2023年10月25日 決算特別委員会
警察本部に対する質疑(大要)
・供述調書改ざん・公文書毀棄容疑事件について
【斉藤委員】
昨年3月に、事件の被害関係者の供述調書を県警の警察官―巡査部長と上司の警部補が改ざんし、容認し、保管すべき変更前の調書を破棄したと。この問題については、岩手県弁護士会が、きわめて重大な、事によっては冤罪にも結びつく重大問題として公開質問状も出して、県警の対応を質したのでありますけれども、残念ながら公開質問状にはまともな回答がなかったというのが、県弁護士会の見解でありました。
どう調査し、処分をされたのでしょうか。
【首席監察官】
お尋ねの昨年3月の事案につきましては、厳正な監察上の調査を行い、上司の警部補については本部長訓戒、部下の巡査部長については所属長訓戒の措置にしております。
【斉藤委員】
どう調査したかというのがありませんでした。どういう重大な事件だったのかと。改めてその認識をお聞きしましょう。
【首席監察官】
監察上の調査につきましては、当然にして行為者等から、および関係者から徹底した事情聴取を行うという形で、監察部門として調査をしたものでございます。
どういう事案だったのかということの質問につきましては、先ほど委員からもご指摘ありました通り、事件の被害関係者の供述調書につきまして、内容が一部事実と異なっておりましたために、正しい内容に訂正する必要があって、本来正しい内容に訂正するものの調書を新たに作成するべきところを、供述人が遠隔地にいたということなどから、正規の手続きをとらずに修正を行ったという事案でございます。
【斉藤委員】
私は予算委員会でも取り上げて、前任の金田一さんは「きわめて重大に受け止めている」という認識でしたよ。そういう認識あるんですか。
【首席監察官】
委員ご指摘の通り、本件につきましてはきわめて重大な事案であったと認識しております。
【斉藤委員】
ここまで聞かないとその答弁が出てこない。本当に認識が甘いんじゃないかと。
甘さは処分に表れているですよ。「きわめて重大に受け止めている」と県警の関係者は繰り返し答弁をしましたが、処分は「所属長訓戒「本部長訓戒」です。これは懲戒処分にならないんです。いわば供述調書を改ざんしてもこの程度で済むと。結果的にこうなるんですよ。だから同年8月に同じような事件が起きたじゃないですか。去年の8月どういう事件が起きて、どういう処分がされましたか。
【首席監察官】
昨年の8月の事案につきましては、警察署の巡査長が事件としては立件しない軽微な事案の取り扱いにあたりまして、行為者に作成させた誓書―これは反省文のようなものになりますが、これを紛失してしまったことから、同書類を自ら作成して、決済に際して上司に提出したという事案でありまして、その3月に発生した後に、また公文書にかかる事案が発生したということで、きわめて重大な事案と受け止めております。
【斉藤委員】
この事件も、紛失して自ら勝手に書いたという事件ですよね。これは二重に問題だったと思うんだけれども、これも本部長訓戒です。訓戒程度で済まされている。こういう甘い処分をしたら、重大視しているというのは言葉だけで、県警本部全体には伝わらないと、率直に指摘をしておきたいと思います。
そこで弁護士会は、こうしたことがないように全面捜査の可視化をすべきだと提起をしております。取り調べの全面的な録画・録音をすべきだという弁護士会の提起に対して、県警はどう取り組まれているでしょうか。
【刑事部長】
取調べの録音・録画の取組についてでありますが、刑事訴訟法第301条の2に基づき、死刑または無期の懲役もしくは禁錮に当たる罪に係る事件、短期1年以上の有期の懲役または禁錮に当たる罪であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させたものに係る事件などを対象とするほか、国家公安委員会規則であります犯罪捜査規範第182条の3に基づき、逮捕または勾留されている被疑者が精神に障害を有する場合が規定されており、これら法令に従って適正に実施しております。
【斉藤委員】
令和4年度、この録音・録画をされた事案は何件あったのでしょうか。
【刑事部長】
平成21年4月の施行開始から令和4年12月末までの実施件数は裁判員裁判対象事件で169件、あとは精神の障害を要する被疑者の事件につきましては344件の取り調べの録音・録画を実施しております。
なお24年の本施行以降、対象事件における録音・録画の実施率は100%で実施しているものでございます。
令和4年の実施件数でございますけれども、裁判員裁判対象事件につきまして14件、精神障害のある者につきましては50件を実施しております。
・警察官の不祥事案について
【斉藤委員】
昨年7月3日付で、道路交通法違反―酒気帯び運転で処分されていますが、なぜこれは戒告処分で済んだのでしょうか。
【首席監察官】
本年7月3日付で懲戒処分といたしました酒気帯び運転の事案でございますけれども、本件事案の処分につきましては、酒気帯び運転の態様、全国・県内におけるこれまでの先例を踏まえまして、事案の内容を総合的に判断して対処したものでございます。
【斉藤委員】
本庁職員だったら一発で免職じゃないですか。県警本部は違う基準で、それも懲戒処分で一番軽い「戒告」ですよ。酒気帯び運転がこの程度で済むんですか。ちょっと県民からは考えられないんだけれども、これは本庁の処分規定と県警は違うということですか。
【首席監察官】
