2022年10月20日 決算特別委員会
警察本部に対する質疑(大要)
・供述調書改ざん事件について
【斉藤委員】
最初にですね、今年3月に発生した供述調書改ざん事件についてお聞きをいたします。
「県内の警察署に勤務する30代男性巡査部長が、被害関係者の供述が証拠上の事実と違っていたため、調書を作り直した上、保管すべき変更前の調書を破棄するなど、正式な手続きを経ずに差し替えた。上司の40代男性警部補が、改ざんを許可した」と。きわめて不適切な事件がありました。なぜこのような供述調書を改ざんするようなことが起きたんでしょうか。
【参事官兼首席監察官】
本事案につきましては、事件の被害関係者を供述人とする供述調書について、内容が一部事実と異なっていたため、正しい内容に訂正する必要があり、本来は正しい内容に訂正する旨の供述調書を新たに作成するなどすべきところ、供述人が遠隔地にいたことなどから、正規の手続によらず修正を行ったことが原因であります。
【斉藤委員】
これはきわめて重大で、岩手弁護士会が4月29日ですけれども、「えん罪の大きな原因にもなり得る。きわめて重大な違法行為だ」と、弁護士会として声明を出して、なぜこのようなことが起こったのか、再発防止を含めて8月18日までに文書で回答を求めましたね。しかし回答していませんね。なぜ回答しないんですか。回答できなかったんですか。そのことを詳しく述べてください。
【刑事部長】
岩手弁護士会への回答についてでありますが、文書での回答はしておりませんが、回答を求めました岩手弁護士会の方にお会いして説明をさせていただいております。それから、詳しくというご質問でしたけれども、先方の岩手弁護士会の担当の方とのやりとりも含めまして、個別具体の内容となりますので、答弁は差し控えさせていただきます。
【斉藤委員】
弁護士会は「回答はなかった」と。8月18日までに回答を求めて、19日に「回答はなかった」と会見しているんですよ。連絡だけあったと。説明受けたとも言っていませんね。弁護士会というのは、被疑者などの弁護にあたる方々ですよ。こういう方々の、えん罪の危険性、こんなことをやったら本当にどんどんえん罪が広がってしまうという重大な危機感を持って、第三者の調査も求めたんですね。ことごとく弁護士会の要請に背を向けているんじゃないですか。回答していませんね。説明したというけど、どういう形で説明したんですか。「連絡を受けた」とは言っているけれども。「説明を受けた」とも言っていませんよ。なんでこんな不誠実な態度をとるんですか。
【刑事部長】
繰り返しになりますが、岩手弁護士会の担当の方々とですね、直接お会いをして説明をさせていただいております。
【斉藤委員】
弁護士会は「第三者で調査すべきだ」と。内輪でもみ消すのではなく。これは本当に重大だと思うんですよ。被疑者が遠隔地にいたから、勝手に供述調書を変えたと。前の供述調書を破棄したんですよ。どういうことになりますか。そんなことで済まないでしょう。こんな例は県警にあったんですか今まで。
【参事官兼首席監察官】
文書の改ざんの関係につきましてですが、平成23年に1件、差し押さえた証拠品の文書の中の1枚を誤って裁断してしまって、一時的に発覚を遅らせる目的で模造文書を作成したという事案がございます。これ以降、この文書の関係でこういった改ざんにかかる事案というのはございません。
【斉藤委員】
平成23年、震災が起こった11年前ですけど、誤って裁断した。すぐにそのことを報告しなかったことは重大だと思うけれども、今回は、被疑者の供述調書を改ざんしたわけですよ。上司がそれを認めたと。これは本当に重大な犯罪ではないですか。どういう犯罪になりますか、この供述調書の改ざんというのは。取り調べた人が改ざんをしたということは、法律に反するのではないかと。どういう犯罪になるかと聞いているんですよ。
【刑事部長】
恐れ入ります。確認をさせていただきたいのですが、被疑者の調書でしょうか、被害者の調書でしょうか、そういうところの確認でございました。
【斉藤委員】
被疑者ですよ。
【刑事部長】
的確な表現じゃないかもしれませんが、新聞報道等あるいは報道機関で報道された内容を引用させていただきますと、被害者調書の一部ということでございます。
【斉藤委員】
私は先ほど正確に新聞報道を引用したつもりなんですけれども、被害関係者の供述が、証拠上の事実と違っていたため調書を作り直したと。保管すべき変更前の調書を破棄したということですよ。このことはどういう犯罪になりますか。
