2024年3月5日 予算特別委員会
高田一郎県議の総括質疑
(大要)


1.子ども未来戦略にかかる課題ついて

【高田委員】
 日本共産党の高田一郎でございます。
 まず、子ども未来戦略についてうかがいます。子ども未来戦略は、少子化について「わが国最大の危機」と位置づけて、加速化プランを打ち出しました。知事はどのように評価されているでしょうか。

【達増知事】
 子ども子育て支援加速化プランに基づいて、今後3年間の集中取り組み期間の中で、次元の異なる少子化対策の実現に向けて、児童手当の拡充や保育士等の配置基準改善など、全国知事会として提言してきた内容について、子ども未来戦略において道筋が示されたことは評価するものであります。
 一方で、加速化プランの財源について、歳出改革による社会保険負担の軽減効果や賃上げの効果と合わせて、「実質的な負担を生じさせないようにする」こととされておりますが、国会の場で十分議論されることを期待しております。
 今後は、戦略に示された施策を着実に実行していく段階であり、国においては、地方が円滑に実効性ある取り組みを展開できるよう、実務レベルも含め丁寧な調整や意見交換を行うとともに、子ども子育て政策のさらなる強化に向けて、地方の意見を反映させるよう全国知事会等を通じて要望してまいります。
 また、効果的な対策の実現のためには、全国一律で行う施策と地方の実情に応じてきめ細かに行う施策の両方が重要でありますことから、県としては令和6年度当初予算案に計上した子ども子育てに関わるさまざまな事業を実施しながら、市町村などあらゆる主体と連携して、結婚・子育てなどライフステージに応じた支援を行っていく考えであります。

【高田委員】
 今度の未来戦略については、高等教育の無償化が盛り込まれていません。兵庫県では、県立大学の学費無償化を行おうとしております。岩手も検討すべきと考えますが、財源規模も含めて示してください。

【ふるさと振興部長】
 高等教育の無償化については、国において、真に支援が必要な低所得世帯の学生を対象に、授業料等の減免などの支援を行っているところであります。令和6年度からは、対象に中間所得層の多子世帯や私立理工農系進学者を加えるなど、制度の拡充が図られる予定となってございます。
 委員ご指摘の通り、兵庫県において検討されている県立大学の無償化の内容については、県内在住者を対象に、所得に関わらず入学金および授業料を無償化するものと聞いております。
 岩手県立大学では独自の取り組みとして、国の制度に加え、対象および減免額を拡充した支援を行っているほか、東日本大震災津波により甚大な被害を受けた学生を対象とした減免制度等を実施しております。授業料等の無償化を進めるには、仮に大学・大学院・短期大学部のすべての授業料および入学金を全額免除した場合、単純な試算ですが、年間約11億円余の追加負担が生じるというところでございますし、県内の他の大学との学生との均衡等慎重な検討が必要であると認識しております。
 教育の無償化は、本来自治体の財政力の差などによらず、全国で同等の水準で行われるべきものであり、県としましては、引き続き政府予算要望の場を通じて、国に対し授業料等の減免や給付型奨学金のさらなる拡充を要望するとともに、対象者の所得要件の緩和など制度の充実を要望してまいります。

【高田委員】
 兵庫県では、学生の生活実態調査を行っております。この中で、学生の3割が大きな学生ローンを抱えて、人生設計に大変不安を抱いているという実態調査の結果を受けて、食料支援などさまざまな支援を行っています。
 部長がおっしゃったように、本来国の責任で無償化すべきだと思いますけれども、兵庫県の取り組みにしっかり学んで、岩手の学生の支援を、今でも行っていますが、さらに拡充してほしいと思います。これは要望だけにとどめておきたいと思います。
 今度の未来戦略には、保育所の配置基準が75年ぶりに見直しをされました。4歳児5歳児の最低基準に対応する加算措置を設け、しかし一方では、経過措置として「当分の間、従前の基準での運営も妨げない」となりました。つまり、対応できる保育所だけが対象になるという中身です。どの地域でも、公立・私立問わず、基準通りの保育士を確保できるようにする必要があると思いますけれども、今回の配置基準の見直しにともなう県の対応についてうかがいます。

