2023年3月7日 予算特別委員会
政策企画部に対する質疑(大要)
・いわて県民計画第2期アクションプラン(最終案)について
【斉藤委員】
第1期の政策推進プランの成果と課題を示してください。
【政策課長】
第1期政策推進プランの成果と課題でありますが、 第1期アクションプランの計画期間におきましては、新型コロナウイルス感染症や物価高騰など、世界規模での危機に見舞われたものの、例えば、医師・看護職員の確保対策による医療従事者の増加や、産後ケア事業を行う市町村の増加、自動車・半導体関連産業の一層の集積、御所野遺跡の世界遺産登録、復興道路の全線開通やデジタル化の進展など、様々な成果があったと認識しております。
また、この間の「いわて幸福関連指標」の進捗を見ると、例えば、「人口10万人当たりの自殺者数」の減少や「待機児童数」の2年連続での減少、「高卒者の県内就職率」の2年連続での上昇など、施策の成果が現れてきていると考えております。
一方で、「合計特殊出生率」の低下、「三セク鉄道・バスの一人当たり年間利用回数」の減少、「観光消費額」の減少など、新型コロナウイルス感染症の影響等が見られている政策分野においては達成度が低いものと考えております。
【斉藤委員】
1期、それなりの着実な成果があったと思います。
それで、第2期アクションプランでは、「人口減少対策に最優先で取り組む」としております。アクションプランで示されている人口減少対策、主なものを示してください。
【政策企画課総括課長】
第2期アクションプランでお示ししております人口減少対策でございますけれども、 主なものといたしましては、具体例として申し上げますと、令和5年度の当初予算案に盛り込んでいるものでございますが、高校生等へのライフデザインの形成支援、若者・女性に魅力ある雇用・労働環境の整備、結婚を希望する県民への支援体制の充実、不妊治療に要する治療費や交通費の助成、第2子以降の3歳未満児を対象とした所得制限を設けない保育料等の無償化や在宅育児支援金の創設等を掲載したところでございます。
【斉藤委員】
来年度予算では、それなりの施策を示されたということはこの間議論になってまいりました。
アクションプランの中で、出生数の減少の要因としては、「未婚化・晩婚化、仕事と育児の両立の困難さなどが複雑に絡み合っているものと考えられる」と指摘をしております。未婚化・晩婚化、もっと直接的に言うと、結婚・子育てができる安定した雇用と賃金が確保されていないと、ここに一番の根本的な問題があると思うんですよ。だから、未婚化・晩婚化というんじゃなくて、なぜ結婚できないのか、なぜ子育てに困難があるのか。私は、この安定した雇用と賃金の確保、ここが崩れている。まさにこれは国全体の問題だと思います。
そこで、先ほど総務部のところで、県ができる賃上げとして、会計年度任用職員の賃上げを提案をしました。少なくともワーキングプアをなくすべきだと。なぜワーキングプアが出ているかというと、最低賃金が低すぎるからです。いま日本の最低賃金は平均で961円。岩手県は854円ですよ。854円に上がったとき、23%が賃上げ対象になったと。いわば最低賃金に張り付いて働かされているんです。諸外国はどうなっているか。ドイツは1734円、1年間で3回賃上げしました。イギリス1596円、フランス1598円、フランスが1年間で3回賃上げしました。オーストラリアは政権が変わって2005円になりました。こんなに違うんですよ。いわば最低賃金というのは、労働者の全体の平均賃金を規制するんですね。だから4割弱が非正規、女性の5割以上が非正規。これでどうして結婚・子育てできるのか。ここに大きな問題があると思うけれども、政策企画部なんだから、子育て支援という狭い視野ではなく、やっぱり人口減少、未婚化・晩婚化の根本原因にしっかり対応した総合的な対策を示すことが必要なのではないか。
私たちは、岩手県予算に対する要望の中で3つの提案をしました。1つは、結婚・子育てできる雇用のルール、まともな賃金。2つ目は、安心して働くことのできる環境。3つ目は、子育ての経済的負担を軽減して、安心して暮らせる社会と。いわばこういう総合的な対策をしなければ、個別の政策、経済的負担軽減だけでは抜本的な改善に至らないのではないか。この根本問題について部長にお聞きします。
【政策企画部長】
人口は、究極の総合指標と言われております。 暮らし、産業、学び、様々な要素があり、あるいは地政学的な要素もあるかと思いますけれども、最終的に、一人ひとりの皆さんが、どこに住むかを選び、結婚するか、子どもを産むかを判断していくといったことでございます。そういった意味では、一部の限られた政策に頼るのではなく、人口減少対策のためには、広範な分野に関わる取組を進めていくことが基本となります。
そういった中で、第2期アクションプランにおきまして、県として4つの重点事項を掲げて取組を進めようとしているわけですけれども、これにつきましては先ほどから御議論いただいておりますが、自然減・社会減について、特に男性・女性が働ける、そして子どもを産む環境が整えられるということで、そこに手を当てていこうといったことで、そこを重点項目としたことではありますけれども、当然、委員お話のその背景にある仕事、収入が、そういった結婚し子どもを産み育てられる環境でなければ、そこには最終的には行き着かないといったことはそのとおりでございます。