【参事官兼首席監察官】
改めて再度確認させていただきますが、今回改ざんに至るそのものというのは、被害関係者の調書ということでございますので、よろしくお願いします。
それから、ただ今ご質問にございました犯罪の関係でございますけれども、今回の事案につきましては、公用文書毀棄罪に該当するということでございます。
【斉藤委員】
それで、県警も盛岡地検に送検をしたんですね。これは最終的には不起訴になったようですけれども、そういう事件だったと。ところが、処分が6月1日で上司の警部補は本部長訓戒、巡査部長は所属長訓戒と。こんな甘い処分で済む問題なんですか。なんでこんな甘い処分になるんですか。訓戒なんていうのは処分に入らないじゃないですか。なんでこんな甘い処分に、処分でないような処分になるんですか。
【参事官兼首席監察官】
本事案につきましては、事案の内容ならびに全国および県内におけるこれまでの先例を踏まえて厳正に対処しているものでございます。
【斉藤委員】
公文書毀棄罪に反することをやった。これは法律に反するということですよね。それが処分にもならない訓戒で済むんですか。あなた方は、この程度は処分に当たらない程度の犯罪なんだと。本部長、そういう認識ですか県警は。公文書毀棄罪に反しても本部長訓戒とか所属長訓戒で済むような誤りだったんですか。弁護士会の要請を本当に正面から受け止めていないんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
【警察本部長】
議員ご指摘の通りですね、この事案については非常に重く受け止めておりまして、県警察としてはしっかり事件化したという認識でおります。また、再発防止に向けてさまざまな取り組みを行っているところでありまして、議員ご指摘の通りですね、この事案について重く受け止めているというところでございます。
【斉藤委員】
重く受け止めていると言うけど、軽い処分にもならない処分に済ませていると。これがあなた方の本音が透けて見えるんですよ。重く受け止めるんだったら厳しく処分しなければだめじゃないですか。供述調書を改ざんしてもこの程度で済むんだなとみんな思ってしまうじゃないですか。だから弁護士会は危機感を感じているんですよ。こんな雰囲気が県警に蔓延したら、えん罪が広がってしまうと。あってはならない事件でしょう。あってはならない事件が起きたら、やはり厳しくやらないと。再発防止なんていうのは、そういう厳しい処分なしに魂入らないんですよ。再発防止策を述べてください。
【参事官兼首席監察官】
本件の再発防止策についてお答えいたします。本件につきましては、事案の調査結果等を受けて、管理する幹部職員に対する指示をはじめ、教養資料を発出するなどして、職員に対する公文書の重要性に関する認識および管理のあり方について徹底を図り、再発防止に努めているところでございます。
【斉藤委員】
ちょっとその程度では、本当に重く受け止めて再発防止するという、あなた方の決意が伝わってこない全然。残念だけど。私はこれはきわめて重大な事件だと思います。弁護士会も厳しく指摘しているように。
この事件については、そして県警の対応については、県警を管理する公安委員会に報告したでしょうか。公安委員会でどのような議論があり、指導を受けたのか、受けなかったのか示してください。
【参事官兼首席監察官】
本事案につきましては、公安委員会に対して報告を行い、委員からは、あってはならないことであり、再発することのないよう指導を行うことについて、厳しく指導を受けております。
【斉藤委員】
公安委員会は厳しく指導したというけれど、こんな甘い処分でいいということになったんですか。
【参事官兼首席監察官】
公安委員会に報告した際に、処分の内容についてもご説明をいたしております。
【斉藤委員】
公安委員会の対応については、12月に一般質問の予定がありますので、その場で直接公安委員長に直接お聞きしたい。
・警察官の不祥事案について
【斉藤委員】
昨年度の不祥事案の状況、処分の状況、そして免職処分者が複数出たというのは異例のことだと。これをどう受け止めて再発防止に取り組んでいるか示してください。
【参事官兼首席監察官】
年度で申しますと、令和3年度中に懲戒処分を受けた職員は5名となっております。また、懲戒処分に至らない訓戒、注意の措置を行った職員は24名であります。
