2023年10月18日 文教委員会
文化スポーツ部に対する質疑(大要)
・J2対応のサッカー場の整備について
【斉藤委員】
現在、県と盛岡市とグルージャでどういう協議が行われているでしょうか。
【スポーツ振興課総括課長】
いわぎんスタジアム協議委員会において、いわぎんスタジアムのBグラウンドを改修する提案がなされてございまして、盛岡市において現在対応を検討しているとうかがっております。
スタジアム整備につきましては、いわてグルージャ盛岡と盛岡市において改修計画をしっかり検討いただきまして、盛岡市と相談しながら県としてどのような支援ができるか考えていきたいとしております。
【斉藤委員】
この三者の協議は、県はどういう立場で参加しているのか。協議されたのは何回なのか。
【スポーツ振興課総括課長】
市とは内々に情報交換はしてございますが、グルージャの方から提案がございまして、盛岡はいま検討中ということでしたので、それらも踏まえまして具体的な検討を進めたいと考えてございます。
【斉藤委員】
新聞やニュースでは、協議が行われて、協議の責任者は誰とかなっているじゃないですか。どういう協議会の名称ですか。構成メンバーは誰で、県はどういう立場で参加しているんですか。
【スポーツ振興課総括課長】
グルージャの方で、いわぎんスタジアム=ホームスタジアムの整備に向けまして、いわぎんスタジアム協議委員会を立ち上げてございまして、それに県と市はオブザーバーで参加してございます。報道にもあります通り、委員長は小松製菓の社長さん、そのほかに金融機関、マスコミ、支援者、スポンサー等が入っている協議委員会になってございます。
【斉藤委員】
そうすると、盛岡市と岩手県はオブザーバー参加、正式のメンバーではないと。グルージャが中心となった協議会がつくられているということですね。この間開催されたのはその第1回ですか。
【スポーツ振興課総括課長】
協議委員会は7月に1回、9月に1回、計2回開催されてございます。
【斉藤委員】
これは県民の関心の高い課題なんですよね。一度J2になって、残念ながらまたJ3になったんだけれども、私は大変県民の関心の高い課題だと思います。
こうしたJ2対応といいますか、サッカー場の整備については、国等にどのような支援策があるのか。他県ではどのように整備されているのか示してください。
【スポーツ振興課総括課長】
市町村がサッカー場等のスタジアムを整備する場合、国のデジタル田園都市国家構想交付金の地方創生拠点整備タイプや、都市公園の施設であれば社会資本整備総合交付金を活用できる可能性があると考えてございます。
また、J3の20チームのホームスタジアムの整備状況については、市営・町営スタジアムが10件、県営スタジアムが9件、民営スタジアムが1件となっております。直近では、愛媛県の今治市をホームタウンとするFC今治の運営会社の子会社が、今治市から土地を無償貸与された上で、地元企業から融資や借り入れを受けまして資金調達して、将来的にJ1基準まで入場可能になるスタジアムを整備しているような例がございます。
【斉藤委員】
それで気になる問題がありまして、J2対応サッカー場の整備について、グルージャの当時は監督でしょうか。知事選挙で、千葉絢子さんを応援したんですね。その理由は「県がまともに対応しないからだ」ということが公然と言われた。これ自身私は不適切だと思いますけれども、サッカー場整備について選挙の中でそういうことをすること自身が不適切だと思いますけれども、これは分かっていますか。
【スポーツ振興課総括課長】
私も時々グルージャの試合を観に行くんですが、ちょうど観に行ったときにお話をしていたのは聞いたことがございます。
【斉藤委員】
これは実は盛岡のいわぎんスタジアムで試合があったときに、達増さんの相手候補があいさつしているんですよ。そして選挙の最中に、グランドホテルで開催された決起集会のときに、グルージャの責任者がそのことを話しているんですよ。「県はまともに対応しないから、私は千葉さんを応援する」と。
この整備の問題というのは一朝一夕で進むものではないし、ただいつまでものんびりしていいということではないけれども、こうして政治問題化したことは問題だったのではないかと。部長はどのように受け止めていますか。
【文化スポーツ部長】
来年の6月までという期限もあることですので、いわてグルージャ盛岡側が実現に向けてさまざま動いているということはそうなのだろうと思います。それぞれの方々にいろいろな考え方あると思います。そうした皆さんの考え方をつかみつつも、県としてはどのような対応をするかについては、市の協議を進展をよく注視して、改修計画の内容を精査し、県のスポーツ行政の方針や県財政への影響などを照らして十分に検討していくべきものだと考えます。
【斉藤委員】
