2024年3月6日 予算特別委員会
ふるさと振興部に対する質疑
(大要)


・国によるJR東日本のローカル線切り捨て問題について

【斉藤委員】
 ローカル線切り捨て問題の全国の対応状況、協議状況はどうなっているでしょうか。

【地方路線対策監】
 新聞報道等で把握しているもので、網羅的なものではございませんが、まずJR西日本管内では、改正地域交通法に基づく再構築協議会が、岡山県と広島県にまたがる芸備線でございますが、JR西日本の要請により本年1月に設置されているというところでございます。このほか、富山県にある城端線・氷見線については、JR西日本と沿線自治体の協議により令和11年を目途に第三セクターの「あいの風とやま鉄道」に経営移管することが昨年10月に決定されたところです。
 JR東日本管内では、再構築協議会の動きは具体化しておりませんが、千葉県にある久留里線においては、令和5年3月にJR東日本が沿線自治体に「沿線地域の総合的な交通体系に関する議論の申し入れ」を行い、現在両者で協議が開始されているところでございます。

【斉藤委員】
 JRローカル線維持確保連絡会議、路線ごとの沿線自治体会議の開催など、県内の対応状況について示してください。

【地方路線対策監】
 まず、県では令和4年11月にJRローカル線維持確保連絡会議を開催し、国鉄改革からの経緯を踏まえ、国やJR東日本が当事者として鉄道を維持していくべきこと、路線ごとに沿線自治体首長会議等を立ち上げ、県および沿線市町が連携を強化しさらなる利用促進に取り組んでいくことについて、沿線市町と認識を共有しております。
 また、それに基づき令和4年12月には、県と沿線市町と合同で、国やJR東日本に対し、路線維持に向けた要望を実施したというところでございます。
 また、JRローカル線維持確保連絡会議での合意を踏まえ、順次沿線自治体首長会議等を開催し、路線の維持とそれに向けた利用状況の評価などを確認しているところでございます。

【斉藤委員】
 JRローカル線維持確保連絡会議は、八重樫副知事が責任者になっていると思いますが、「国鉄改革からの経緯を踏まえ、国やJR東日本が当事者として地域を支える重要な基盤である鉄道を維持していくべき」だと。この基本が大変重要だと思います。
 直接の経緯は、コロナ禍で一時期JR東日本が赤字に転換したということなんですね。利用客の減少というのもあるけれども。そこで、JR東日本の経常収支、内部留保はどうなっているか示してください。

【地方路線対策監】
 JR東日本が公表している連結決算の資料によりますと、経常利益は令和5年3月期決算では1109億円余の黒字となってございます。利益余剰金、いわゆる内部留保は、2兆1320億円余となってございます。

【斉藤委員】
 私がいただいた資料では、2024年3月期第四半期決算というのがあって、それを見ると、経常利益は2596億円余、内部留保は2兆2780億円余と。どんどん利益・内部留保を増やしているんですね。この内部留保というのは、連結利益剰余金なんですよ。内部留保の定義というのは、それ以外にも資本剰余金とか有価証券評価差額金とかいろいろありまして、全労連が毎年大企業の内部留保を発表しているんですが、2023年の決算ですけれども、それによると2兆9043億円となります。だから経営危機なんていう状況では全くない。利益をどんどん増やしている。2兆9千億円といいますと、関連会社含めて一人当たりこの内部留保は3109万円です。このぐらい貯め込んでいる。
 最初に指摘したように、国鉄改革の経緯を踏まえて、こうした利益剰余金や内部留保というのは、全国の地域公共交通を維持するためにこそ使われるべきだと強く求めたい。もちろん地元でさまざまな利用促進の取り組みを強化することは大事だけれども、そこをしっかり踏まえて取り組んでいただきたい。

・バス路線の維持、地方公共交通の確保について

【斉藤委員】
 さまざまこの委員会でも議論されました。第一に、県内のバス路線の廃止、減便の状況はどうなっているでしょうか。

【地域交通課長】
 乗り合いバス事業者3者における県内のバス路線の減便・廃止の状況についてでございますが、一部のバス事業者において令和6年4月から、主に運転士不足を要因とした減便や路線廃止が予定されており、平日296便、土日・休日177便が減便されますほか、県で把握している補助路線においては、国庫補助路線が3路線、県単補助路線が2路線の計5路線が廃止される予定となっております。

