2023年3月7日 予算特別委員会
出納局に対する質疑
(大要)


・入札制度の課題について

【斉藤委員】
 この5年間の落札率はどう推移しているでしょうか。全国との比較も含めて示していただきたい。

【入札課長】
 5年間の落札率の推移についてでありますが、県営建設工事における一般競争入札の加重平均による平均落札率は、平成30年度が92.5%、令和元年度から令和3年度がそれぞれ 91.6%、令和4年度が12月末までで92.3%となっております。
 国の入札契約適正化法等に基づく実施状況調査結果によりますと、単純平均による全国の落札率は、平成30年度が93.3%、令和元年度が93.7%、令和2年度93.8%、単純平均による岩手県の落札率は、平成30年度が92.8%、令和元年度が92.6%、令和2年度が92.4%となっております。

【斉藤委員】
 全国と比べると1.数%低いということになっていると思います。
 そこで、予定価格の事前公表制度についてでありますけれども、建設業界の方々は、この事前公表制度を見直してほしいと。現場をしっかり見た上でのそういう入札制度にしてほしいと強く要望しています。全国・東北の状況はどうなっているでしょうか。岩手はなぜこの事前公表制度を実施しているのでしょうか。見直すべきではないでしょうか。

【入札課長】
 予定価格の事前公表の状況についてでありますが、全国では、事前公表は、一部に事後公表との併用を含みますが、令和3年10月1日現在、31都府県で採用されており、東北では本県を含む5県で採用されております。
 予定価格の事前公表について、県では、入札の透明性の向上、発注者・受注者双方の事務効率の向上、さらには予定価格に係る不正防止の観点から有効として導入し、国の指針に基づき十分検討を行いながら運用しており、制度導入以降、予定価格の事前公表による弊害は確認されていないところでありますが、引き続き、入札動向や他県の状況等を見ながら適切に対応してまいります。

【斉藤委員】
 業者の方々はですね、結局事前公表されれば、今それこそ技術的には現場を見なくても計算できると言っております。現場を見て、しっかり積み上げた形で競争をすべきではないのかというのが現場の声ですが、このことについてどう受け止めていますか。

【入札課長】
 国が示す指針では、予定価格の事前公表により懸念される事項として、「落札価格が高止まりになること」、「くじ引きによる落札の増加」、「建設業者の見積努力を損なわせる」などがあります。
 本県の入札の状況をみますと、「落札価格の高止まり」については、直近3ヶ年の平均落札率が91〜92%台であり、全国平均と比較して著しく格差が生じていないこと、また、「くじ引きによる落札の増加」については、その発生割合が1%程度と非常に低い状況であります。
 また、適切な積算を行わなかった入札参加者が受注する事態を避けるため、入札書と同時に工事費内訳書の提出を義務付け、入札価格が積算によるものであることを確認しており、 現時点では弊害は確認されていないものと考えております。

【斉藤委員】
 国の入札制度は事前公表制度ありませんね。これはなぜですか。

【入札課長】
 予算決算及び会計令というものがあり、国では、予定価格を事後に公表するという決まりになっているものでございます。

【斉藤委員】
 国が事前公表をしていないというのは、法律もあるけれども、それこそ弊害がないからなんだと思うんですよ。それがある意味当たり前の原則だったと。
岩手県の場合、不正入札があって、それをきっかけにさまざまな改革がされてきたことは事実ですけれども、私は今本当に入札の件数も復興が一段落して厳しい状況になっている中で、やはり現場をしっかり見て、積算をして、そして公正な競争を確保するという原点に立ち返るべきではないのか。
 次に、最低制限価格制度の導入について。これも全国・東北の実施状況を示してください。

