2023年10月25日 決算特別委員会
出納局
に対する質疑(大要)


・入札制度の改善について

【斉藤委員】
 入札制度の課題についてお聞きをいたします。
 この5年間落札率はどう推移しているでしょうか。全国との比較はどうなっているでしょうか。

【入札課長】
 5年間の落札率の推移についてでありますが、県営建設工事における一般競争入札の加重平均による平均落札率は、令和元年度から令和3年度がそれぞれ91.6%、令和4年度が92.1%、令和5年度が7月末までで92.4%となっております。
 国の入札契約適正化法に基づく実施状況調査結果によりますと、単純平均による全国の落札率は、令和元年度が93.7%、令和2年度93.8%、令和3年度93.5%、単純平均による岩手県の落札率は、令和元年度が92.6%、令和2年度が92.4%、令和3年度91.8%となっております。

【斉藤委員】
 今の答弁ですと、全国の落札率と比べると岩手県は1.7%ぐらい低いということが1つの事実であります。
 そこで、予定価格の事前公表制度は、全国・東北の実施状況はどうなっているでしょうか。

【入札課長】
 予定価格の事前公表の状況についてでありますが、全国では、事前公表は、一部に事後公表との併用を含みますが、令和4年10月1日現在、30都府県で採用されており、東北地域では、本県を含む5県で採用されています。

【斉藤委員】
 厳密に言いますと、事前公表のみは13県、東北では青森・岩手・宮城ということですよね。
 そこで、予算のときも取り上げてきたんだけれども、建設業協会や中小企業団体中央会が予定価格の公表の見直し・廃止を求めています。その理由は、採算性を度外視した低価格入札を行わないように、入札予定価格の事前公表は行わないようにと。業者は、責任をもって正確な積算ができるようにという、これは前向きの要望なんですよ。建設業協会がそのように要望しているというのは分かっていましたが、中小企業団体中央会も岩手県への要望でこのことを要望しているんですね。
 県内のこういう主要な団体から要請されているのに、なぜ予定価格の公表を続けるのですか。

【入札課長】
 予定価格の事前公表についてでありますが、予定価格の事前公表について、県では、入札の透明性の向上、発注者受注者双方の事務効率の向上、さらには予定価格に係る不正防止の観点から有効として導入し、国の指針に基づき十分検討を行いながら運用しております。
 制度導入以降、予定価格の事前公表による弊害は確認されていないところでありますが、引き続き、入札動向や他県の状況等を見ながら適切に対応してまいります。

【斉藤委員】
 実際には国はやっていないじゃないですか。そして実際に入札に参加する業者の方、中小業者の方が、予定価格の事前公表を止めてほしいと言っているんですよ。弊害がないと言っているけれども、弊害がなかったらなぜこういう要望が出てくるんですか。この要望をどのように受け止めていますか。

【入札課長】
 国が示す指針では、予定価格の事前公表により懸念される事項として、「落札価格が高止まりになること」、「くじ引きによる落札の増加」、「建設業者の見積努力を損なわせる」などがあります。
 本県の入札の状況をみますと、「落札価格の高止まり」については、直近3か年の平均落札率が91〜92%台であり、全国平均と比較して著しく格差が生じていないこと、また、「くじ引きによる落札の増加」については、その発生割合が1%程度と非常に低い状況であります。
 さらに、適切な積算を行わなかった入札参加者が受注する事態を避けるため、入札書と同時に工事費内訳書の提出を義務付け、入札価格が積算によるものであることも確認しており、現時点では弊害は確認されていないものと考えております。
 国の入札制度では事前公表がないということでございますが、国においては、予算決算及び会計令の規定に基づき、予定価格を事後に公表することとされております。

【斉藤委員】
 国は事後公表になっていると。そして実際に、岩手における事前公表は、結局予定価格が公表されると、どのレベルで落札できるかという競争になるんですよ。だから高止まりどころか、全国平均よりも低くなってしまう。いまコンピューターの時代ですから、だいたいどのレベルで積算すればいいかというのはすぐできてしまう。業者はそのことを言っているわけです。だから、設計を見て、正確な積算をやるべきだというのが建設業協会や中小企業団体中央会の要望なんです。要望の趣旨わかっていますか。

【入札課長】
 要望の内容については存じております。

【斉藤委員】
 私はこの建設業協会と中小企業団体中央会の要望というのは、本当に前向きな、しっかりした積算をもって入札に臨みたいということなんですよ。国だってやっていないんだから。もっと県内事業者のそういう要望をしっかり受け止めるべきだと。結果として落札率は低く出るという競争になっているんです。そういう実態もよく見てやっていただきたい。
 あわせて、建設業協会と中小企業団体中央会は、最低制限価格制度の導入について見直すべきだという提案もしております。最低制限価格制度の導入の全国・東北の実態はどうなっているでしょうか。