いわて県民計画 (2019-2028) では、10の政策分野の中に、仕事・収入といった項目を設けまして、産業振興について取り組んでいるところでございます。ここについては、第2期アクションプランにおきまして、様々な取組を追加・拡充しているところもございますので、取組をしっかりやってまいりたいと思います。いずれ産業面も含めた人口減少対策ということでございます。
【斉藤委員】
昨年の出生数は80万人を割ると。推計で78万人と。これは人口推計では2033年だった。10年も早くこうなってしまった。これはまさに全国的な問題ですよ。自民党政権の問題と言ってもいいですよ。
異次元の少子化対策と言いながら、中身は示さない、財源は示さない。本来なら、異次元の少子化対策が示されて、さらに地方がその上に立って頑張ると。これが当たり前の姿ではないでしょうか。「異次元の」ということを言ったにも関わらず、中身もない、財源もない。こんな無責任な政治はないと思いますね。
それだけじゃないんですよ。4月からどんなことが起きるか。学校給食費値上げですよ。岩手県は高校生まで現物給付化します。現物給付化するとペナルティかかるんですよ。こんな逆行したことをやっていて、どうして少子化対策になるのか。そのことを率直に指摘をしておきたい。
そういう厳しい中で、来年新機軸として、第二子以降の保育料無料化とかを打ち出したことは大変貴重なことだと思います。
・知事の政治的政策的イニシアチブについて
【斉藤委員】
この1年間どういう政治的政策的イニシアチブを発揮したのか、具体的な事例を示していただきたい。
【政策企画課総括課長】
知事による提言活動ということで御答弁をさせていただきます。県の有する政策課題等は多方面に及びますが、その時々の主要な課題に応じ、宣言を発して県民や、多様な主体に訴えたり、また、課題を同じくする他都道府県等と連携した提言活動等を行っているところでございます。
今年度の例を挙げますと、県内の産学官ネットワークであります「いわて未来づくり機構」のラウンドテーブルメンバーとして、「基本的な感染対策の徹底でオミクロン株の感染拡大を抑え県民の社会経済活動を守るための緊急メッセージ」や、「いまこそ『買うなら岩手のもの』 宣言」の発出などを行っております。達増知事が会長を務めます「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」による「医師不足や地域間偏在の根本的な解消に向けた実効性のある施策の実現を求める提言」ですとか、「日本創生のための将来世代応援知事同盟」による緊急提言ですとか、有志知事によります「多様性への理解促進と誰もが安心して暮らし、活躍できる社会づくりを求める緊急共同声明」などを行っているところでございます。
【斉藤委員】
いま答弁がありました。県内の取り組みにとっても全国的な課題にとっても、達増知事は積極的なイニシアチブを発揮していると思います。
例えば、昨年の3月14日に出した「岩手県水産業リボーン宣言」=水産業再生宣言、「リボーン」というのは分かりにくいと指摘したことはあるんだけれども、しかし沿岸の首長に会いますと、本当にいま漁業の再生・再建、これが焦眉の課題だと何度も提案をされました。大変私は、漁業団体と知事がかみ合ってこの水産業リボーン宣言を打ち出したと。本当に時宜にかみ合った、そして3つの柱―資源の確保、新たな資源の活用、新しい養殖の推進、これは本当にいま漁業・水産業再生の柱になっているんだと思うんですね。
例えば医師確保の問題では、中平さんの質問に対して、地域枠を拡充すると。小児科・産科の医師確保の地域枠の奨学生の確保、これも新たに打ち出した大変貴重な成果だったと。
「宣言ばかり」という一部の話ありましたけれども、本当にいま厳しい状況の中で的確に、そこを打開する提案を、県政でも国政の分野でも打ち出しているということを高く評価をしていいのではないか。
そして、アクションプランに向けて、また少子化対策に向けて、全市町村と力を合わせて取り組もうと。これもまた新しい積極的な取り組みになっているのではないかと。
部長に最後にお聞きしますが、こうした知事のイニシアチブの下で、第2期アクションプラン、どういう決意で取り組むのか示していただきたい。
【政策企画部長】
県政を取り巻く課題は、非常に様々大変なことがございますけれども、それらの解決に当たりましては、より様々な分野が連携をして、一緒になって、あるいは、県民の皆さん、企業の皆さん、事業者の皆さんにも取組を御理解いただき、一緒になって取り組んでいくというような取組の仕方がますます重要になってきております。
第2期アクションプランに掲げました人口減少対策をはじめ、喫緊の課題の解決に当たりましても連携を図りながら、県民の皆さんはじめ県内の様々な主体と一緒になって取り組みを進めていくことが極めて重要となっておりますので、このような宣言を一つのスタートとして、具体的な取組を一緒に進めてまいりたいと考えております。