2024年7月4日 6月定例県議会最終本会議
高田一郎県議の発議案に対する賛成討論


選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書

 日本共産党の高田一郎でございます。
 発議案第4号、選択的夫婦別性制度の導入を求める意見書について賛成の立場で討論を行います。
 いま夫婦同姓を法律で義務付けている国は世界では日本だけとなっています。同時に国連の女性差別撤廃委員会も日本政府に対して繰り返し、「法律で夫婦同姓を義務付けることは女性差別であり、直ちに改正すべきだと」何度も勧告してきました。1996年には法務省の法制審議会で選択的夫婦別姓度の導入を含む民法改正を答申しています。あれから30年も経とうとしています。選択的夫婦別姓制度を法制化することはまさに待ったなしの課題となっています。
 岸田首相は、2021年の内閣府の調査を上げ「意見が様々分かれている」として法制化に背を向けてきました。先ほどの反対討論の中でのこの調査が紹介されていました。しかしこの調査は質問項目が大幅に変更され、旧姓の「通称使用」について法制審で却下された質問を加えるなど意図的なものだと指摘されてきました。選択的夫婦別姓については、法政大学と国立社会保障・人口問題研究所の調査では83.9%が賛成しております。先月には日本経団連が「選択的夫婦別姓の早期実現を求める要望書」を政府に提出しました。経団連は、「これは女性の人権問題であるとともに同姓の強制で生じるビジネス上のリスク」と指摘もされました。経団連の調査では、「会社の旧姓の通称が可能でも、何かしら不便さ・不都合・不利益が生じる」との声が88%となっています。先月開催された日弁連の総会でも決議され、選択的夫婦別姓を求める訴訟が全国で起きており、地方議会での意見書採択も広がっています。もはや反対しているのは自民党の一部ではないでしょうか。
 個人の尊厳、法の下の平等、婚姻の自由、夫婦同等の権利、日本国憲法で女性の権利が認められ77年、ところが夫婦の95%で女性が名前を変えている。その中には同性の強制によって女性が名前を変えることによって当たり前にされているため違和感を口にすることはできないまま名前を変えた女性もいます。アイデンティティーの喪失、キャリアの断絶、名称変更の煩雑な手続き、そして海外では通称は使えないなどの不利益を圧倒的に女性が受けている―これが現実であります。
 夫婦同姓の義務は、明治憲法で男性優先の家族内秩序が作られ、女性は法的に無力者とされた男尊女卑の社会で作られたもので、そもそも時代錯誤でもあります。
 岸田首相は「家族の一体感、子どもの利益にかかわる問題」と言われ続けてきました。既に事実婚の家族は何百万と存在しています。「同性だから絆は崩れない」「別性で家族の絆が弱まる」ということに何の根拠もありません。そんな統計や調査もありません。家族の一体感とか子どもの幸せにかかわること、これはそれぞれの家族の営みにかかかわることであります。家族の一体感という指摘がされますが、そういうとらえ方をすること自体が特定の価値観の押し付けに他ならないと私は思います。
選択的夫婦別性制度とは、別姓にしたくない人は同性のままでいい、様々な意見があるから選択できるようにしようということであります。事実としてあるのは、女性が個人の尊厳が傷つけられているということです。選択したいと言っている人の権利を奪うのではなく、選びたい人が選べずに苦しんでいる、これを取り除くのが政治の役割だと思います。
 世界経済フォーラムが先月12日、2024年度各国における男女格差を測るジェンダーギャップ指数を発表しました。146か国中118位と主要7か国の水準には遠く及ばないだけでなく、開発途上国や軍政国家を含む東アジア・太平洋地域の中でも下位にある不名誉な地位にあります。その責任は政治にあります。歴代政権が「男女共同参画」「多様性の尊重」など言いながら、本気で男女格差の是正、ジェンダー平等に取り組んできませんでした。
 家族の在り方は多様化し、夫婦や家族のかたちは様々であります。個人の選択に寛容な社会を作っていかなければなりません。「男女がともに活躍できる社会実現」のためにも、選択的夫婦別姓制度の法制化は急務であります。
 以上が賛成する理由であります。ご清聴ありがとうございました。