【保健福祉部長】
 本県の保育士の確保の状況につきましては、各施設とも保育士の配置基準は満たしているものの、受け入れ児童数の拡大や勤務環境改善などのため、地域や施設によってはさらに確保に取り組んでいるところもあると認識しております。
 配置基準の見直しにより4歳児5歳児については、令和6年度から30:1から25:1に改善されますが、各施設の利用定員の状況を見ますと、現状でもおおむねこの改善に対応できるものと考えております。
 県では引き続き、保育士就学資金の貸付や、潜在保育士の再就職を促す岩手県保育士・保育所支援センターによるマッチング支援などにより、保育士の確保と育成に取り組んでまいります。

【高田委員】
 今回の未来戦略による見直しでは、4歳児5歳児の加算だけが対象になって、基本的にあとは先送りになっているんですね。やはりこの国の対応というのは曖昧になっていると思っています。期限を切って、この加速化プランの3年間で実現してほしいとか、そういうことを国にしっかりと求めていくべきだと思いますがいかがでしょうか。

【保健福祉部長】
 加速化プランにおきましては、4歳児5歳児については来年度から。また、1歳児以降については、令和7年度以降ということで今後検討が進むものと考えております。
 本県におきましても、先ほどご答弁申し上げた4歳児5歳児については、今の定員の状況を見ますとおおむね対応できるのではないかと考えておりますが、やはり1歳児に関しては、6:1〜5:1ということで、この部分については影響も想定されるところでございますので、国に対してきちんと要望を申し上げますとともに、県内の状況もきちんと把握しながら、必要に応じて要望してまいりたいと考えております。

【高田委員】
 国にしっかりと声をあげていただきたいと思います。
 保育の現場の声を聞きますと、多くの保育士さんから「多くの子どもをみなければならず、やりがいが奪われている」と。あるいは「地震が起きたら預かった命を本当に守れるのか」という不安の中で現場で頑張っています。
 新潟県では、例えば1歳児については3:1と独自の基準を設けて行っています。岩手県もそういった配置基準の見直し・改善が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

【保健福祉部長】
 ご紹介の新潟県におきましては、1歳児について、国の配置基準の6:1を基本としつつ、3:1とする場合は補助による支援を行う取り組みであると承知をしています。
 国では、昨年末に閣議決定した子どもの未来戦略において、保育士配置基準の改善を行うこととし、先ほどご答弁申し上げた通り、令和6年度から4歳児5歳児について改善し、1歳児については令和7年度以降に改善を図るという方向性を示しているところでございます。
 県としては、国の配置基準の見直しにかかる周知などの対応を行っていくほか、先ほどご答弁申し上げた通り、4歳児5歳児については現状でもおおむね改善に対応できるものと見込まれますが、今後予定される1歳児への改善も含め、順次国の基準を満たしていけるように市町村や施設の取り組みを促すとともに、保育士の確保に引き続き努めてまいります。

【高田委員】
 いま保育士の確保に努めていくという答弁ありましたけれども、本当に保育士の確保も大事だと思います。
 いま勤務年数によって補助金を出したり、あるいは家賃補助などの取り組みを行う自治体が全国的に増えています。やはり働きやすい環境をつくって、定着率を高める支援も大事だと思いますが、本県の保育士の定着率と支援策を示してください。

【保健福祉部長】
 本県保育士の定着率につきましては、公的な統計はありませんが、国の社会福祉施設等調査から試算しますと、国全体の離職率は令和4年で9%程度となっており、安定した保育サービスの提供のためには保育士の継続就業は重要な課題と考えております。
 県ではこれまで就業を継続するための施策として、現役保育士の就業継続のための研修の実施や、保育士・保育所支援センターによる相談対応、処遇改善加算への対応や処遇改善につながるキャリアアップ研修の実施などの取り組みを行ってまいりました。
 一方で、保育士の負担軽減についても重要であると認識しており、今年度県が保育所・認定こども園に行ったアンケート調査によると、保育士の労働環境改善につながる保育補助者等の配置や業務のICT化を推進している施設は、ともに全体の約6割にとどまる結果となっております。
 県としましては、子ども未来戦略に盛り込まれた保育士の処遇改善加算への対応を行っていきますほか、市町村による保育補助者等の雇い上げや保育業務のICT化の推進などへの支援を行うなど、市町村等と連携して保育士の負担軽減や保育の質の向上に向けた勤務環境改善に取り組んでまいります。