切羽詰まった課題だということもあると思いますけれども、多様な多くの県民に応援されているグルージャですから、重大な政治戦のときに片方に肩入れするというのは問題の解決にもならないし、矛盾を広げるしかないのではないか。そのことは指摘して、どういう形でJ2対応のサッカー場を整備するのが岩手にとって一番いいやり方なのか、本当に知恵を出して県民の期待にも応えていただきたい。
・県内3つの世界遺産について
【斉藤委員】
平泉の世界遺産の拡張とガイダンスセンターの取組状況、観光客の推移などはどうなっているか示してください。
【文化振興課総括課長】
平泉の文化遺産の拡張についてのお尋ねでございますが、こちら平成24年度に掲載されまして、これまで10年にわたりまして調査・検討を継続して多くの結果が得られてまいりました。国内の有識者による専門委員会を設置いたしまして、その委員による検討や議論を重ねてまいりましたところ、令和2年8月に柳之御所遺跡を除く6つの遺産については、それぞれの問題・課題の解決にはなお時間を要するということの最終意見がまとめられたところです。こちらの専門家の意見も踏まえまして、県と関係する3市町で協議を重ねてまいりまして、この8月に代表者による会議において協議・申し合わせを行い、今回拡張登録の対象としては、まず柳之御所のみを推薦するということについて合意したところでございます。
ガイダンスセンターの取組状況についてですが、令和3年11月に開館いたしました平泉世界遺産ガイダンスセンターでございますが、入館者につきましては、令和5年8月までの状況で40340人のご来館をいただいております。入館者数の推移で申し上げますと、令和3年度は11月からということになりますが6657人、令和4年度は25347人、令和5年度は4月から8月の計で8336人となっております。この8336人につきまして昨年度同月比で4688人・36%の減となっておりまして、団体数は若干伸びておりますが、個人客の減少が要因となっているというところでございます。
ガイダンスセンターの取り組みでございますけれども、この令和5年度から指定管理者制度、それから利用料金の有料化という制度を導入したところでございます。有料化を受けましてさらに多くの人にご来館いただけるような努力ということで、平泉の周遊のゲートウェイという役割、施設の展示ですとか魅力向上に努めております。指定管理者制度の方では、企画展示などを工夫したり、あるいは県南振興局と一緒にパネルの展示ですとか着付体験、藍染め体験などを開催いたしまして、来客の促進に努めております。また、多くの方にご来館いただくことが重要と考えてございますので、教育旅行説明会に参加いたしまして、ガイダンスセンターの周知を行っているところでございます。
【斉藤委員】
ガイダンスセンターの入館者が今年5月から8月で前年比4688人減少ということで、かなり大幅な減少なので5月というのはある意味コロナが5類になって、本来ならもっと来場できるような客観的な条件があったと思うんだけれども、なぜこれだけ大幅な減少になったのか。ここをしっかり分析しないと、本来増えるべきときに減少したというのはなぜなのか。入館料はそれほど大した額ではないと思うので、それが障害になったとは思わないんだけれども、そのことについてはどんな議論、対策がなされているのか示してください。
【文化振興課総括課長】
ガイダンスセンターの入館減に関しての対応についてでございます。コロナが5類に以降になったことにより来館者増を期待したところでありましたが、結果として少ないということは、やはり要因の1つとしては有料化があるととらえております。こちらに関しては、一時的に経済的な負担が増すということで、リピーターの方の来館に影響を与えたということが1つあると考えております。また、施設の開館状況ですとか外観から見た状況として、入りにくい、どういったものがあるのか分かりにくいといった声もいただいておりまして、そういった中でガイダンスセンター自体のPR不足も影響しているのかなと考えております。
そういったことで、中尊寺・毛越寺などにお越しになった方も含めて、ガイダンスセンターにも足を運んでいただけるというような周遊策については検討する必要があると考えておりまして、今年度は来訪者の方にアンケートを記入していただき、どちらからいらっしゃったか、どこに行くのかといったような動向について調査を行っております。その調査結果も踏まえて、平泉の地域の世界遺産とその関連の施設も含めてガイダンスセンター、皆さんに多く周遊していただけるような策を検討していきたいと考えております。
【斉藤委員】
しっかり分析・検討して、本来なら増える時期に大幅に減っていますから、これは注視してしっかり対応しなくちゃならない問題だと思います。