【斉藤委員】
 令和6年4月1日ですから来年度ということになると思うんですけれども、平日で一日あたり296便減便、土日・休日は177便ということで、具体的な要因は何なのかということを改めて示してください。

【地域交通課長】
 2024年問題を原因といたしました運転士不足の要因でこのような減便等を行うということで、バス事業者からは聞いております。

【斉藤委員】
 今回もさまざまな方から「乗り合いバス運転士確保対策費補助」の取り組みをしようとしていると。これは高く評価されていると思います。その背景となるバス会社の経営状況、運転士確保の状況を示してください。

【地域交通課長】
 乗り合いバス事業者3者におけます令和5年4月から12月までの利用者数は、約1218万人、コロナ前の令和元年度同期比で23.8%の減となっておりますが、令和4年度同期比では10.7%の増となっております。また、同期間の運賃収入は33億1078万円余と令和元年度同期比で21.3%の減となっておりますが、令和4年度の同月比では11.8%の増と、コロナ前までは戻っておりませんが、回復基調にあると認識しております。
 乗り合いバス事業者3者の運転士は、平成31年の835人から年々減少しており、令和5年には640人と直近5年間で195人、平成31年同月比で約23.4%減少しているところでございます。

【斉藤委員】
 利用者と運賃収入については、令和4年度と比べれば回復傾向にあるということですが、運転士の確保は835人から640人と大幅な23.4%の減少という大変厳しい状況だと。
 先ほどの答弁を確認しますけれども、運転士確保の補助金は、36人分、640人を維持するものですか。何人まで全体で確保する計画なんですか。

【地域交通課長】
 県民が必要といたしますバス路線の維持に向け、令和5年度の運転士数である640名を維持するために、36名を確保するために必要な予算を計上しております。この36名については、過去4年間の実績から算出した離職者見込み数66名、これを乗り合いバス事業者3者の令和4年度の採用実績である30名を除いた人数として算出したものでございまして、66名をバス事業者が採用できるようにと見込みまして算出したものでございます。

【斉藤委員】
 積極的な対策だと思います。
 それから、デマンド交通について私も質問しようと思っておりましたが、先ほど答弁がありました。県内19市町村でデマンド交通が行われていると。これは国の補助、県の補助どうなっているか。

【地域交通課長】
 国の補助におきましては、フィーダー系統補助ということで、幹線路線につながる路線については、新規のものであれば対象となると聞いているところでございます。また、計画の策定によりまして、新規性要件を外すことも可能だとでございまして、国庫補助を取ることも可能な制度となっております。
 また、県においては、乗り合いバス事業者の運行する補助路線が廃止された場合には、県単補助である人口減少対策路線確保事業により、市町村が必要な代替交通を確保する取り組みに対しては補助が可能な制度設計としております。また、地域公共交通活性化推進事業費補助により、市町村が公共交通の再編にともなうデマンド交通等を行う場合の実証運行に要する経費に対して補助を行っているところでございます。

・市町村の会計年度任用職員の給与改定について

【斉藤委員】
 総務省は、4月まで遡及してやりなさいという通知を何度も、12月末にも通知を出しています。必要な財源は確保されていると。県内では11市町村が4月に遡及をしなかったということになっていますが、なぜ遡及しないのか。国が財源を確保して、これは会計年度任用職員の利益に関わることです。この点について、市町村の事情、理由、どのように受け止めているか。今後改善される見通しはないのか示してください。

【市町村課総括課長】
 委員ご指摘の通り、遡って改定しない方針の市町村は11団体となっており、令和6年1月から引き上げ改定を行ったのが1団体、令和6年4月からの引き上げ改定を予定しているのは10団体と聞いております。
 遡及改定を行わない団体の理由としましては、多様な任用期間、任用形態の会計年度任用職員がおり、これらを考慮した給与システムの改修に時間を要すること、あるいは個々の会計年度任用職員ごとに給料や報酬、期末手当、超過勤務手当などにかかる増額分を算定する必要があり多大な時間を要すること―ということで遡及改定を行わないと聞いております。