【高田委員】
 いま部長から、定着率については国の統計上という答弁でありました。私はやはり岩手における定着率の実態をもっと深く把握するべきだと思います。
 今回の質問でいろいろ調査したんですが、潜在保育士の実態を全体として把握されていないという状況をうかがいました。やはりこれから配置基準の見直しがされていく中で、保育士を確保することが非常に大事なテーマだと思います。東京都なんかは潜在保育士も含めて要求を聞いて、実態調査をして、保育行政に反映している自治体もあります。岩手でもそういう実態調査を行って、必要な対策をとっていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

【保健福祉部長】
 なかなか資格を持った方の潜在保育士をきちんと把握していくというのは、看護職員もそうなんですが、各地域でそれをきちんと把握していくことについてはなかなか課題もあるところではございますが、委員ご指摘の通り、保育士の資格を持ちながらも、保育業務以外に勤めている方というのは多数県内にもおられると認識しております。こうした保育士確保を進めるにあたりましては、潜在保育士の方々の復職支援、そういった方の活用はきわめて重要な取り組みでございますので、委員から東京都の取り組みなどもご紹介いただきましたけれども、他県の取り組みなども研究しながら検討を進めてまいりたいと考えております。

【高田委員】
 医療的ケア児や障がい児も保育園への受け入れ環境を整備すべきだと思います。保護者の要望や県内の実施状況、課題などについて示してください。

【保健福祉部長】
 県が昨年度設置しました岩手県医療的ケア児支援センターでは、保育所入所を希望する医療的ケア児の相談が増加しており、保護者の方々からは「集団の中で育てたいので検討している」「仕事復帰にともない入所させたい」などの相談が寄せられています。
 医療的ケア児保育支援事業を活用した医療的ケア児の受け入れ状況は、令和4年度は6市町6施設であり、令和5年度は10市町12施設が見込まれ、年々受け入れ町村数や施設数が増加しているところであります。
 課題といたしましては、医療的ケアを実施できる看護師の確保が難しいことや、市町村において医療的ケア児受け入れのためのガイドラインの策定が進まないことなどが挙げられます。
 県としましては、今年度国で創設した巡回による看護師の配置を行う医療的ケア巡回型事業の活用を促すほか、ガイドラインの策定に向け先行市町村や全国の事例等を情報提供するなどにより、市町村の取り組みを支援してまいります。

【高田委員】
 いま部長からガイドラインの問題ありましたけれども、大変遅れています。ただ、このガイドラインを策定しなくても、受け入れ体制は可能でありますので、ぜひそうした保護者の皆さんの要望に応えて対応していただきたいと思います。

2.訪問介護の課題について

【高田委員】
 今回の介護報酬改定では、基本報酬が2〜3%の減額となります。利用者や事業者への影響について知事はどのように把握されているでしょうか。
 訪問介護事業所の廃止状況について、この10年間の推移とその要因も示してください。

【達増知事】
 国の社会保障審議会において、人口構造や社会経済状況の変化を踏まえ、地域包括ケアシステムの進化・推進などの4つの基本的な視点で議論が行われ、去る1月22日に厚労相に対して、介護報酬改定にかかる答申が行われ、改定率は全体で1.59%のプラス改定となりました。
 訪問介護事業所については、介護職員等処遇改善加算が他の介護サービスよりも高い加算率とされたところですが、経営状況が他のサービスに比べて安定していること等から、基本報酬についてはマイナス改定となったものであります。
 本県の訪問介護事業所数は、令和5年4月1日現在で349事業所、10年前と比較すると41事業所増加していますが、この間年15件程度の事務所が廃止されています。廃止した事業所のうち約半数が人材不足を理由としていますが、近年の物価高騰や新型コロナウイルス感染症の流行など、事業所の経営を取り巻く環境は厳しい状況にありましたことから、県では社会福祉施設等物価高騰緊急対策支援金等による支援を行ってきたところであります。
 今回の介護報酬改定の影響については、現時点では把握は困難でありますが、県としては今後介護施設や事業所における介護報酬改定の影響把握等に努め、適切な水準の介護報酬を設定するよう必要に応じて国に要望を行ってまいります。