御所野遺跡の保存と活用の状況、いま縄文ウォークというのでいろんなイベントもされて、あちらの方は元気な感じなんですけれども、御所野遺跡の保存と活用、利用状況、あとはこの遺産というのは北海道から北東北まで連携した遺産なので、他県との連携はどのように進められているのか示してください。
【文化振興課総括課長】
御所野遺跡につきましては、北海道・北東北の縄文遺跡群を構成いたします4つの道県と関係市町による協議会が組織されておりまして、こちらに参画いたしまして一体となって保存活用の取り組みを進めております。この協議会では、ガイダンス映像の多言語化ですとかフォーラムの開催などを行いまして、国内外からの来訪の促進に取り組んでおります。
県の取り組みでございますが、所在する一戸町や振興局、関係団体等とともに、各種のイベント、IGRいわて銀河鉄道の隣県による誘客ツアーなどを行っております。
【斉藤委員】
御所野遺跡は、高校生だとか地元の方々もかなり参加して、さまざまな取り組みが行われているのが特徴だと。そして町ぐるみの取り組みなどもされていて、道の駅の構想もありましたね。その辺はどうなっているのか。来場者の推移はどうなっているのか。
【文化振興課総括課長】
道の駅については、町の方で一時計画したというお話を聞いておりますが、その後の状況については把握してございません。
御所野遺跡の観光客の推移の状況ですけれども、コロナ禍前の平成30年度の来訪者が23576人、世界遺産登録後の令和3年度は32426人、令和4年度は34345人で増加しております。
【斉藤委員】
一番苦戦しているのが橋野鉄鉱山だと思いますけれども、現状はどうなっていますか。
【文化振興課総括課長】
橋野鉄鉱山の来訪者数ですけれども、平成30年が13092人、令和元年度が13226人、コロナに入りまして令和2年度が5547人、令和3年度が5263人、令和4年度が6219人ということになっております。
【斉藤委員】
橋野鉄鉱山も世界遺産で、場所的になかなか交通アクセスの不便なところだと。特に遠野から行く道は大変道路幅が狭くてカーブが多く、なかなか観光ルートになりきれない感じがするんですけれども、こうした橋野鉄鉱山の遺跡の積極的な活用ということで、釜石市と協議している課題について示してください。
【文化振興課総括課長】
橋野鉄鉱山の活用については、市と県とでさまざま協議しながら、各種のイベントの企画ですとか研修会の実施などを行っております。先ごろ県の方で開催いたしました、いわて世界遺産まつりの方で釜石市とともに開催いたしましたが、その際には駅の方からバスを用意して、来場いただくといった工夫もしているところです。
この資産の誘客や理解を深める取り組みというものを、より一層PRする必要があるということで、市と協議を進めてまいります。
・コロナ禍を経過しての文化芸術活動について
【斉藤委員】
コロナ禍を経過して、県内の文化芸術活動がどうなっているか。コロナ前と比べてどれだけ県内の文化芸術団体の活動が回復・再開しているのか。コロナ禍で解散した文化芸術団体はあるのか。そういう実態が分かれば示してください。
【文化振興課総括課長】
県内の文化芸術団体に対しまして、これまで10回にわたる調査を行っております。最近の調査では6月に行ったところですけれども、コロナウイルスによる文化芸術活動の影響の有無について回答を求めたところ、「大きく影響がある」と答えた団体が、前回2月の調査では20%だったものが今回は0となっております。また、「多少の影響がある」と答えた団体が55%から42.9%に減少しておりまして、状況自体は改善が見られることでありますが、コロナ前と比べると影響はまだ残っていると認識してございます。また、影響の内容については、もっとも多かったものは「団体・会員等の活動意欲の低下」がおおむね3割くらいの回答でございました。
コロナ禍によって解散等の影響が出た団体の状況ということでございます。定数として把握しているということはございませんが、先ほど申し上げた調査票の中の回答の中では、「市町村の芸術文化協会から脱退した」あるいは「連盟の加盟のクラブ数が減少している」といった回答がございます。また、県で設置しております文化芸術コーディネーターも相談に乗っておりますが、そちらの相談の状況でも、コロナの当初の時期は感染対策等の相談が多かったんですけれども、その後は「コロナに配慮しつつ演奏可能な施設を探している」とか「また活動をしたいので支援策、助成金はないか」といったご相談もいただいておりますので、活動を休止していた団体もまた活動に向けていろいろな動きが出ているともとらえております。
【斉藤委員】
10回にわたる影響調査をやって、「多少影響がある」というのがまだ42.9%ということですから、県内の文化芸術団体の活動というのは回復の過程にあるということで、ぜひ県の支援を継続して強化をしていただきたい。