がついている問題ですからね。現金16万8千円を報酬として3人に渡したということですが、この買収の原資は調べましたか。
【刑事部長】
個別の事案に関する内容となりますので、答弁は差し控えさせていただきます。
なお、県警察は、これまでも選挙の種別にかかわらず、選挙の自由と公正を害する行為等を認知した場合には、法と証拠に基づいた適切な措置を毅然として講じ、民主主義の根幹である公正な選挙の実現に努めてきたところであり、今後も同様に法と証拠に基づき適切に対応してまいりたいと考えております。
【斉藤委員】
もう決着済の事件なんだから、係争中じゃなく決着がついています。買収というのは最悪の犯罪です。
いま問題になっているのは、自民党の裏金が使われたんじゃないかということですよ。そういうことを含めて、原資は調査したということですか。明らかにできないが原資は調査したということですか。
【刑事部長】
繰り返しになりますが、個別の事案に関する内容となりますので、答弁は差し控えさせていただきます。