2024年8月6日 文教委員会
令和7年度県立学校の編成等に対する質疑
(大要)


・盛岡南高校と不来方高校の統合について

【斉藤委員】
 盛岡南と不来方の統合による「南昌みらい高校」が創設されると。3学級減となりますけれども、昨年度の入試倍率はどうだったか。盛岡ブロック南部の入試への影響が大きいと考えますが、どのように把握されているでしょうか。

【高校改革課長】
 令和6年度入試において、一般入試の実質志願倍率は、盛岡南普通科1.32倍、普通科体育コース1.25倍、体育科1.0倍。不来方高校普通科人文理数学系は1.40倍、芸術学系は1.50倍、外国語学系は0.94倍、体育学系は0.80倍となっております。
 また、入試への影響ですけれども、盛岡南と不来方の統合は、現行の高校再編計画に位置づけており、盛岡市内の高校への生徒集中を緩和するとともに、特色ある教育を実践する大規模校を整備することとしております。
 過去5年間において、盛岡市・矢巾町・紫波町以外の市町村からの入学者の割合は、盛岡南が25.8%、不来方が32.2%であることから、統合初年度となる今年度の入試の状況を注視してまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 不来方と盛岡南の統合問題については、盛岡ブロックでも喧々諤々の議論があったんですね。盛岡南と不来方、どちらも人気があって倍率が高い。いわば生徒減少、入学者の減少が理由ではないんですよ。盛岡の中でも倍率が高いですよね。例えば、盛岡南の普通科は1.32倍、不来方は人文理数で1.40倍ですから、今年はそれぞれ何人不合格になっていますか。

【高校改革課長】
 盛岡南の普通科は47人、普通科体育コースは9人、体育科は0。不来方の普通科人文系は75人、普通科芸術は25人、普通科外国語1名、普通科体育0となっております。

【斉藤委員】
 すごい数です。
 この問題は盛岡ブロックの議論の中で、紫波郡の校長会からも意見が出たんですよ。進路指導が大変だと。25%、32%の生徒が盛岡南部から入学するというのは結構な比率ですよ。そういう意味で、志望者の多い学校で3学級減するという、大変な影響があるのではないか。
 計画は決まったことですけれども、残念ながら同窓会や現場の先生からの懸念というのが現実のものになるのではないかと。そこをしっかり対応することが必要だと思います。
 それで、今回は普通科8学級ということになりますが、中身は不来方と同じように学系なんですね。文理、芸術、外国語、スポーツ科学という形で、倍率もそれぞれ出るんです。普通科8学級というよりは、それぞれ倍率が出て受験されると。一番矛盾が大きいのはやはり定数が多い文理で、ここで不合格になると、その他の学系で定員に満たないところには行けるということも含めてやってほしいと。大変これは深刻な問題だと。どのように受け止めて、どう対応しようとしていますか。

【高校改革課長】
 当時、南昌みらいの統合を決めようとしたときの話につきましては、いろいろ資料等も見ましたし、新聞等でも拝見したところでございます。そういった中で、やはり盛岡圏域の生徒の減少もありつつ、いまの学科の系列を維持する過程において、大規模校が妥当という風に当時の教育委員会は判断して、今回の統合に至ったところと認識しております。

【斉藤委員】
 これは、盛岡と盛岡周辺の進学の格差といいますか、周辺校の入学者の減少に対応するものですから、大局的には盛岡中心部の学校の学級減というのは必要性はあるのだと思います。ただやり方が、一番人気のあるところを大規模に統合するということでよかったのかということは問われたのではないかと。
 2つ目に、新設の高校がつくられるわけですが、不来方高校の校舎を活用するわけですよ。いま大規模改修をやっていますが、高断熱・高気密でもない。ただの大規模改修にとどまると。こんなことでいいのかと。岩手県は、公共施設の大規模改修については基本的には省エネに移行するということになっていますが、なぜ不来方はそうならなかったのか。体育館の整備についてはどうなのか示してください。