懲戒処分の状況でありますが、令和3年度中の懲戒処分は、大麻取締法違反及び特別公務員暴行陵虐事案で2名を免職、セクシュアル・ハラスメント及び留置管理業務の不適切事案で2名を減給、道路交通法違反で1名を戒告としております。
議員ご指摘の複数の免職者を出していることにつきましては、県民の県警察に対する信頼を大きく損ねる極めて重大な事態であり、非常に重く受け止めるとともに、県民の皆様には深くお詫びを申し上げます。
県警察といたしましては、このような事案の未然防止のため、職務倫理教育の推進、職員の特性や特徴を踏まえた多角的な身上把握と指導の徹底、非違事案の発生リスクの高い業務に重点を置いた監察の実施などについて組織全体で取り組み、県民の信頼回復のため非違事案の根絶に努めているところであります。
【斉藤委員】
県警の不祥事の中で、予算の時にも指摘したんだけれども、セクハラ事案が大変多いと。これへの対策はどうとられているか。
もう1つ、これは今年6月7日に処分された案件なんですけれども、泥酔暴行事案、これはかなり深刻なんじゃないかと。泥酔暴行ですからね。これは所属長訓戒なんですよ。暴行事案ということになったらこれは傷害罪に本来なら問われる。それが所属長訓戒で済むということでいいんでしょうか。
【参事官兼首席監察官】
セクシュアル・ハラスメントについてでございますけれども、セクシュアル・ハラスメントにつきましては、職場の環境を非常に悪化させるというところで、職員の士気高揚を含め非常に悪影響を及ぼすものでございます。県警察としてはこのセクシュアル・ハラスメントを含むハラスメント事案全体をとらえまして、発生した場合の報告の窓口を設定するとともに、情報があがってきたところで、調査を徹底しまして、その原因・背景等を把握した上で適切に指導を行うということにしております。また、未然防止の関係につきましても、各種教養を通じましてセクシュアル・ハラスメントの防止に努めているところでございます。
また、先ほどお話しがありました職員による泥酔暴行事案でございますが、これにつきましては、泥酔して路上に寝込んでいたところ一般人から声をかけられ、肩口を押したというような事案でございまして、ケガ等はございません。ということで暴行事案ということでとらえております。処分が軽いということでございますけれども、これにつきましても事案の対応、詳細を調査・確認した上で、全国あるいは県内の先例に沿って対応しているものでございます。
【斉藤委員】
身内に甘い対応であってはならないと。逆に、警察職員だからこそ厳しく対応しなくちゃならないと思います。
・飲酒運転事故の根絶について
【斉藤委員】
飲酒運転の摘発数、飲酒運転事故件数はどうなっているか。根絶の取り組みとこの間の成果はどうなっているか示してください。
【交通部長】
飲酒運転の摘発数についてでありますが、酒気帯び運転と酒酔い運転を合計した過去5年の県内における検挙状況は、平成29年359件、平成30年341件、令和元年330件、令和2年338件、令和3年320件です。本年は、9月末で208件と前年同期に比べて1件の減少となっております。
次に、飲酒運転を伴う人身交通事故ですが、平成29年30件、平成30年25件、令和元年22件、令和2年27件、令和3年14件、本年は9月末で9件と前年同期に比べて3件減少しております。
次に、飲酒運転根絶への取組についてでありますが、昨年の飲酒運転の検挙状況を分析した結果、飲酒運転は、夜間だけでなく通勤通学時間帯を含む朝や夕方の時間帯にも検挙があることから、本年は毎月実施している飲酒検問について夜間に限らず、日中にも実施しております。
また、春と秋の全国交通安全運動期間中に全国一斉に行われる通学路取締りや自転車取締りにおいても、飲酒運転を重点とした検問や交通指導取締りを実施しております。
このほか、コンビニエンスストアや酒類販売業者に対する飲酒運転の通報協力依頼や、岩手県小売酒販組合連合会主催の研修会における飲酒運転根絶に向けた講習等を実施しております。
成果につきましては、本年9月末時点で飲酒運転による交通事故の発生件数は9件と前年比で3件減少しておりますが、死者数が3人と前年比で1人増加しているなど、いまだに飲酒運転が後を絶たない現状から、引き続き、飲酒運転を根絶するための取組を推進してまいります。