2021年8月3日 文教委員会
令和4年度 県立学校の編制等についての質疑
(大要)


・学級減の考え方について

【斉藤委員】
 まず最初に学級減の考え方、この資料のですね、管理運営規則について書かれていますが、例えば、2学級規模の高校が1学級になるというケースもこの間ありました。そうした考え方も含めて、正確にどういう基準になっているのかを示してください。

【高校改革課長】
 基本的には、1学級の収容定員以上の入学志願者の数が定員に満たないという場合におきましては、検討の対象とさせていただいているところでございます。
 先ほどもご答弁させていただきましたが、その後数年間の中学校の卒業者数の推移であるとか、あとは地域における学校の位置づけであるとか、そういったものをさまざま勘案の上実施しているところで、学級減の判断を行っているところでございまして、基本的には、単年度で定員を割った、40人以上割っているといってすぐに学級減を行っているというような運用は行っていないところでございます。また、学校や地域の事情をそれぞれ勘案の上、判断しているところでございます。

【斉藤委員】
 数年前になりますかね、雫石高校が2学級から1学級に減じられたときに、「2年継続して生徒減少が1学級を超える欠員」だったというのが理由だったんですよ。これは、地元にとっても県議会にとっても不意打ちでした。私は反対しました。しかしこれは強行されたんですよ。2学級から1学級になるということは、学校の存続にとって、そして生徒の進学・進路にとってきわめて重要な影響を与えるんですね。雫石高校の場合はなぜ、わずか2年間でそういう学級減をやったんですか。今は考え方が違うということですか。

【高校改革課長】
 当時、平成30年度の学級減と年内の学級減、その管理運営規則の運用については、考え方は基本的には変わっていないところでございます。雫石高校におきましては、先ほど委員からもお話があった通り、2年間連続して1学級以上の欠員が生じていると。単年度では見ておりませんけれども、やはり2年連続している状況、それから、今後における雫石町内の中学校の卒業者数の減少の状況であるとか、また雫石町ですと、地元から雫石高校に進学する生徒が非常に低下しているという状況、さまざま勘案の上、判断したものと考えております。

【斉藤委員】
 その年度によって、やはり学級減の考え方が恣意的に行われるということがあってはならないと思うんですよ。雫石高校は学級減になってから、いま必死になって雫石高校を守る取り組みが進められていますよ。でも時すでに遅しなんです。あなた方はそういうことをやったんですよ。今は慎重にやっているということですね。
 管理運営規則では、「入学志願者の数が、生徒の募集に関する人員に満たない場合で、その不足する数が1学級の収容定員以上であるときは、学級数を減ずることがある」と。「減ずる」とは書いていない。「減ずることがある」と。この管理規則は変わっていないけれども、運用が変わったと。こういう風に理解していいですか。これ教育長に聞きましょうか。

【教育長】
 今回の後期計画の中でも、地方創生というものを非常に大きな要素として、そしてこの県立高校が地域でのこの役割、大きな役割を果たしているということを大事に、十分に考えてございまして、後期計画では地方創生の考え方と。それから、市町村との連携ですね、多くの市町村から地元校の存続に向けて支援をいただいてございます。
 そういったことで、考え方は変わっておりませんが、そういった取り組みも強化しながらですね、慎重に対応していくということで今取り組んでいるところでございます。

【斉藤委員】
 そういう考え方で、いまは慎重に学級減についても対応していると。こういう理解でいいですね。
 それで、2年連続して入学者の数が20人以下である場合は、1学級規模の学校というのは統廃合の対象になると。これはどこにそういうことが決められているのですか。

【高校改革課長】
 2年連続して入学者数が20人以下である1学級校の取扱いについては、規則等ではなく、高校再編計画の中でそういった規定を設けているところでございます。

【斉藤委員】
 これは高校再編計画の中でそういう考え方、基準が示されているということですね。ぜひこれも、実態が深刻ですから。
 それで、この管理運営規則に基づけば、先ほども課長お話ありましたけれども、1学級の収容定員以上の欠員が生じている高校はどこですか。

【高校改革課長】
 1学級規模の定員を上回る欠員が生じている学校は、今年度の入学者数で見ると8校ございます。具体的な校名を挙げますと、沼宮内、紫波総合、岩谷堂、遠野、久慈東、一戸、前澤、金ケ崎の8校でございます。ただし、前沢と金ケ崎の2校につきましては、入学者は40人以下となっておりますが、志願者としては41人あったことから、この管理運営規則の基準には合致していないものでございます。

・岩谷堂高校の学級減について

【斉藤委員】
 そうすると、これは志願者ですから、合格者・入学者ではなくて、志願者ということで私も再認識しましたが、今年度入学する学校の志願者数でいけば6校が規則上は対象になると。しかし今回は岩谷堂高校について学級減の計画が提起されたということですね。
 それで、岩谷堂高校の資料を見ますと、これは平成31年の欠員が58、令和2年度64、令和3年度65と。3年連続して1学級以上の欠員ということでした。これはもう3年間慎重に検討してきた、しかし同時に、今回は学級減をせざるを得ないと、こういう判断ですか。

【高校改革課長】
 別紙の資料にございます通り、欠員自体は5年連続で40人以上を割っている状況でございます。岩谷堂高校は、平成29年、30年と2年間連続して40人以上を割っているという状況を踏まえまして、平成31年度の入試から管理運営規則に基づきまして、5学級あったものを4学級にしているところでございます。しかしながらその後も欠員が連続している状況でございまして、ただし2年連続したところでの1つの判断として、管理運営規則で平成31年度に学級減をしたばかりという状況もございますので、もう1年だけ様子を見て、今年度の判断に至ったところでございます。