【入札課長】
 最低制限価格制度の状況についてでありますが、令和4年10月1日現在で、全国では、44都道府県で制度があり、東北地域では、青森県、宮城県、秋田県、山形県、福島県で制度を設けています。
 なお、宮城県では、制度は廃止していないものの、適用しておらず、秋田県でも令和4年度から適用しないこととしたと聞いております。

【斉藤委員】
 最低制限価格制度というのが適正な入札価格を保障する制度だと思いますよ。結局、低入札価格制度というのは、低入札が出たときにその適正化を図るだけで、業者にしてみればきちんと採算のとれる落札をしたいわけです。身を切ってやるわけにはいかないのだから。そういう意味でいけば最低制限価格制度というのはもっとも合理性のある制度だと思うけれども、なぜ岩手県はやらないんですか。

【入札課長】
 本県では、平成19年7月の入札制度の見直しの際に、今後、一般競争入札を本格的に実施していくに当たり、透明性を一層高めるため、また、総合評価落札方式を導入し、拡大していくという観点から、最低制限価格制度を廃止した経緯があります。
 現在、県が採用している総合評価落札方式及び低入札価格調査制度は、ダンピング防止を図りつつ、企業の技術力や企業努力、地域貢献活動等を適切に評価し、価格と品質が総合的に優れた者を契約の相手方にしようとするものであり、最低制限価格を下回った入札を一律に排除する最低制限価格制度よりも優れたものと考えております。
 さらに、低入札価格調査制度において、ダンピング防止のため、一定の価格を下回る場合には自動的に失格とする基準、いわゆる「失格基準価格」を設けて、一定額を下回った場合には失格としております。
 競争性、透明性、経済性を確保しつつ、企業の地域活動等が適切に反映されること等の観点から、現行の低入札価格調査制度を運用し、また、総合評価落札方式も効果的に活用しながら、ダンピング防止にも適切に取り組んでまいります。

【斉藤委員】
 最低制限価格制度というのは、やはり最低限採算のとれるライン、それをしっかり設定して、入札参加する業者の採算性を保障するということだと思いますよ。低入札が増えれば、最低制限価格よりも下がると、いま答弁あった通りです。安ければ安いほど良いという時代じゃないと思います。やはり質を確保して、最低限の採算性を保障するという入札制度に抜本的に改革を図るべきではないかと。

・官公需の県内事業者への発注状況について

【斉藤委員】
 官公需の県内事業者への発注額・発注比率の向上を求めたいのでありますけれども、官公需の中小企業への県内の発注額・発注率はどうなっているでしょうか。

【入札課長】
 県内事業者への発注額及び県内事業者の占める割合についてでありますが、震災前の平成 21 年度は、県内事業者への発注件数が1,958件、割合が93.6%、金額としては437億円余、割合が83.4%でした。
 震災からの復旧・復興工事が増大していく中で、震災後の発注額がピークとなった平成25年度は、発注件数が1,445件、割合が90.2%、金額としては1,091億円余、割合が59.9%と、県内事業者の比率が最も低くなりました。
 その後は増加傾向にあり、令和3年度は発注件数が890件、割合が96.0%、金額としては502億円余、割合が95.0%となっておりましたが、令和4年度は発注件数が836件、割合が94.7%、金額としては422億円余、割合が85.8%となり、発注金額に占める割合が前年度を下回っております。

【斉藤委員】
 震災から12年が経過をして、状況は大きく変わってきているし、入札件数そのものも大幅に減少していますので、中小企業基本計画では、90%の目標をめざしています。
 いただいた資料では、件数で見ますと、率は86.1%、額で65.6%となっております。これは令和4年度でありますが。目標の90%、これは件数だと思いますけれども、これを前倒しで達成をするという取り組みが必要だと思いますけれどもいかがでしょうか。

【入札課長】
 県内事業者への発注についてでありますが、県営建設工事の発注に当たっては、県内企業の育成、地域経済の活性化、雇用確保の観点から、県内企業で施工可能と認められる工事は、県内企業への優先発注を原則としております。
 復旧・復興工事の円滑な施工の推進のため、入札参加資格要件の緩和措置を講じたこと等により、県外企業の受注割合が高くなった時期もありましたが、平成29年度以降、県内企業の受注は、件数、金額ともに8割を超え、震災前の水準に戻っています。
 県内事業者への発注額の割合が低下した要因につきましては、令和3年度は、WTO対象の大型工事の発注がありませんでしたが、令和4年度は、1件51億円余のWTO対象工事を県外企業と県内企業からなる特定共同企業体と契約していることから、大型工事の発注が県内企業の受注割合の低下に影響したものと推察されます。
 県としては、引き続き、入札動向を注視するとともに、業界団体の意見も伺いながら、県内地元企業の受注機会の確保、受注比率の向上に努めてまいります。