【入札課長】
 最低制限価格制度の状況についてでありますが、令和3年10月1日現在で、全国では44都道府県で制度があり、東北では、青森県・宮城県・秋田県・山形県・福島県で制度があります。なお宮城県では、制度は廃止していないものの適用していないこと、また秋田県でも、令和4年度からは制度は適用しないこととしたと聞いております。
 県では、平成19年7月の入札制度の見直しの際、今後一般競争入札を本格的に実施していくにあたり、透明性を一層高めるため、また、総合評価落札方式を導入し拡大していくという観点から、最低制限価格制度を廃止した経緯があります。
 現在、県が採用している総合評価落札方式および低入札価格調査制度は、ダンピング防止を図りつつ、企業の技術力や企業努力、地域貢献活動等を適切に評価し、価格と品質が総合的に優れたものを契約の相手方にしようとするものであり、最低制限価格を下回った入札を一律に排除する最低制限価格制度よりも優れたものと考えております。さらに、低入札価格調査制度において、ダンピング防止のため一定の価格を下回った場合には、自動的に失格とする基準、いわゆる失格基準価格を設けて、一定額を下回った場合には失格としております。
 競争性、透明性、経済性を確保しつつ、企業の地域活動等が適切に反映されること等の観点から、現行の低入札価格調査制度を運用し、また、総合評価落札方式も効果的に活用しながら、ダンピング防止にも適切に取り組んでまいります。

【斉藤委員】
 総合評価落札方式はどのぐらいの件数・率になっているのか。
 低入札価格調査制度ですが、これは低入札価格が低すぎるんですよ。だから失格基準も低くなるんですね。ですから、かなりの低い額で落札する可能性も高いと現場は指摘をしております。
 全体として、最低制限価格制度は全国多数です。そういう意味でいくと、全国の多数が実施をしている最低制限価格制度、今の低入札価格調査制度よりも実効性あると思います。いかがですか。

【入札課長】
 総合評価落札方式については、令和3年4月から適用工事を拡大し、3千万円以上の工事は原則適用としておりますが、拡大前の令和2年度の導入割合が41.7%、拡大後の令和3 年度は55.9%となっております。
 総合評価落札方式には、制度上、最低制限価格を適用できないため、最低制限価格制度を導入している44都道府県においても、総合評価落札方式では低入札価格調査制度を適用し、最低制限価格制度と併用しているものでございます。
 なお、国においては、最低制限価格制度に係る規定がないため、導入していないものでございます。

【斉藤委員】
 総合評価落札方式というのは、私も評価をしております。だから、そこまで最低制限価格制度を導入すべきだとは言いません。しかし、先ほど私が言ったように、低入札価格調査制度の失格基準というのは、出した価格が低いんです。低いところの平均を出すということで、これはもう現場の声ですから、それと比べると最低制限価格制度の方が実効的だと。そのことは現場の声として指摘をしておきたいと思います。

・官公需の県内事業者への発注額、発注比率の状況について

【斉藤委員】
 県営建設工事における中小企業者への発注件数、発注比率はどう推移していますか。低下している理由は何ですか。

【入札課長】
 県内事業者への発注及び県内事業者の占める割合についてでありますが、震災前の平成21年度が件数1,958件・93.6%、金額437億円余・83.4%。その後、震災からの復旧・復興工事が増大していく中で、震災後の発注額がピークとなった平成25年度は件数1,445件・90.2%、金額1,091億円余、59.9%と県内事業者の比率が最も低くなりました。
その後は増加傾向になり、令和3年度は件数890件・96.0%、金額502億円余・95.0%となっております。

【斉藤委員】
 額でいうと、この間かなり発注額そのものが減少しておりますので、その点でいけば、割合そのものは回復しつつあると。しかし、額的にいけば県内発注というのは当然のことなんですけれども、大変低いものになっていると。
 全体として、県内中小業者に対する発注比率を高める努力が必要だと思いますけれども、担当としてはどういう努力がされているでしょうか。

【入札課長】
 県内事業者への発注についてでありますが、県営建設工事の発注に当たっては、県内企業の育成、地域経済の活性化、雇用確保の観点から、県内企業で施工可能と認められる工事は県内企業への優先発注を原則としております。
 復旧・復興工事の円滑な施工の推進のため、入札参加資格要件の緩和措置を講じたこと等により、県外企業の受注割合が高くなった時期もありましたが、平成29年度以降、県内企業の受注は、件数・金額ともに8割を超え、震災前の水準に戻っています。
 引き続き、県内地元企業の受注機会の確保、受注比率の向上に努めてまいります。