【高田委員】
 処遇改善加算という話もありましたけれども、現場の声を聞きますと、介護報酬改善加算をやっても、基本報酬が下がっているので経営的には赤字になってしまうと。あるいは、処遇改善加算それ自体もハードルが高くてとれないというのが現場の声であります。
 先ほど紹介があったように、県内でも訪問介護事業所が毎年15件前後なくなっているという状況を考えますと、事業を継続できる支援のあり方を検討していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

【保健福祉部長】
 国の調査によりますと、事業所における介護サービスの収益状況は、多くのサービス種別において前年度を下回る結果となっており、全サービス平均の利益率についても、令和3年度の2.8%から0.4ポイント低下しております。
 今回の介護報酬改定では、介護現場で働く方々の処遇改善を着実に行うためにプラス改定となっており、加えて、介護職員等処遇改善加算については、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップへと確実につながるよう、配分方法の工夫を行うとされております。
 先ほど知事からご答弁申し上げた通り、介護事業所の経営を取り巻く環境は、近年の物価高騰や新型コロナウイルス感染症の流行などにより厳しい状況にあったことから、県では、物価高騰支援金等により数次にわたり支援を行ってきたところであり、今回の補正予算で、介護職員処遇改善補助金により月額6000円の賃上げに要する経費について措置をさせていただいたところであります。
 県といたしましては、3月中に事業所を対象とする介護報酬改定説明会を開催するほか、介護職員等処遇改善加算については、新規取得や加算取得に向けた働きかけや支援を係属し、事業所の運営を支援してまいります。

【高田委員】
 処遇改善支援金というのは直接介護事業所に入るんですけれども、実際基本報酬が減っていますので、経営的には厳しくなると。現場はそういう状況だと訴えています。今まで地域包括ケアや在宅サービスを支援するといいながら、在宅サービスの基本となる訪問介護を減らそうという、こういうことはあってはならないと思います。日本ヘルパー協会などは抗議の声をあげています。県も国にしっかりと問題点を指摘して、報酬改定を見直すように強く求めるべきではないかと思いますがいかがですか。

【保健福祉部長】
 訪問介護につきましては、県土が広く、県民の方々に非常に重要なサービスでございます。県内約350カ所ございまして、処遇改善については今回国が手当をした。介護報酬については全体としてはプラス改定したという中にあって、訪問介護事業所に関してはマイナスになっていると。訪問介護に関しては、都会では比較的密集した中でのサービスですので、収益性が高いのですが、本県のように非常に面積が広くてアクセスが難があるところについては、一般論として都会と同じような報酬でいいのかという課題があると認識しているので、県としても県内の訪問介護事業所の状況など十分把握に努めまして、必要に応じて国に対して要望を行ってまいりたいと考えております。

【高田委員】
 いま議論になった介護職員処遇改善支援金ですけれども、月額6000円程度。これは確実に賃上げに結びつけることが必要だと思いますが、物価上昇分をカバーできているのか。他の産業との賃金格差を埋めることができているのか。前回は9000円でしたが、この実績も含めて示してください。

【保健福祉部長】
 国の調査結果によりますと、介護職員の月額平均賃金は、県内では22万4千円余と、全産業平均よりも約2万7千円低く、全国平均では24万2千円余と、全産業平均よりも約7万円低い状況となっております。
 国が構造的な賃金格差の解消を進めていくという観点から、本年2月から5月までを対象期間として、処遇改善に取り組む事業者に対し支給することとした補助金や、今回の介護報酬プラス改定により今後介護現場における処遇改善が進むものと期待をしているところでございます。
 県では令和4年にも、2月から9月を対象とした処遇改善支援補助金を実施をしており、介護事業所を運営する468法人に対して総額9億2600万円余を交付したところであります。