警察庁が示しております懲戒処分の指針を踏まえまして、なおかつ事案の具体的態様に応じまして、全国の警察の処分の先例等を総合的に判断しての処分結果ということでございます。
【斉藤委員】
そうすると全国の警察官は酒気帯び運転をしても免職にならないと。戒告程度で済むと。本庁の基準とは違うと。ここを確認させてください。それでいいんですか本当に。
交通指導をする警察官がそんな甘い基準で通用するんでしょうか。本部長、全国はそうなんですか。警察官の酒気帯び運転は免職にならない、戒告程度で済むということでしょうか。
【警察本部長】
お尋ねの今回の事件でございますが、これは前日飲んだお酒が残っていてそのまま出勤をしたという事案でございますけれども、翌朝出勤したときに酒気を帯びているのではないかという状況でありましたので、そこで呼気の検査をしております。この際に、制令基準値を下回るアルコールが検出をされておりました。しかし、制令基準値はその時点で下回っておったんですけれども、運転したいたときには酒気を帯びていたのではないかということがございましたので、そこはしっかりと捜査をいたしまして、計算式等を用いて送致をさせてもらったという状況でございます。
そういった事案でございまして、これはご指摘の通り、我々法令を順守する立場である警察官でございますので、酒気帯び運転というのは許されるものではございません。その中で、今申し上げたような状況、全国の状況、先例を踏まえて今回の処分に至ったところでございます。ただ、こういったことを私どもとしても非常に重く受け止めておりまして、こういうことは二度と起こさないように指導を徹底しておるところでございます。
【斉藤委員】
あとで検査したら基準を下回っていたという話ですよね。しかし運転していたときは酒気帯び運転という判断でしょう、警察としては。だったら戒告で済むような話じゃないでしょう。これ以上やっても仕方がないので、そういう意味では本庁の基準と違うのかどうかということを改めて後で確認をさせていただきます。
・向中野地区における交通安全対策について
【斉藤委員】
もう1つ大変大事な課題がありますのでお聞きをします。
向中野地区における交通安全対策であります。向中野地区の7丁目(街区中央交差点)で、人身交通事故が昨年6件、これは損保会社の調査結果で、テレビ放映もされ、私も大変びっくりいたしました。
5丁目は3年間で5件発生をしていると。ここは信号のあるところで、信号のないところはただちに信号を設置すべきだし、5丁目の交差点の事故も多いんですけれども、これは右折の信号がないと。そのために赤になってから右折するというので事故が起きているということで、この点については県警はどのように地域住民の命・安全を守る対策をとろうとしているか示してください。
【交通部長】
盛岡市向中野7丁目の街区中央交差点における人身交通事故につきましては、昨年中に発生した6件全てが車両同士の出会い頭事故でありまして、また同市向中野5丁目の石川町交差点における人身交通事故につきましては、過去3年間に発生した5件中、横断中の人対車両の事故が4件、自転車対車両の出会い頭事故が1件となっております。
次に、県警察としてどう受け止め対応しようとしているかについてですが、いずれも重大事故に発展する恐れのある事故形態であると認識しておりまして、引き続き交通事故を防止するため、同交差点付近において関係機関・団体等と連携した街頭活動や広報啓発活動を推進するほか、道路管理者と連携しながら交通安全施設の整備について検討して参りたいと考えております。
【斉藤委員】
ぜひ街区中央交差点は信号のないところで、人身事故が1年間で6件というのは異常事態ですよ。ぜひこれは信号機の早期設置、5丁目については右折信号を、私に対する資料提供では、工事の進捗状況に左右される可能性はあるが、令和6年度中の完成を見込んでいるということですが、これでよろしいですか。
【交通部長】
委員からお話ありました通り、盛岡市向中野5丁目の石川町交差点につきましては、現在道路管理者による路面改良工事中につき、広報啓発活動や交通指導など街頭活動を通じて交通事故防止に努めてまいりたいと考えておりますが、道路管理者による路面改良工事の終了までに、右折矢印信号灯機を設置することで現在検討をしております。この工事の進捗状況に左右される可能性はございますが、令和6年度中の見込みでございます。
【斉藤委員】
ぜひこれは地域住民の命と安全に関わる問題ですので、ぜひ早急に対応していただきたい。
もう1つ、これは向中野4丁目、南仙北1丁目からアンダーパスで向中野に行くところなんですが、ここも人身交通事故が発生をしております。通学路だけれども危険だから通学路に指定できないと。でも通学しているんですよ。ここに地元の町内会を含め、ぜひ横断歩道を整備してほしいという切実な要望が繰り返し出されておりますが、これへの対応はどうでしょうか。
【交通部長】
盛岡市向中野4丁目地区における横断歩道設置要望の具体的な見通しについてですが、かねてからご要望がありました交差点における所要の交通量調査を行った結果、歩行者の安全を確保する必要がある場所として横断歩道の必要性を認め、令和6年度中の設置に向けて現在検討中であります。
また、今後予算措置の上、道路管理者との調整や設置場所に関する詳細な調査、工事の発注といった手続きを経る必要がありますことから、このようなスケジュールを予定しております。
ご要望がありました箇所につきましては、引き続き、通学時間帯を中心としました警戒活動等を行いまして、歩行者の安全を確保を図ってまいりたいと考えております。