【学校施設課長】
 不来方高校につきましては、既存校舎が鉄筋コンクリート造であることから、すでに標準的な断熱仕様となっているものでございます。なぜ断熱等の改修をしないのかということですが、不来方高校の改修については、施設の長寿命化改修を目的に行うものでございます。新築・改築する場合には、県有施設の脱炭素化に向けた基本方針に基づきZEB ready相当としていくこととしておりますが、そういった趣旨で長寿命化改修しているものでございます。
 新設する体育館については、外壁の断熱性能の強化、高断熱の窓ガラスの採用、高効率な空調・換気設備機器の採用、アリーナにおける床放射空調、全照明のLED化、太陽光発電設備を導入することなどにより、ZEB ready相当の基準を満たしたことを第三者評価機関から評価されております。

【斉藤委員】
 体育館は新しく整備するということで、そのように高断熱で太陽光発電も設置してと。だから不来方と南高校の統合は、本来なら校舎も改築するぐらいの中身だと思うんですよ。いまの校舎を活用するというのだったら、従来通りの改修ではなく、思い切った今のレベルにふさわしい高気密・高断熱の改修とか太陽光発電の設置とか、そういうことをすべきだったのではないか。そういう検討があったかどうか示してください。

【学校施設課長】
 改修において、ZEB ready相当とするためには、例えば二重サッシをさらに高断熱の窓ガラスにするとか、すべての教室に高効率な空調等を導入するなど相当な経費が必要となります。したがいまして、いまの長寿命化改修が予算上できる範囲だということで、今回の改修となっているものでございます。

【斉藤委員】
 体育館だけは立派になるけれどもちょっと残念です。本体の校舎が従来型の標準仕様、標準仕様というけれどもほとんど断熱性がないというのが国際的な評価です。そういう点で、新設校としては残念だったということを指摘しておきます。
 それで、盛岡南高校の跡地については、後期計画の中で盛岡工業高校が移転するという計画・構想がありましたが、この点はどのように検討されていますか。

【高校改革課長】
 現行の再編計画においては、施設や設備の老朽化を踏まえ、産業人材に反映する幅広いニーズを最先端のもので対応できるよう、盛岡南高校の統合後の方策等を発表する計画としております。専門科目の実習等を行うための産業教育のための実習実験施設、そちらの用地取得や建設などの整備のほか、校舎の大規模改修も予定していることから、授業の開始時期については一定期間の時間を要するものと見込んでおります。

【斉藤委員】
 盛岡工業高校が南高校跡地に移転すると。そうすると、いま検討されている新しい高校再編に位置づけられるということでよろしいですか。

【高校改革課長】
 今回の南昌みらいの統合に合わせた計画という認識でございます。

【斉藤委員】
 それはすでに後期計画で、計画としては決まっていると。ただ、具体化はないので、いまの答弁もありませんでしたが、少し年次的にこういう計画だというものがあれば示してください。

【高校改革課長】
 おそらく南昌みらいの大規模改修の金額から想定すると、100億円近い金額になる可能性もありますので、その辺につきましては、予算を所管する部局と調整しながらになりますので、明確な時期については答弁できませんが、やはり用地取得のところも若干ありますので、一定期間は…という言葉で答弁させてください。

【斉藤委員】
 100億円という話も出ました。100億円だったら改築した方がいいぐらいの話になるのではないかと思いますが、そういう規模であればいろんな検討をすべきだと思います。南高校は30年ぐらい経っていますか。大規模改修の時期でもあると思うので、南昌みらいの轍を踏まないようなことを考えていただきたい。

・久慈東高校と久慈工業高校の統合について

【斉藤委員】
 久慈翔北高校、これも久慈東高校と久慈工業高校との統合ですが、工業学科は1学科だけですが、機械コース、建設コースの学びを確保するという風に示されております。これはどういう形で確保するのか。専門教員の加配措置などもとられるのか示してください。

【県立学校人事課長】
 久慈翔北高校への加配についてでございますが、県教育委員会では、これまでも各校の実情等を考慮しながら、加配の必要性について検討を行っているところです。久慈翔北高校においても、学校の特色、設置されるコース等を勘案しながら、生徒の学びの確保ができるよう今後検討を進めてまいります。

【斉藤委員】
 「学びの概要について」と今日の資料で、工業科は、コース(機械コース、建設コース)により、複数の工業の学びを確保すると書いているので、具体的にどう確保するのかと。工業科は1学科です。だから単純にいったら1学科の専門教員しか配置されないわけですよね。それでは2コースの専門教育を保障できないのではないかと。事前に聞いたら、これは2年生になってからコースを分けるという話も聞きましたが、そういうことも含めて、2コースの専門教育の確保はこれは加配なしにはできないのではないですか。