【高田委員】
 処遇改善交付金というのは、結局介護報酬で対応すれば利用料に跳ね返るんですね。だからやはり利用料に跳ね返らないような支援が必要だと思いますし、すべての介護事業所の賃上げになるようにすべきだと思います。
 この間の物価高騰を経験して、物価高騰に対応できない公定価格になっていると思います。そういう公定価格ではなく、毎年度実態に合った改定になるように、この公定価格のあり方を国に求めていくべきだと思いますが、いかがですか。

【保健福祉部長】
 他業種の賃上げが進んでいるなか、介護分野において良質なサービスを確保し、人材不足を解消するためには、職員の処遇改善が喫緊の課題となっております。
 本年6月からは、改正後の介護職員等処遇改善加算が実施をされますが、県では引き続き適切な水準の介護報酬を設定すること、処遇改善加算に関しては対象外となっているサービス事業所も含め、介護サービスの提供に関わるすべての従事者を対象とすること、処遇改善の原則にあたっては、新たな財源の創設も含め、利用者の負担増や地方負担が伴わない適切な財政措置を講じることなどを国に対して要望してまいります。

3.後期高齢者医療制度について

【高田委員】
 制度が始まって15年、この間の保険料や医療費の負担、そして加入者数、所得状況はどのように推移しているでしょうか。

【保健福祉部長】
 後期高齢者医療制度は、75歳以上の高齢者を対象とした医療制度として、平成20年度に創設されたものであり、全市町村の加入により岩手県後期高齢者医療広域連合が運営を行い、保険料率は県内均一となっております。
 制度が開始された平成20年度の一人当たりの保険料は、平均で年額39123円、一人当たり利用費は平均で年額71万5606円でしたが、保険料・医療費ともに増加傾向にあり、令和4年度は、保険料が年額49474円、医療費は年額77万4779円となっております。
 一方、被保険者一人当たりの平均所得額は、この15年間において大幅な増減はなく、33万円台から38万円台で推移しております。
 なお、被保険者数は高齢化の進展により年々増加を続け、この15年間で18.8%の増となっております。

【高田委員】
 窓口負担は2割や3割負担になっている方もいます。全国の保険医協会の調査でも、2割負担となった高齢者のうち、1割が「受診抑制をしている」と。2割から3割が「預金を取り崩している」となっております。すでに重い負担となっておりますが、新年度の県内の保険料や窓口負担はどのようになるでしょうか。

【保健福祉部長】
 後期高齢者医療制度における窓口負担は、令和4年10月1日から、一定以上の所得がある場合、これまでの1割負担から2割負担に引き上げとなっており、運営主体である岩手県後期高齢者医療広域連合の調査によりますと、令和4年10月1日現在で、被保険者21万7691人の13.8%にあたる30039人が対象となっております。保険料については、令和6年度に2年に1度の改定が行われる予定であり、一人当たりの平均保険料額は年額で56088円、6614円の増となる予定となっております。

【高田委員】
 つまり、この15年間実質の年金が増えない中で、窓口負担が2割負担3割負担となって、そして保険料も56088円とこの間1.4倍になっています。同時に、介護保険料についてもこの間2倍です。年間72000円にもなっているという状況です。こういう中での物価高騰、受診抑制が強いられていて、高齢者への新たな負担というものは止めるべきだと思いますけれども、この点についていかがですか。