【斉藤委員】
 本当にこれは残念です。会計年度任用職員というのは1年雇用で、給与・賃金も低いわけです。それを国をあげて改善しようと。正規職員と一緒になって4月に遡及しなさいと、その財源は確保していると、国会で繰り返しやられて、12月末にも通知が出た。こういう良いことについて、なぜその通り実施されないのか。県はどのように援助しているのでしょうか。

【市町村課総括課長】
 県においては、総務省の通知等を踏まえまして、市町村へのヒアリングだとか人事担当課長会議等の場を通じて、会計年度任用職員の給与改定等に適切に対応するよう助言してきたところでございます。また、遡及改定を行わない11団体に対しましては、個別に人事担当課長等に対して遡及改定の実施に向けて検討するよう助言等も行ってきたところでございます。しかしながら市町村の給与改定におきましては、職員団体との交渉、あるいは最終的には市町村議会で議論されて決定されるものとなっておりまして、いずれにしても、県としては今後もさまざまな機会を通じて助言等をしてまいります。

【斉藤委員】
 11団体というのは少なくない数ですよね。例えば花巻市とか八幡平市とか市段階でもあるんですよ。本当にこれは残念なことだと。

・マイナンバーカードの問題について

【斉藤委員】
 マイナンバーカードの申請・交付状況はどうなっているでしょうか。

【市町村課総括課長】
 最新の令和6年1月末現在の申請率については、県全体で86.8%、交付率は77.8%となっております。全国平均については、申請率が88.5%、交付率は78%となっており、いずれもおおむね全国平均と同程度となっております。

【斉藤委員】
 交付率が出ましたけれども、もっと正確なのは保有枚数だと思います。保有枚数で見ると岩手県は73.2%ということで、返却した等の実態があると思います。
 そこで、このマイナンバーカード、特に保険証との一体化については、県内の医療機関でも6割がトラブル発生しているという告発が最近もありました。県としてどのようにこれを受け止めているか。
 全国のマイナ保険証の利用状況は4.49%です。どんどん下がっています。厚生労働省の職員は4%ぐらいしか使っていないと。とんでもない話です。一番制度に詳しい厚労省の職員が4%しか使っていない。使い勝手が悪いということだと思うんです。それを強制する、今の使い勝手の良い保険証を廃止するということは許されないと思いますがいかがですか。

【デジタル推進課長】
 マイナンバーカードの健康保険証利用の状況ですが、2月29日に新しい数値が厚労省から公表されており、若干全国で4.6%ということで、岩手県が5.78%ということになってございます。
 医療機関でのトラブルに関しては、12月に保険医協会の方でアンケートを行ったということで、回答があったうちの6割ぐらいが不具合があったと聞いているところですが、市町村からの具体の情報はいただいていないところでございます。
 いずれにしても国の方では、令和6年12月に健康保険証を廃止すると閣議決定をしてございますので、マイナンバーカードによりオンライン資格審査を受けることができないような方々も一定数いらっしゃいますので、この方々に対しましては資格確認書が交付されるといった代替措置が講じられると聞いております。また、発行済みの健康保険証は、廃止日から最長で1年間有効ということで聞いており、このような代替措置もやりながら、健康保険証との一体化については広く国民の皆様から理解が得られることと、メリットや安全性について国の方で丁寧に説明していただきたいと考えているところであります。

・自民党県連の政治資金収支報告書虚偽報告にかかる参考人招致について

【斉藤委員】
 最後に、参考人の承知についてお願いしたい。
 自民党県連の2022年度政治資金収支報告書の虚偽報告について、私は一般質問で取り上げ、いくつかの課題も提起をいたしました。これは事件性がある、政治資金規正法違反に関わる問題で、会計責任者は現職の県議ですから、現職の県議に参考人として出ていただきたい。よろしくお願いしたい。

【予算特別委員長】
 今の斉藤委員の発言については、世話人会で後日協議したいと思います。