【県立学校人事課長】
 カリキュラム等の内容については、今後こちらでも精査しながら、工業科だけではなく、統合後の他の教科とのバランス等も含めながら検討してまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 いずれにしても、統合にあたって工業科は、機械コース・建設コースにより複数の工業の学びを確保すると明記して統合するのですから、しっかりした教員の加配などの体制をとるべきだと。

・総合学科制のあり方について

【斉藤委員】
 久慈東高校は総合学科制であります。今年の入学者を見ると、久慈東高校は200名の定員に対して志願者数が119人でありました。119人ということになると3学級規模です。5学級規模の募集に対して。しかし今回、北上翔南は総合学科1学級減らしましたが、翔南なんかは四十数人減でギリギリのところだった。なぜ久慈翔北の総合学科は定員減しないのかと。2学級規模も少ないのに、なぜですか。

【高校改革課長】
 実は今回1学級以上の定員を割った高校の数は8校ございます。その中で今回久慈東を見送った状況ですが、久慈東高校については今統合計画を進めていることから、規則の適用を今回見送ったものとしております。

【斉藤委員】
 シンプルな答弁だけれども、私が言っている実態はそんなに甘くないです。久慈東は2学級規模の減なんです。2学級減という実態があるにも関わらず5学級で総合学科でそのままと。特別な配慮をしているのではないですか。

【高校改革課長】
 これまでも県教育委員会としては、統合計画のある高校については、1年や2年経過を見ることとしておりますので、特別の配慮というところまでは至っておりません。

【斉藤委員】
 北上翔南は1学級減なんですけれども、総合学科制というのは、いまの時期本当に全面的な検証が必要だと。本当に必要なのかと。教育の中身にしても、進学に関わっても、実態的には進学は普通科と同じ教育をやらないと対応できないのです。そういう点で、岩手県は総合学科についてはなぜか優先して守っている感じがするのですが、総合学科制というのは根本的に検証して見直す時期にきているのではないか。総合学科制についてはどのように高校再編を考える上でも検討されていますか。

【高校改革課長】
 総合学科における課題の1つとして、志願者数が多く一定規模を確保できている学校もある一方、3学級も確保できていない学校もございまして、現在長期ビジョンの策定に向けて県立高等学校教育のあり方検討会議で検討を続けておりますが、やはりさまざまな系列を維持することが困難になっているという状況は県教委としても認識しており、その辺をしっかり踏まえたうえで今後の対応について検討して進めてまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 後期計画の中でも総合学科制とあって、最低3学級は必要だと。3学級維持が難しいところもでてきております。そういう意味で、そして進路・進学の問題でも、あとは専門教育ではない専門教育もどきというか、そういう教育なんですよ。それは工業学科とは明確に違う中身があるんだと思うんですね。本当にそういうことが生徒にとっても学校のあり方にとっても必要なのかというのは、しっかり検討していただきたい。生徒減少の中で総合学科制というのが本当に必要なのかという視野で検討していただきたい。

・高校教育のあり方について

【斉藤委員】
 この間新しい動きとして、岩手の高校教育を考える市町村長懇談会から提言もありました。高校再編の素案の素案のような議論を前回の委員会ではやりましたが、先日素案がまとまったとお聞きしましたが、この市町村長懇談会、この間の議論を含めて素案の中身で新しく盛られたものがあれば示してください。

【高校改革課長】
 市町村長懇談会からの提言内容ですが、5項目ありまして、@公立高校と私立高校との連携による教育の充実A県立高校の特色化・魅力化の推進B既存学校の存続C教育上特別な支援を必要とする生徒への対応D県政課題等に対応した人材育成―ということから構成されております。
 @については私立高校との連携であることから反映の必要はないと考えておりますが、A〜Dの提言内容については、先日開催された県立高等学校教育のあり方検討会議においても、会議の構成員と意見交換を行ったところであり、検討中である長期ビジョンの内容と方向性についてはおおむね沿ったものと認識しておりますので、長期ビジョンに改めて追加するような項目は現在では予定していないところでございます。
 いま素案を第5回の会議にかけて長期ビジョンとしたところですが、そちらについては主に改正点については、いわて留学を入れたところが一番大きな改定ポイントだと思っております。