【達増知事】
 国では、少子化対策の財源に充てる子ども子育て支援金制度を令和8年度から段階的に導入し、年齢に関わりなく能力に応じて支え合うという全世代型社会保障構築の観点から、国民健康保険や企業の健康保険のほか、高齢者医療保険の保険料からも徴収することとしており、医療保険や所得によって金額は異なりますが、一人当たり月平均500円弱の負担になるとも聞いております。支援金の導入にあたっては、低所得者に対して軽減措置を設けるとされておりますが、後期高齢者医療の保険料は、平成20年の制度創設時から1.26倍に増加しているほか、令和4年度から一定以上の所得がある方の医療費窓口負担が引き上げとなっており、新たに支援金が加わることでさらに負担が増加するものと認識しております。
 少子化対策財源については、社会全体として子育てをするという理念のもと、国民的に納得感が得られるような制度とすべきであり、制度の詳細についてはまだ国から示されておりませんが、県では今後の国の動き、検討状況などを注視し、特に高齢者の適正な受診が確保されるよう、必要に応じ国に対して働きかけを行っていきたいと考えております。

【高田委員】
 高齢者の適切な受診というお話がありましたけれども、これではとても受診抑制がどんどん拡大していくと私は懸念しております。
 後期高齢者医療制度は、所得が変わらなくても2年ごとに保険料を上げる仕組みが導入をされました。そして窓口負担は15年前は1割負担だったものが2割3割と。一方で国庫負担金をどんどん減らしていくと。いま知事がお話したように、少子化対策の財源としてもこれから使おうとしていると。年500円か600円、よく分かりませんけれども、国保も構造的な問題がありますけれども、後期高齢者医療制度も構造的な問題があると思いますので、ぜひこういった問題は見直しをするよう強く求めていっていただきたいと思います。

4.エアコン設置への支援について

【高田委員】
 昨年の熱中症による緊急搬送というのは、実に1280件ありました。その中で高齢者は822件、その半数が自宅から搬送されたということであります。今年も猛暑が予測されると言われております。昨年の教訓も踏まえて、エアコン設置についてぜひ支援を行うべきだと思います。低所得者の皆さんが購入できなかったり、使用を控えるということが予想されます。これまでも何度も求めてきましたが、ぜひ検討していただきたいと思いますがいかがですか。

【保健福祉部長】
 高齢者世帯や低所得者世帯のみを対象とした補助制度を設けることに関しては、すでに設置をしている世帯との公平性の課題があること、また、市町村からの要望等も受けていないことなどから、まずはエアコンの設置などが可能な生活福祉資金等現行制度の周知や、熱中症対策としてのエアコン利用の有効性の周知が必要と考えており、県としては市町村の地域包括支援センター等を通じた介護サービス相談、社会福祉協議会における生活福祉資金窓口、生活保護世帯に対する日頃のケースワークなどのさまざまな機会をとらえて、周知を図っているところでございます。
 県としましては引き続き、関係機関等と連携をしまして、いわゆる熱中症弱者といわれる方々に対する積極的な見守り、声がけなどにより、夏の間の熱中症予防に取り組んでまいります。

【高田委員】
 前向きな答弁を期待しましたが、なかなかそうならず残念でした。部長の答弁ではなかなかエアコン設置が進まないと思いますね。市町村から要望がなかったというのであれば、やはり市町村と協議をして、熱中症対策に何が必要なのかという議論が大事ではないかと思いますし、生活保護世帯は制度上一部の生活保護世帯しか対象にならないんですよ。それは部長もお解りだと思うんですけれども、これを購入する際には借金をしなければならないと。これは最低生活を保障するという点では問題だと思います。生活保護世帯、あるいは低所得者世帯を含めた支援をしないと進まないと思いますけれども、改めてお伺いしたいと思います。

【保健福祉部長】
 委員からご紹介ありました通り、低所得者や生活保護の方々、生活保護の方々に対しましては、国が示す規定のもとではございますけれども、例えば令和4年度は、生活保護費でのエアコン等は25件、令和5年度は猛暑の中4月から11月で46件という形で増えております。現場の方といたしても、こうした非常に猛暑の中で、いわゆる熱中症弱者の方々に意を配して、こういった対応が行われたものと認識しております。生活福祉資金貸付につきましても、令和4年度は12件の実績に対しまして令和5年度は18件という形で、同様に変化があったものと認識をしております。
 なかなかすべての方々を対象としたということについては課題もあります。むしろエコ対策で市町村の方で実施しているといったような施策面もございますので、そうした施策等の状況も十分見据えながら検討すべき課題と考えております。