2017年10月12日 決算特別委員会
人事委員会に対する質疑(大要)
・上司のパワハラによる職員の退職問題について
【斉藤委員】
人事委員会の仕事の中に、市町村の公平委員会事務の受託事業というのがあると思うが、その内容はどういうものか。
【職員課総括課長】
公平委員会事務の内容について。地方公務員法に基づき、人事委員会を置かない規模の小さい市町村等は、中立的かつ専門的な人事行政機関である公平委員会の事務を都道府県の人事委員会等に委託できるとされている。
当委員会では、盛岡市等を除く32市町村、21一部事務組合、3広域連合の公平委員会事務を受託し、審査請求および措置要求の審査、職員の苦情相談などにかかる事務を処理している。
公平委員会の事務の細片については、これらの事務の管理・執行に要する経費、また個別の審査請求等があった場合は、それに要する実費等も加え、委託市町村等から負担金としていただいているものである。
【斉藤委員】
平成28年度の市町村等職員からの苦情相談件数、その内容、今年度の件数、最近の傾向はどうなっているか。
【職員課総括課長】
28年度に処理した市町村職員等の相談件数は11件。相談内容は、給与に関する相談2件、休暇・服務等の勤務条件に関する相談3件、パワーハラスメントに関する相談3件、その他3件となっている。
今年度は、9月までの上半期の状況だが、相談件数は12件。相談内容は、給与に関する相談2件、休暇・服務等の勤務条件に関する相談2件、パワーハラスメントに関する相談5件、その他3件となっている。
最近の傾向としては、パワハラに関する相談が増えてきている。
【斉藤委員】
私のところに、ある村の職員から、「上司から重大なパワハラ・暴言を受けて退職に追い込まれた」という情報が何度か寄せられた。
人事委員会では相談を受けているか。人事委員会としてはどう対応されたか。
【職員課総括課長】
ご質問の市町村職員の苦情相談への対応だが、個別の相談の案件については、守秘義務、相談者のプライバシー保護の観点から、相談の有無も含めて答弁は差し控えさせていただきたい。
なお一般論としては、お話のような相談があった場合は、相談を受理後、市町村等任命権者に対して、事実確認を行ったうえで適切な対応を求めるということになろうかと思う。
【斉藤委員】
先ほどの答弁で、公務員のパワハラが5件あったと。この5件については、事実認定、そして相談業務は解決済みとなっているか。
【職員課総括課長】
先ほどお話しした5件については、解決済みの案件である。
【斉藤委員】
解決済みということになると、パワハラの苦情相談の事実が認定されたということだと思う。
この村では、今年に入って9月までに、上司のパワハラで相次いで3名の職員が退職に追い込まれた。良好に勤務していた臨時職員の任期更新を不当に妨げようとしたケースもあったと。大変深刻である。退職した職員は、まだまだ村のために公務員として働きたいと思っていたが、最終的には辞めざるをえなかった。また、後輩の職員まで退職に追い込まれるのではないかと、今でも村の行く末を危惧しているというのが実態である。
この事件は、行政事務の支障、村政の停滞につながりかねないし、県民の幸福を第一に考える県の基本方針にも反する大変重大な事件だと考える。市町村任せにせず、職員の働く権利を尊重した県の強い対応が必要だと思うがいかがか。
【人事委員会事務局長】
ハラスメントの対応についてだが、地方公務員法第8条に基づく苦情相談制度であり、本県仲介により当事者の納得が得られる解決を図るものであり、平成16年の地方公務員法改正により新たに追加された業務である。職員の問題解決の手法としては、措置要求だとか審査請求などの不服申し立て制度があり、さらには書評などによる解決方法も可能であるので、職員苦情相談は、これらの制度の前段階の制度であり、勧告や命令などの強い強制的な権限を与えられているものではない。しかしながら、お話の通り、ハラスメントは職員の勤労意欲を減退させ、ひいては職員の心身に悪影響を及ぼす要因にもなり得るものである。
本委員会としては、まずは市町村長等の任命権者において、しっかりとハラスメントの発生防止に努めるとともに、良好な職場環境づくりを推進していく必要があると考えているところであり、本委員会においても引き続き苦情相談制度等を通じ、パワハラ等のハラスメントをできる限り早期に解決し、県や受託市町村等の職員の勤務環境の改善が図られるよう務めていきたい。
【斉藤委員】
事実上、退職強要とも言えるパワハラを受けて辞めた2人は、課長級である。退職前に辞めたので、1人は7ヶ月前だということで、それでも給与・ボーナス合わせると400万円の損失である。もう1人は退職金にも影響するので、それを超える経済的な損失ということになる。
私のところには、当事者も含めて複数の方から、何度か解決を求める情報が寄せられた。背景は、村長選挙の結果に対する報復である。本当にこれは許されないことであり、「一生懸命働かないと処遇を考える」「降格を示唆する」「辞めたい職員がいっぱいいるそうだが、お前もそうなんだろ。辞表はいつでも受け取るから」と。教育長にも、2度にわたり退職強要がされた。本当に深刻で、この中心は副村長だということだった。
こうした深刻な事態の打開のために、必要な指導・援助をさまざまな形で対応するようにお願いしたい。
【人事委員会事務局長】
先ほどお話しした措置要求だとか審査請求を含めて、さまざまな不服申し立て制度がある。新たに加わった事務と申し上げたが、実はこれまでも、「こういうことで困った、どうしたらいいんだろう」という相談をさまざま受けており、その内容をお聞きした上で、「こういった手法があります」などさまざまなお話をしている。その積み重ねをやっていたので、それをこれからも継続して、例えばパワハラの相談があった場合は、対応の仕方などを丁寧に説明し、職員の不安の解消や、勤労意欲が減退することのないような苦情相談制度の運用に努めていきたい。