【斉藤委員】
 私が3年間と言ったのは、平成31年度に学級減があって定数が変わっているからで、欠員は言われた通り5年連続なんですけれども。
 それで、岩谷堂高校というのは、県内最初の総合学科制でした。しかし同時に、総合学科制というのはきわめて中途半端な学校ではないのかと感じてきました。特に、学級減になりますと、選択の幅が狭くなるわけですね。私は総合学科制というのは、いま考え直す必要があるのではないかと。そういう検討をされているでしょうか。岩谷堂高校は、4学級から3学級になったときに、コース制なんでしょうか。これはどういう形になるのか。この間の進学・就職の実績はどうなっているかを示してください。

【高校改革課長】
 岩谷堂高校は、お話ありました通り、総合学科高校としてですね、統合前の岩谷堂高校にありました普通科の流れからきております人文科学、自然科学といった普通科的な学びから、あとは流通情報といった商業、産業工学といった工学系、あとは岩谷堂農林からつながっております農業系の学び、あとは生活福祉に関する学びの、そういった系列のもの、1年次は全員同じ科目等を学びながら、2年で自分の将来に向けた進路選択に合わせて系列を選択して、専門的な学びを行っているところでございます。
 岩谷堂高校の卒業者の進路の状況でございます。進学が53%、就職が44.8%、残りは進学・就職でもないといったところで、だいたい半々といったところでございまして、就職者44%と申しましたが、これは60人で、60人のうち県内に就職した者が46人で76.7%、県内のうち胆江管内に就職した者が38人ということで63.3%、地元定着率としては非常に高い状況になってございます。

【斉藤委員】
 3学級規模になったときに、本当に総合学科制としての特徴が維持されるのかと。私はきわめて疑問であり、これは専門高校でもないんですよ。普通高校でもない。そして進路選択が2年になってからで、そのときに「本当は大学に行きたいんだ」と言っても間に合わなくなってしまうというのが現場の声です。私はこの総合学科制は、この時期に検討すべきだと思いますよ。

・久慈工業高校の統合について

【斉藤委員】
 時間がないので先に行きますが、今回、久慈工業について、久慈東と久慈工業高校の統合計画について、実は昨年度も取り上げたんですけれども、昨年度は、この3ページの資料に書いているように、「令和3年度の入学者の状況等の検証を行った上で、統合時期について改めて検討することにする」ということでした。これはかなり慎重な対応で評価したんですけれども、今年も、さまざまな地元の努力があるから私は当然だと思うけれども、今年も「引き続き統合の対象とするものの、統合時期等の判断については1年間延期のうえ、令和4年度入学者数等の状況を踏まえ、改めて行うこととする」と。去年の答弁と違うんですけど、私はそれは間違いだとは言いませんよ。慎重に対応していただくということは私は評価したうえで、しかし去年このように言っておいて、今年もさらに1年延長して検討するというのはどういうことなんですか。

【高校改革課長】
 昨年度久慈工業高校の入学者が20人ということで非常に厳しい状況であったところでございますが、地元の努力の状況、平成30年度までは入学者が増加していた状況も含め、今しばらく、もう1年状況を見て判断するという決断をしたところでございまして、今年度それを踏まえた検討をするうえで、やはり統合するか、もしくは去年の遠野地区と同様に除外するかといった中で、今年度23人といった状況を踏まえて、やはり除外するところまでは非常に厳しいところでございます。一方では、ただ統合を決めるといったところも、地元の努力であるとか、さまざま地域での取り組みを行っている中で、今後中学校卒業者数がそれほど多く減らないという状況もございますので、そういったことを踏まえながら、もう1年状況を見るという判断をしたといったところでございます。

【斉藤委員】
 久慈工業高校は野田村に唯一の高校ということもあります。そういう点で私は、県教委が統合について慎重に慎重に検討していると。そして地域の努力を、実績を見て評価するという態度は大変大事なことだと思います。
 しかし一方で、皆さんが5月末に決めた高校再編計画、「この際」の時に立ち入ってやりますけれども、福岡工業高校と一戸高校の統合計画では、福岡工業高校が57人入学して、2学科規模の生徒が入学しているときに、学科減の統合計画をつくるということは、あなた方の考え方とまったく矛盾するんじゃないですか。素晴らしい実績をあげているんですよ、福岡工業高校は。生徒も努力をしている。入学者も増えた。4月5月にわざわざ地域説明会をやって、そのうえで高校再編計画を決めるときに、この福岡工業高校の実績というのはまったく評価されなかったというのは、あなた方の今日の学級編制の考え方から見たって全然矛盾するんじゃないですか。これは教育長に聞きましょう。

【教育長】
 福岡工業高校の取り組みの実績につきましては、これまでも何度も答弁させていただいておりますけれど、さまざまな資格の取得であるとか、地域での貢献とか、そういったところは十分理解してございます。そしてまた新しい校舎の整備ということもさせていただきました。ただ一方で、この二戸ブロックにおける中学卒業予定者数というのは、非常にこの先減少が見込まれていくという状況にありまして、この厳しい状況の中で、それに児童生徒の数が減っていく中での対応というのが求められますので、その教育環境の整備をしっかりやっていかなければならないと。そして二戸地区、これは県北も含めてでございますけれど、現在あるさまざまな学びの選択肢をしっかりブロック内で確保していく必要があるということ、そして専門教育の拠点となる学校として、一戸高校との統合ということを考えたところでございます。
 これは1つの学校の入学者等にとどまらず、地域全体での多様な学びを維持していくということを念頭に置きながらですね、それぞれの地域に、子どもたちの多様な学びをしっかり確保していくためにもやむを得ない措置ということで考えたところでございます。